11/11/24 00:01:12.73 6cFVWQ0j0
私の住んでいる所は、結構昔に建てられた12階立てのマンションである。
不動産屋さんに、エレベーターもそこそこ昔のものであると聞いた。
家賃も安いが、一つ不利な事に実は私は盲目なのだ。
しかも空き部屋がそこにしかなかったため……最上階に住んでいるのだ。
まあエレベーターがあるから登り降りには苦労はしないのだが。
今日も買い物に行くため1人、盲目者用の棒を持ってエレベーターに向かった。
エレベーターのボタンを押すとドアが開く音がした。
中に入ると男性が「何階ですか?ボタン押しますよ」と尋ねてくれた。
一階までと言うと、「はい、わかりました」の返事と共に、ボタンのカチッという音がした。
そしてボタンを押してから10秒後位にエレベーターの着いた音がした。
私が「どうもありがとうございました」と立ち去ろうとしたときだった。
男性「……実は前々から貴方を見かけて気になってまして。
よかったらマンション出るまで付き添いますよ」
なんと思いやりのある人だろうか……。
この目のせいでなかなか親しい人を作れずにいた私には非常にうれしい出来事だった。
男性に手をひかれエレベーターを下りると少し歩き、ドアを開けてもらった。
私「どうもすみません……」
男性「いいえ、さあ……どうぞこっちへ」