11/11/11 01:41:32.75 ZXyw+15r0
僕は驚いて彼の手を離しました。
懐中電灯で顔を照らされると、いきなり腕を捕まれました。寮の管理人でした。
僕は決してやましい気持ちで入ったのでは無いことを説明しようとしました。
『この部屋の人が心配で、なんか具合が悪そうだったから……』
すると、その管理人は
『……何をいっている。誰もいないじゃないか。
この部屋には、今はもう誰もいないんだ。
この部屋の学生は亡くなったんだよ』
そのときから、僕の時間は止まってしまいました。
彼は窓際のクーラーの配管にロープをかけ首をつって自殺したそうです。
そして、彼が亡くなったのは僕が初めて通りかかった夜だそうです。
僕は首をつって風に揺られている彼に一目惚れをしました。
大分時間も経ちましたが、僕は今もあのとき管理人の声に驚いて、彼の手を離したことを後悔しています。
今でも忘れることができません。
彼の手は氷のように冷たかった。でも、とても柔らかい手をしていた。
どうか、安らかに眠ってください。
僕は今でも、あなたのことが大好きです。