12/03/08 00:20:02.61 EgVJnaZl0
まだ都会に来て間もなく、夜遊びに不慣れな男がいた。
好奇心から繁華街をうろついてみたものの、土地勘がなくすぐに迷ってしまい途方に暮れていた。
しかもなれてない繁華街を歩くうちに、ニューハーフだのゲイバーだのそっち系の店が多い界隈に来てしまったのだ。
なんとはなしに不気味な雰囲気を感じて震える男。
まさかな……と思っていたら来るわ来るわ、多くの青年や中年にナンパされだした。
馴れ馴れしく触られそうになり、男の焦りはさらにます。
すばやくそんな輩を交わして早歩きに切り替えた時だった。近くを走っていたタクシーが止まった。
次の瞬間タクシーの運転手が窓を開け、青い顔をして「乗れ!兄ちゃん!」と言ってくる。
「いや、俺歩いて帰るんで……」
「いいからいいから!ホラ、乗った方がいいよ!?」
ちょっとしつこいくらいに勧めてくる運転手を怪訝に思いながらも、まあこんな町をこれ以上歩いていたら危険か……。
そう思って男はタクシーに乗せてもらうことにした。
男を乗せて数キロ行ったところで、運転手が、相変わらず真っ青な顔のまま言った。
「いやあ、あんたが誰もいない道で何かを避けるように歩いてたから、これは助けないかんと思って……」