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XXX1年12月31日
「…えっ……、田所さん!どうして、僕のウチがわかったんすか!」
年の暮れ、本職の音楽活動を終えて帰宅した遠野を待ち構えていたのは
彼がこの年、とあるきっかけで知り合った田所という男のしたり顔だった
「当ててみろよ。俺はお前の住所もウチの見た目も知らなかった、となれば」
田所が目元と口元を同時に緩めて言い、答えを待ち受けるように表情を変えた
「…まさか。僕のあと、つけてた、とか」
「ヌッ!一発で当たった!」
「ええ本当に!い、いつから?どこから!?ちょっ、それはマズいですよ!」
自信無さげに放った遠野の推測は田所をよろめかせた
そして慌てふためく遠野の忙しない口元に目をやりながら、田所は何がマズいのだろう、
つけ始めたのは仕事が終わった後だけれども、あいつが見られたくないことをやっているのなら本当に一日中追いかけ回せば良かった、などと考えながら
当たり前のように遠野が一人暮らしをしているアパートの一室に上がり込んだ
そういったふてぶてしい田所の行動を咎める気にもなれないのは、一人暮らしで孤独を感じることが多いせいだと遠野は決めつけた
「ま、お前もいつか歌が売れるようになったらこういう面倒なおっかけができるかもしれないんだ、練習しとけよしとけよ~」
「………いつか。……いつになるんですかね」
はぐらかされたことも気に止めずに遠野はため息混じりの言葉を吐いた
田所は遠野の歌声を脳内で再生した