11/05/24 20:48:34.11 Nj3LdQoq
>>479
モーニング・アフター・ピルを見ると彼女を思い出す。
彼女と俺は一つ屋根の下で暮らしていた。
隣り合った部屋、壁を隔てた数十センチ向こうで毎晩のように彼女の慰めが聞こえていた。
彼女の妄想の中に、つい先ほどまで話していた俺はいるのだろうか?
そう思いながらも俺はそれが事実か否かなど気にしてはいなかった。
何もかもが満たされていた。
言葉に出さなくても、態度に表さなくても俺達は繋がっていた。
きっと繋がっていたのだと思う。
そう、あいつがくるまでは。
─あれから月日が流れた今でも、彼女との繋がりを信じていた頃の夢を見る。
黄金期のまどろみから覚め、ゆっくり目を開けると、吐き気がするような歪な世界が飛び込んでくる。
涙のせいだ。眠りながら泣いていたらしい。いつものことだ。
目を瞬いて、涙を表面から拭う。ぼんやりと天井が映り始めた。
そこにあるのは赤い人型の影。
「おはよう。」
俺は、前後にスライスされた彼女の体に挨拶する。
今でも少し気に病む事がある。前半分はあいつにくれてやったが、それで良かったのかな?