11/12/25 11:02:27.05 l2ghodmS0
ある時、俺の友人のAが突然「俺は霊が見える」と言った。
正直この4~5年付き合ってきてそんな様子は微塵も感じられなかったし、
どちらかといえば鈍いヤツだったので俺はさらさら信じる気がなかった。
そしたらその友人がマジギレして「心霊写真取りに行くぞ!嘘だったら焼肉おごっちゃる!」とか言い出した。
ちょっと面白いと思った俺は知り合いの、ガチで霊が見える後輩のBを一緒に連れて行くことにした。
Bは小学生の頃「自分の家には座敷ワラシがいる」といって周囲を恐怖のどん底に陥れたという逸話がある。
なんでも可愛らしい男の子の姿で、いつでも物影からBをにこにこ見守ってたんだそうだ。
以前新歓コンパでその話を聞いたのだが、当時は相当な騒ぎになり地元ではかなりの有名人とのこと…ガチである。
だから俺はこの子を連れて行くことでヤツの化けの皮を剥いでやろうと目論んだ訳だ。
後日、三人で有名な心霊スポットである廃病院に向かった。
入り口にたった瞬間からAはもうガクブルで話しにならない。
対するBはいたって冷静で、「さあ、先に行きましょう!」と意気込んでさえいる。
この時点でもうすべては明らかになった様なものだが、折角なので奥まで行くことにした。
最奥にある院長室は巷でも多数の怪談が囁かれているかなりヤバイスポットだ。
Aは入った途端「ああ~あの椅子んとこ~!いる~!」なんて騒いでる。
はいはいと俺は便宜的にシャッターを押していく。
…結局Bは一度もそれらしいものは見えなかったらしい。
「噂が先行してるだけのただの廃墟ですよ」と断じて彼は颯爽と帰っていった。A涙目。
でも次の日現像したフィルムをAとファミレスで見た時、涙目になったのは俺だった。
ふと、Aがこう言った。
「ていうか…その子、本物だったんだな」