11/06/26 23:40:10.87 WbqFbiMG0
「お前に謝らなければならないことがある」
「なっ、ななななにかな!?」
「なぜそんなに狼狽する」
「いや別に!僕は至って普通だよ。ふつー。いつもどおり!」
「そうか?」
「そうだよ!そ、それよりも!謝ることってなにかな?」
「実は」
「う、うん」
「…………いや。やはり、今はよそう」
「ええっ!?わざわざ訪ねて来てくれたのに!?」
「すまない」
「すっごく気になるんだけど!」
「……すまない」
「あ、いや怒ってるわけじゃなくて。……あの。僕に気を遣ってくれてるとかなら、気にしなくてもいいよ。
どんな内容だって僕は平気だし。そもそも、あれを書いた時点でそういう覚悟は出来てるというか…」
「覚悟?」
「うん。だから、君の言いたいことをズバッと言っちゃってよ」
「……いや。俺はあまり喋る事が得意ではないから、上手く伝えられる自信がない。
お前はいつも俺の拙い言葉を汲み取ってくれる。が、いつもそれに甘えるわけにはいかない」
「そ、そっか」
「だから、一度戻って、お前に手紙を書くことにする。自分の言葉で。それを、読んで欲しい」
「わかった。………ってことは、わかるのが1、2日後ってことか…うわー…生殺し…」
「ん、何か言ったか?」
「ううん、何も。じゃあ、手紙待ってるから!」
「ああ。それでは、またな。邪魔をした」
「うん、またね」
651:2/2
11/06/26 23:41:53.09 WbqFbiMG0
「ううううう……『謝る事がある』って、もうイコール返事はノーって言われてるようなもんじゃないかー。
でもああ言ってくれてるのに、無理に言わせるのは余計に嫌われそうだし…
仕方ないから、手紙が届くのを待っていよう。……ああ、なんか、死刑囚の気分……」
そのときの僕は知らなかった。
僕が彼に宛てて書いたあの手紙は、彼に読まれていなかったことを。
そして、家に帰った彼が『さっきの手紙の用事はなんだったか』と手紙に書いていることを。
「あーあ、お腹、減ったなあ……」
652:風と木の名無しさん
11/06/26 23:51:46.96 ukHmTY+70
まさか、やぎさんゆうびんでお題とは!
萌えましたGJ!!
653:風と木の名無しさん
11/06/26 23:51:54.93 POIiOtjc0
650でやきもきしたのに、651で爆笑したwwwかわええ GJ
直接会ってるんだから手紙にしないで言ってやれよw
振り回しまくって黒ヤギさんはさすが黒いだけあるな
654:風と木の名無しさん
11/06/27 08:59:51.37 u1vvtUtiO
萌えて笑った
何番まで歌えば両思いになるんだこいつらw
655:風と木の名無しさん
11/06/27 10:28:47.97 jxaBm7uG0
黒ヤギ、なぜ食ったwww
そして、白ヤギも食う気マンマンでワロタwGJ!
656:風と木の名無しさん
11/06/27 17:40:42.48 lYVNaZ3y0
やられた!って声に出しそうになったwうますぎる
いつか両思いになってね!
657:風と木の名無しさん
11/06/27 18:34:02.78 Md08bMMVO
好きな相手からの手紙を食うなw
萌えて笑ってGJでした!
658:風と木の名無しさん
11/06/27 18:44:39.27 HLNWz05p0
650のおかげで頭の中がパラダイス
もうあの曲を疚しい気持ち無しには聴けないw
GJ
659:風と木の名無しさん
11/06/27 18:49:50.30 gyyd5ZDb0
天然×天然
660:風と木の名無しさん
11/06/28 13:26:10.47 RXDDjRWs0
PSPみつかんねえ…
どこいったんだー…あれがないと時間がつぶせないんだよおおおおおお…!
661:携帯からですが660です
11/06/28 17:36:35.18 Jw2FR21NO
数ある天然の中、一番たちが悪く。尚且つ個人的に一番萌えるのが無自覚天然タラシ系
スポーツ漫画の部長などによく見られる、他校生からは一目置かれ後輩からは慕われる熱血タイプ
そんな部長に恋心を抱く後輩の一人。お前なんでスポーツ部活やってんの?ってくらいローテンションだとなお萌える
よく頑張ったな!と頭を撫でられたり暑苦しいスキンシップにいつの間にか本人も自覚しない恋心を抱く後輩
ある日何の気無しに部長に「お前細いなー?女子じゃないんだからもっと食えよ!」と言われる後輩
「よく解りましたね。俺…実は女子なんです。皆には内緒にしてくださいね」
「!?」
「…冗談ですよ、本気にしないでください」
「なんだ冗談か!お前可愛いからもしかしたら…と思ったじゃないか」
「…」
「お前が女子だったら結構タイプなのにな」
そんなやり取りの後、友人と
「モロッコってどこにあるの?」
「落ち着け。よく考え直せ」
と何かズレた反応をする後輩
部長は部長で、部活の着替えの時に
「…なんかあいつの着替えを見てると女子の着替え見てるみたいでドキドキする」
「いやお前だけだから」
そんな無自覚
「俺が女子だったらお前と付き合ってもらってたのになあ…」
「だ…だったら俺取ってきます!そしたら付き合ってください!」
「後輩にそんな事させられるか!取るなら俺が…」
「いえ俺が!」
「まって!おまえら両思いだから落ち着いて!」
そんなバカカップル話が見てみたい
天然×天然の周囲が苦労してるのも萌え
ーーーーーー
すいません。チラシと間違えて誤爆してしまいました。萌語り失礼しました
662:風と木の名無しさん
11/06/28 17:58:23.53 lDGqbx6+0
>>661
GJ!
>「まって!おまえら両思いだから落ち着いて!」
やばいコイツすげー萌えるwww
663:風と木の名無しさん
11/06/28 21:28:43.09 EgausHanO
俺がとってくるのが笑えましたw
誤爆で時間が無理そうだったのに間に合ってGJ
664:風と木の名無しさん
11/06/28 21:58:45.86 dIAMV5hnO
GJGJ!
もう全員かわいすぎる。
くっついたあとも周囲を巻き込んでどたばたすればいいよwww
665:風と木の名無しさん
11/06/28 22:23:12.97 GvLT7gLHO
これはGJ!
名無しのツッコミに激萌えたw絶対いい子だねこの子
666:風と木の名無しさん
11/06/29 00:31:40.48 CF9qlXP30
>>661
GJ
その部全体が萌えるじゃないか
667:風と木の名無しさん
11/06/29 00:59:10.96 GK5W54zH0
GJ!友人が苦労人過ぎてもう全部萌えたw
668:風と木の名無しさん
11/06/29 01:53:54.61 xp4aayWS0
踏みたまえ
669:風と木の名無しさん
11/06/29 01:55:37.13 lBFwy7iiO
達観してる人×往生際の悪い人
670:風と木の名無しさん
11/06/30 02:26:31.30 igjEwFqaO
お流れかな
残念
671:風と木の名無しさん
11/06/30 02:42:23.05 +a/XlH7QO
どういう萌えなのか自分にはわからなかったので待ってたけど仕方ないね
672:風と木の名無しさん
11/06/30 02:54:43.32 xiFNZmakO
回しますよ
673:風と木の名無しさん
11/06/30 03:10:46.47 fe3QHQcBO
長年801界に身を置いて自分の属性や萌えポイントを熟知した上で
スレ民の期待に応えんと受に迫る攻と
心が伴わないやっそんは嫌だと必死に抵抗する受
…みたいなのを考えたが萌えに昇華する前に時間切れになってしまった回し
674:風と木の名無しさん
11/06/30 03:57:40.81 GGjvqaEM0
673さん
別館があるよ
まわし
675:風と木の名無しさん
11/06/30 08:35:26.92 urK8wzwD0
もう僕は人の中では生きられないよ。一人で部屋にこもって物書きだけして生きていくんだ
なんで諦めるんだ?俺は…俺は諦めねえ!お前と一緒にいたいんだ…!
的なのを想像したよ
まわし
676:風と木の名無しさん
11/06/30 11:07:31.33 u5TiTPpD0
なるほど
色々な萌えがあるのだねまわし
677:風と木の名無しさん
11/06/30 11:29:47.45 PHVi54WJ0
ホモ?そんなん関係ないよオレ職業自由業だしセーフセックスするし受け大好きだしな攻めと
ホモなんて冗談じゃねえ家も継ぐし子供も欲しいし親に顔向けできねえけど攻め大好きな受け
なイメージしたけどこのスレ今見たしまわし。
678:風と木の名無しさん
11/06/30 11:36:26.27 i27R2HmS0
俺男だけど男のお前を好きになったよ!
好きになったもんは仕方ないよね
とりあえずお友達から始めませんか
×
同性の壁をあっさり乗り越えんなああああ
始めるも何も最初から友達じゃん!
お前といるとドキドキするけど俺はホモなんかじゃ・・・!
みたいなんかと思ったまわし
679:風と木の名無しさん
11/06/30 11:38:28.00 igjEwFqaO
次どうぞ
680:風と木の名無しさん
11/06/30 16:15:57.49 W1zbAUsSO
「次どうぞ」
ぶっきらぼうにそう吐き棄てた>>679は今、どんな気持ちなのだろう。
携帯の身でありながら果敢にもこのスレに書き込み、見事失敗した>>679。
いやそれともこれは初めから君が仕組んだことだったのかな?
*9ゲトに興味がなさそうな振りをしながらその実*9に興味津々だったなんて、本当に厭らしい子だね、>>679
そんなクーデレな君が私は凄く愛しいよ
681:風と木の名無しさん
11/06/30 16:18:31.84 u5TiTPpD0
「風呂あがりました。次どうぞ」
「あのさ、お前とルームシェアしはじめてから、いつか言おう言おうと思ってたんだけどさ。
何かがおかしいだろ? わかるか?」
「なにがですか?」
「お前が今言っているのは「lt's your turn」だ。だが、お前は年下だ。
本来、お前が言うべきなのは「after you」なんじゃないのか?」
「英語にされたので、余計わかりません」
「つまり「次どうぞ」じゃなくて、「お先にどうぞ」って言うべきってことだよ」
「ああー、なるほど」
「年上に対する敬意が足りない」
「敬意ですか。じゃあ「Next please」」
「お前は医者かよ。それは「お次の方どうぞ」だ」
「俺、文系なんで、英語って苦手なんですよね」
「ああ、そう。俺は英語が得意なんだよね」
「怒ってます?」
「いや、別に」
「The moon is beautiful.」
「なんだ、いきなり」
「日本語に訳してください」
「月が綺麗?」
「意味わかります?」
「今日の月みたいな感じ?」
「もういいですよ」
「素直に「I love you」って言えばいいのに」
「直接的すぎて味気ないんで」
682:風と木の名無しさん
11/06/30 22:53:28.45 +a/XlH7QO
誤爆への絡みが面白かったw
GJ
683:風と木の名無しさん
11/07/01 00:05:33.77 ZefrRnKu0
ええと、つまり、遅漏の>>679=>>681に対する
>>680の愛あるお仕置きプレイがこれから始まるわけですねw
GJです
684:風と木の名無しさん
11/07/01 16:21:31.99 7L+RlIiPO
まわそうかな
685:風と木の名無しさん
11/07/01 19:19:33.47 3Yzur02v0
まわしマッスル。
686:風と木の名無しさん
11/07/01 20:00:28.07 9xFSKU6a0
普通に回します
687:風と木の名無しさん
11/07/01 20:12:22.16 hk58PpKn0
くるくるまーわーるー
688:風と木の名無しさん
11/07/01 20:48:27.54 5/LQ7VDE0
どうせお前も踏んでくんだろ?
689:風と木の名無しさん
11/07/01 20:49:34.39 B8YKZZP10
真夏の夜の夢
690:1/2
11/07/02 02:13:30.99 1wTzGAFtO
ふたりの少年がいた。
夜の寺社だった。
真夏の夜のことだった。
ふたりの少年と青年がいた。
夜の寺社だった。
遠くで祭囃子が聞こえる。
「10年ぶりだっけ?おまえ今いくつになったんだ?」
「25だよ。同い年なんだから、わかるだろ」
「いやぁ、あんまりおっさんになっちゃってるからつい、確認のために」
「25はまだおっさんじゃねぇよ。……おまえは、変わらないな。あのときのままだ」
「あたりまえだろ。永遠の15歳だ」
691:2/2
11/07/02 02:14:33.83 1wTzGAFtO
ふいに祭囃子が途絶えた。
たのしい、たのしい祭の時間はもうおしまい。
「……んじゃ、そろそろ行くわ。元気でな」
「なぁ」
祭の時間はもうおしまい。
さあさみなさん帰りましょう。
あるべき場所に、帰りましょう。
「最後にひとつだけ。思い出、くれよ」
そう言った青年の目からあつい水が落ちる前に、ふわりと重ねた唇は。
そよ、と吹いた風と共にあわく消えてなくなった。
ひとりの青年がいた。
夜の寺社だった。
真夏の夜の夢だった。
692:風と木の名無しさん
11/07/02 03:33:47.34 Z0PRr8Fy0
情景がすごく好き
GJ!!
693:風と木の名無しさん
11/07/02 08:12:33.46 L3IkU9txO
情景も好きだし、文章の感じがすごくイイ
GJGJ
694: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】
11/07/02 08:52:22.33 BO3QxN130
>>690-691
文章構成力が無いのに投下しないでよ
語彙力が乏しすぎて話にならない
695:風と木の名無しさん
11/07/02 11:27:04.43 r2VMc4Ea0
萌えた……萌え尽きるほど萌えた
夏特有の常世と現世の交わる感がたまらない
GJでした!
696:風と木の名無しさん
11/07/02 16:54:05.28 VBp+cbTW0
シンプルなのに儚い雰囲気が出て良いな
697:風と木の名無しさん
11/07/02 20:33:18.60 h8YKPnGzO
切な怖萌える。なにこの感情複雑
698:風と木の名無しさん
11/07/02 21:02:36.14 7ARRInVQO
それじゃよろしく
699:風と木の名無しさん
11/07/02 21:04:08.84 waw8FVdH0
勘違いお耽美系受け
700:1/3
11/07/03 20:04:01.98 m4TRMLwu0
ライブを終えて裏口を出ようと階段を上っていくと、ドアの前に見たことない男が立っていた。
ちょっとしたインパクトだったのはそいつがえらく背がでかくて、そんで……普通そういう事しないよな、って動作で、
目のあたりに上げた二本の指をちょっと動かすような、まぁ古臭いっつうかそれはねぇだろって挨拶を俺にしてきたからだ。
他に誰かいれば俺じゃないって無視決め込んだけど生憎俺しかいなかった。
ファーつきの、高級カーテンみてーな柄のロングコートに、メイクに……、
いや、いいけどそのシルバーのアイメイクがやたらどぎつい。特濃。
「待ちくたびれたじゃない、YOU」
……お前どっかのアイドル事務所の社長?
「あんた誰」
「ミッシェル神條です」
なんだよその腕クロスさせるポーズ、頭おかしいのかお前。いい加減にしろ。見てるこっちが恥ずかしいだろ。
「今日YOUのライブ観てさ、」
「……そりゃどうも」
「決めたんだよ……その美しさ……ボクのバンドに入らない?」
カツンカツンカツン、と硬い階段が奴の靴底を跳ね返す甲高い音。近付いてきた奴は俺より頭一つ分くらいでかい。
「近いんスけど神條さん」
「……遠慮しないで、ミッシェル神條って呼んでいいんだよ……」
いや普通神條って呼ばれる方がいいんじゃねーの。ミッシェルてお前。
バカに関わってる時間が惜しい。俺はさっさと奴を避けて階段を上ろうとした。
「ちょっと、」
それに先回りして、俺の行き先を塞ぐ。また笑う。
「つれないなぁ……YOU」
「どいてもらえる」
「YOUがボクのバンドに入ってくれるなら」
さっさと帰りたかったし、目の前の男は頭おかしいし、その上更に俺に違うバンドに入れときた。
さすがに俺も頭にきて、目の前のお耽美野郎にずい、と詰め寄った。
「あのさ、何考えてんのかしんねーけど、俺は今のバンド以外でやるつもりはねーんだよ」
じろりと睨み上げると、何でか半開きの唇と目が妙に恍惚とした色でもって俺を見る。
何だこいつ、頭おかしい上に変態か。いや変態だから頭おかしいのか。どっちだ。
701:2/3
11/07/03 20:04:45.46 m4TRMLwu0
「その意思の強さ……やっぱりボクの思ったとおりだよ……」
うっとりと自分の頬を撫でんのやめろ。殴りてぇ。
大体、よく見たら案外整った顔してんじゃないか。何でこんなメイクしてんだ?イロモノバンド?
「じゃーさ」
「ん?」
「とりあえず化粧取って素顔見せてよ。信頼できねーだろ、そんな厚塗りの顔じゃあさ」
適当な口先でまあとりあえず怯ませる事ができたらそのままほっといて帰る気だったんだ。けど。
「そんな……メイク取るなんて何する気だい、YOU」
そんなに明るくないこの階段の片隅で、目の前の男の顔が真っ赤になる。一瞬目が点になった。何言ってんだこいつ。
「す、素顔なんて……そんな、いや、でも、君になら……」
頬に両手添えてどこの乙女だ。とりあえず動揺してんのは確かだ。もう放っておこう。多分今日は厄日なんだ。それだけだ。
まだテンパってる奴の体を押し退けて、そんじゃ、とドアを開いて外に出た。
奴が気づかない内にさっさと逃げるに限る。背中の方で奴が何か叫んでいるのが聞こえるが知るもんか。
それからまたライブまでしばらく間があったから、俺はすっかりあの変態の事を忘れていた。
変態つってもまあ害はあまりなかったからだけれども、今思えば警戒しておけばよかったとこれはもう酷く残念だ。
迂闊だった。甘かった。これは俺のせいだ。あの日と同じように、あの階段で、俺はまた一人で帰る為に階段を上っていた。
ドアの前に誰かいるのに気づくのも、少しだけ時間がかかった。気取ったポーズで立ってるな、と思ったけどその程度。
そいつが俺を見て、妙にもじもじと動き出した時も誰かと勘違いしてんのかなと思ったくらいで。
「……や、やぁ」
さっと俺の前に立ちふさがった男は、茶髪で背がでかくて小奇麗な顔した、所謂イケメンだった。次の言葉を聞くまでは。
「何。つか、ごめん、俺あんたの事知らないんだけど……」
「やだなあ、……照れてるのかい?YOU……結構シャイなんだね」
一瞬にして、以前のおかしな出来事を思い出す。けど、目の前の男とあのミッシェルなんちゃらがどうしても繋がらなかった。
「ちゃんとメイク………取ってきたよ」
……いや、なんで恥らう風なんだよ。
702:3/3
11/07/03 20:05:14.48 m4TRMLwu0
「これで……YOUと一緒になれるんだよね?」
「いや、言ってねーし。俺、一言も言ってねーよな?それ」
「メイク取れなんていきなり言われたの、YOUが初めてだよ……」
……しかも聞いてねぇし。困ったな。これどうすりゃいいんだ。
まじまじと顔を見れば、随分綺麗な顔してんのに何がどうしてこうなったのか理解できない、俺には。
「ていうかさ」
もじもじとドアの前で少女漫画みたいに顔を両手で隠してる大男の前に立つ。モデルとかやれそうなくらい背はでかい。
そのでかさで、この動作で、あのメイクか……。残念すぎるだろ。
「神條さんその方が可愛いんじゃないの」
「かっ!?」
「あんな変なメイクしないでさ、その方が可愛いのに」
「かっ…かっ、か、かかかかかかかかかかか」
瞬時に顔が真っ赤になる。そういえばこないだもそうだったっけ。面白いといえば面白い。相手すんの面倒だけど。
顔真っ赤にして挙動不審にきょろきょろした後に、ちょっと俯いた顔でこっちを見てくる目が上目遣いだ。口まで尖ってるし。
一瞬殴りたくなったのは、それが想像してなかったほど可愛かったからで。可愛いと思った俺を殴りたかったんだけど。
「か、可愛い、なんて……ちょっと、YOU、……何なんだよ……」
俺は思わず笑ってしまった。
「何それ、ほんと可愛いね神條さん」
また今度、メイクしないでおいでよ。そしたらもう少しだけ話聞いてあげてもいいよ、と俺は顔を覗き込む。
もはや耳まで真っ赤にして、まともな返答もできそうに無い目の前のを放って俺はまたしてもさっさと外に出た。
奴のバンドに入るつもりはないけど、あれをからかうのはまだしばらく楽しめそうだ。今度はなんて言ってやろうかな。
あいつがするような大袈裟な手つきで指で顎に触って可愛いね、とでも言ってやろうか。うん、そうしよう。
俺は笑いを噛み殺しながら雑踏に足を踏み出したのだった。
703:風と木の名無しさん
11/07/03 20:09:38.69 kLD+yUpy0
だめだああああああ
本文でもつっこまれてるけど
ジャニーさんにしか思えなくて萌えが阻害されるうう
いやジャニーさんの顔しらないけどさ
704:風と木の名無しさん
11/07/03 20:20:38.01 KJTo5UXvO
なぜYOUにしたしwキミとかでええやんwwと思わずツッコミ
爆笑しましたたGJ!!
705:風と木の名無しさん
11/07/03 20:45:49.09 pbnjckDjO
イメージは実際は全然違うんだろうが
ミサワのルシフェルさん思い出したww
素直にメイクとってくるミッシェルかわええw
706:風と木の名無しさん
11/07/03 20:49:38.32 1BEoCkZAO
>>700
GJ
今日、ちょっといやな事あったのが吹っ飛んだ。
ありがとう!
707:風と木の名無しさん
11/07/03 21:08:16.33 ouCRZMIt0
「YOU」の破壊力がこれ程とは。今まで侮っていたぜ…
708:風と木の名無しさん
11/07/03 21:19:30.55 g1cElk2z0
いやいやいやいやいやww腹痛いw
「YOU」はんぱないわーw
709:風と木の名無しさん
11/07/03 21:19:52.38 KE3xaScP0
一夫多妻(BL版)
710:1/2
11/07/04 04:22:55.67 t1DgQFvu0
どこも同じような大きさと色をした墓石だらけだったので、迷っていたら、「蒼井?」と背後から聞き慣れた声がした。
振り向くと、水がなみなみ入ったバケツとちいさな花束を持った茜田がいた。
俺と同じように、学校が終わってそのままここに来たのか制服姿だった。学校指定のバッグも肩からさげていた。
「お前もあいつの墓参りに来たのか」
俺が言うと、茜田は小さく頷き「全然来られなくて今日が初めてなんだ、実は」と言った。
711:2/2
11/07/04 04:31:06.72 WSPNAEOLO
そこには溢れそうなほど生けられた花があった。
そして、その前には大量の手紙と、あいつの好きな野球チームのユニフォームと、あまりに多すぎたせいかこぼれおちた線香があった。
「これじゃあ花は生けられないな」茜田が苦笑した。「花は持って帰るよ」
「桃井の野郎は死んでもモテるのか。あいつ先輩にも可愛がられてたし、後輩にも慕われていたからなぁ」俺が言った。
「そうだな…」
それから、しばらくお互いに無言になり、
「…あいつ、こんなに愛されていたのにな…」
独り言のように茜田が言った。涙声だった。
途中から携帯ですまん
712:2/2
11/07/04 04:44:53.31 WSPNAEOLO
2/2が少し抜けてた。スレを無駄にして本当に申し訳ない。
茜田の後ろに着いていったので、『桃井家の墓』の前にどうにか辿りつけた。
こうして墓石にあいつの名前があるのに、実感が全く湧かない。
二ヶ月前に葬儀に参列して、棺の中の遺体もこの目で見たはずなのに。
今にも起き上がって「ばーか嘘だって!」と笑いそうな、安らかな死に顔だったせいだ。きっと。
「とりあえず、花を…あっ」
茜田が驚いた声を出すので、視線を同じところへ向けると、そこには溢れそうなほど生けられた花があった。
そして、その前には大量の手紙と、あいつの好きな野球チームのユニフォームと、あまりに多すぎたせいか地面にこぼれおちた、線香があった。
「これじゃあ花は生けられないな」茜田が苦笑した。「花は持って帰るよ」
「桃井の野郎は死んでもモテるのか。あいつ先輩にも可愛がられてたし、後輩にも慕われていたからなぁ」俺が言った。
「そうだな…」
それから、しばらくお互いに無言になり、
「…あいつ、こんなに愛されていたのにな…」
独り言のように茜田が言った。涙声だった。
713:風と木の名無しさん
11/07/04 14:20:50.58 6x5k3a260
お笑い系のお題だと思ったら、切ない系がきたんだね
携帯からめげずに乙でした
714:風と木の名無しさん
11/07/04 22:12:22.75 w1aBSFKDO
残された妻達が夫を偲んでいるわけか
切なくて萌えたよ GJ
715:風と木の名無しさん
11/07/04 23:16:56.39 uBjs5Bad0
778 :名無しさん:2011/07/04(月) 11:26:41 ID:QZi4ngbg
本スレ710
これ誤爆?
お題とほとんど合って無いような。
779 :名無しさん:2011/07/04(月) 11:33:10 ID:QpD23uiE
3連投で誤爆はないでしょw
確かにお題に沿ってるとは言い難いから扱いに困る…
782 :名無しさん:2011/07/04(月) 14:48:50 ID:O4pEc7K.
本スレ710は棚からコピペした嵐かと思ったけど違うみたいね
最近ちょっと過敏になりすぎてる自分に反省
でも正直もっと素直に「一夫多妻」に萌えて欲しかったなぁ…
184 :風と木の名無しさん:2011/07/04(月) 21:23:07.78 ID:m6mchOhE0
チラシ933
エスパーレスする
ネガな感想吐く人が許せんのかもしれんが、個人の好みうんぬん以前の問題だろ
どこが前提に沿ってるの、あれ
716:風と木の名無しさん
11/07/05 00:18:36.99 LVr8U6Np0
チラシの裏@801板 三百七十五枚目
スレリンク(801板)
933 風と木の名無しさん sage 2011/07/04(月) 18:55:56.13 ID:gLNsSC780
”コピペ荒らしかと思った”なんて言わなくてもいいことを
わざわざ書いておいて
その次の行で”私過敏になってた反省”とほざき
同じレスの中で今度は萌え方にダメ出しする
反省してるようにはとてもみえない。文章下手ですね
捻ってても自分が萌えたら「そうきたか!」って
ちやほやするんでしょ
個人の好みを大義名分にすりかえないでよ
上から目線の主婦かニートか知らんが氏ねよ
昼間にネチネチ暇でいいですね
717:風と木の名無しさん
11/07/05 02:45:45.20 +TLMzc1O0
こういうのもいいね。
出題者の意図とはちょっと違うのかもしれないけど、
指定されたシチュエーションやカップリングをどういう風に解釈するのかは、書き手次第だってことがよくわかる。
自分が思っていたのとぴったりの萌えが書かれていたときはもちろんうれしいし、
意外な変化球で帰ってきたとしても、それはそれで新たな萌えを発掘できるかもしれない。
このスレのそういう自由度が、個人的にとても面白いと思うんだ。
>>710
切ない萌えが伝わってくるいいSSでした。GJ
718:風と木の名無しさん
11/07/05 03:17:33.41 Gl/qhQ2i0
まわし
それは 君が踏む*9
僕が 見た お題
719:風と木の名無しさん
11/07/05 03:20:54.67 ueqqJ+sKO
慣れていく自分が怖い
720:風と木の名無しさん
11/07/05 15:14:25.62 wBPMtngu0
なぁ、どうすりゃいいと思う?お、俺…こんなになっちまって
分かってんだよ、これは…こんなのは絶対ヤバイって
なのに、今だって頭ん中はあいつで…あいつがやったことで一杯だ
俺が埋め尽くされてく…全部…ああ畜生、ぜんぶだ
あいつの手管に…あいつのすべてに慣れていく自分が、怖い
721:風と木の名無しさん
11/07/06 16:21:48.30 Qyq4GNfGO
そろそろ回します
722:風と木の名無しさん
11/07/06 16:46:33.59 DJ6EDCn8O
まわしまーす
723:風と木の名無しさん
11/07/06 18:43:39.65 UnzsCEpIO
まわしー
724:風と木の名無しさん
11/07/06 19:01:23.44 E1GIp/0K0
まわすよ!
725:風と木の名無しさん
11/07/06 19:29:42.72 dyO4GPIy0
まわしとく。
726:風と木の名無しさん
11/07/06 19:56:37.83 yflTD6jS0
まわれー
727:風と木の名無しさん
11/07/06 20:49:40.12 cgCMywH9O
短いけどこういうキャラ好き
もう少し背景がわかりやすかったらもっと良かったかな
728:風と木の名無しさん
11/07/06 20:51:42.13 aCbIsu8r0
踏め!
729:風と木の名無しさん
11/07/06 20:53:36.30 iizjRX1m0
ずっと好きだった幼馴染の結婚式
730:風と木の名無しさん
11/07/06 22:09:41.29 pRoU6BTrO
※幼馴染みは女の子で
小中学校とクラスが一緒で、割と仲も良かった二人。
幼馴染みが好きだと気づいたきっかけが、彼女に彼氏が出来たこと。
嫉妬や悲しさを抑えながら、励ましたり愚痴を聞いたりしているうちに、何も言えないまま時が過ぎる。
忘れようと他の子と付き合っても、幼馴染みが忘れられず、ズルズルと時が流れたある日、彼女から結婚式の招待状が届く。
この際だから彼女のことは忘れようと、けじめをつける為に、式に参加した。
ところが、思いのほか花嫁姿の幼馴染みが綺麗で、今までの事を思い出していくうちに、花嫁の父親よりも号泣してしまった。
その時、誰かからハンカチを差し出され、好意に甘えて、止まらない涙をそれで必死に拭っていった。
涙のついでに、それで鼻をかむと、少しだけ男物の香水が香った。
顔を上げて、ハンカチを差し出してきた相手の顔を見ると、花嫁の友人がイケメンだと騒いでいた、花婿の友人の一人だった。
この後は、テンプレ展開でお願いします
731:風と木の名無しさん
11/07/06 22:41:16.55 nJ7r6rhjO
「…っていうストーリーなんだけど、どうかな兄さん」
「お前な、俺が活字嫌いなの知ってるだろ
100文字以上の文章は俺に見せるな」
「でもこれ、僕が書いたんだよ?少しぐらい読んでくれてもいいじゃないか
この女の子が向かいのメグちゃんでさ、こっちが…」
「あーはいはいわかったわかった良い話だなーうんうん」
「あらすじぐらい読んでくれてもいいじゃんか~」
「お前の文章力なら、あらすじぐらい3行でまとめられるだろうが
んな長い文なんか初っ端から読めるか馬鹿」
「んもう、兄さんってば本当に子供っぽいんだから…
そんなんだから、今日の結婚式のスピーチ、失敗しちゃうんだよ?
せっかく僕が原稿書いてあげたのにさぁ…」
732:風と木の名無しさん
11/07/06 23:19:39.83 XSWrcTf+O
>>730
ベタ展開好きとしてはたまらん。
花嫁の父より号泣してるとこ、特に萌えw
>>731
誰?
733:風と木の名無しさん
11/07/07 02:58:40.65 erwCpb8kO
>>730GJ!同じく号泣に萌えた
この後はイケメン紳士に(性的な意味で)鳴かされるんですねわかります
734:風と木の名無しさん
11/07/07 06:52:16.44 iUgid0E7O
幼なじみが女だとただの男女ものだし
肝心の801展開をテンプレでお願いしますで片付けられても
>>729に801萌えしたんなら素直にそこ書いてほしかったなあ
というわけで*0以外スレに本人の続編をお待ちしてます
735:風と木の名無しさん
11/07/07 07:17:01.23 nynDcQ1K0
全部懇切丁寧に書いてもらわないと自分では妄想できないと?
腐ィルターがまだまだ甘いな!
>>730
いい導入部だ。萌えた
この後は是非、個人的には号泣君×イケメンでお願いしたい
香水似合うイケメン受けいいじゃないか!
女の子に失恋した代わりに自分はイケメン君を好きになったのかと
またクソまじめに悩む主人公とか妄想すると滾る
736:風と木の名無しさん
11/07/07 08:01:33.33 gqdF5GakO
失恋のあとは傷の舐め合いしてるうちにくっついちゃうのがマイテンプレ
ここはひとつ婿友人は婿に惚れてたって設定でお願いします
737:風と木の名無しさん
11/07/07 11:31:55.24 pIZ3fNXP0
このケースだと、花婿と花婿の友人の関係が重要だよね
花婿の友人が同じように言えない恋をしていただと萌える
「どうして思いを告げなかったの?君は言えるのに」と
花婿の友人が言うといい
738:風と木の名無しさん
11/07/07 12:31:06.35 RqaM4vCsO
さあ行け!
739:風と木の名無しさん
11/07/07 12:31:30.20 X0EXqzHb0
今は穏やかだけど元893な受
740:1/3
11/07/07 22:39:37.73 O5W0JFUs0
亮治さんは少し変わっている。
例えば、謝り方がいちいち大袈裟だ。
普段は「男はヘコヘコするもんじゃない」と豪語している癖に
一旦自分に非があると認めると、今度は全身全霊で頭を下げる。
必要とあらば、土下座も辞さない。
謝られた方が恐縮してしまう―いや、引いてしまうほどに。
一度など、ふさふさだった頭が次の日に丸坊主になっていたことがある。
「俺なりのケジメだ。昨日、風呂場でバリカン使って刈った」
「眉まで剃るのはやり過ぎ。正直、凄まれてる気分になる」
「え、怖いか!?」
亮治さんの良いところは、眉毛が生えそろうまで、毎朝忘れずに眉を書く律儀なところだ。
例えば、一緒にゲームセンターへ行くと、必ずガンシューティングをプレイする。
所詮はゲーム。画面に表示されている照準マークに素直にヒットするし
銃型コントローラの側面についているボタンを押しさえすれば、簡単にリロードできる。
それなのに彼は、わざわざコントローラの照星で狙いを定めて撃ち、
リロードするときはわざわざ実際のリロードするアクションを挟む。
そして、プレイ中いかなるときも、標的から目だけは逸らさない。
毎回そんな調子だから、いつも気がつけば周囲にギャラリーが出来ている。
「たまには二人プレイしないか?スコア稼げるし楽しいぞ」
「あの緊張感に耐えられそうにないよ」
「じゃあ、次はお前のやりたいゲームに行くか」
亮治さんの良いところは、欲しい景品が取れなくても、クレーンゲームに500円以上は突っ込まないところだ。
741:2/3
11/07/07 22:40:54.25 O5W0JFUs0
例えば、焼肉屋へ行くと、ロースやカルビを無視してセンマイやミノばかり頼む。
そして傍らにウーロン茶を置いて、それをガツガツと食べる。
センマイをガツガツ食べる人は彼が初遭遇だった。
なんでも、飲みの席で下戸なのを誤魔化すためにひたすらツマの方ばかり食べていたら
いつの間にか好物になっていたそうだ。前向きな人だ。
酒の方に関しては、席をこなす云々の問題ではなく、今でもアルコールは一切駄目で
下戸なのは父親に似たのだと語ったそのときだけ、彼は少し遠い目をしていた。
「ん?お前は食べないのか?美味いぞ」
「内臓はグロくてちょっと食欲が…」
「そうかあ」
亮治さんの良いところは、自分の好物だからといって、それを無理やり他人に薦めないところだ。
例えば、俺の理解の範疇を超えたことを、平気でやらかす。
そう。彼は、俺の隣にいるために、俺と一緒に生きて行くために、
俺を連れて行くために、それまで積み上げてきた人生を棒に振った。
正面きってオヤジに頭を下げに来た彼は、案の定罵倒されボコボコにされたが、
殴られている最中も蹴られている最中も、相手から目を離さず、許可を乞い続けた。
そして結果的に、俺を勝ち取った。
二人で部屋へ帰る道すがら、彼は「死ぬかと思った」と言いながら
ズタボロになった顔に満面の笑みを浮かべていた。
742:3/3
11/07/07 22:42:14.39 O5W0JFUs0
そんな亮治さんにも悪いところがある。
「アキラ」
「なに」
「しようぜ」
甘えるような猫撫で声で俺の名前を呼ぶときは、たいていそうだ。
欲望に対して正直で、ムードもへったくれもない。
したいからする。その本能は俺も同じ男だからわからないでもないが…
「あのさ、見ての通り、俺今メシ作ってるんだけど」
「そんなの後でいい」
時と場所を弁えない。俺とお前がいれば問題ないだろ、ときた。
「メシ食って、風呂入った後でならいいよ」
「今したいんだよ」
「ご飯ももうすぐ炊けるから駄目です」
「飯よりお前がいい」
「だーめ」
「いいだろ、なあ、アキラー」
「今は駄目だっつてんだろうが!火ぃ使ってるときに抱きつくんじゃねえ!!」
……俺の悪いところ。
つい昔のノリで亮治さんを一喝してしまうことがある。
743:風と木の名無しさん
11/07/07 22:46:46.95 rjGQN2FA0
穏やかな元893ってアキラさんの方か!w
亮治さんすごい良い人だ
萌えたーGJ!!
744:風と木の名無しさん
11/07/07 22:51:24.28 R8U/iOUJ0
亮冶さんもアキラさんも可愛いな!
萌えたよーGJ!
745:風と木の名無しさん
11/07/07 22:54:12.23 4SmaOBzR0
亮治さんかわいいよ亮治さん…!
GJ!
746:風と木の名無しさん
11/07/07 22:56:45.11 4vk22o9c0
すごく萌えたGJ!
リズミカルで読みやすい
747:風と木の名無しさん
11/07/07 23:11:26.88 X0EXqzHb0
すごい萌えたGJ!
穏やかな時のアキラさんも良いけど
やっぱ最後の一喝の方に萌えてしまうw
748:風と木の名無しさん
11/07/07 23:11:57.56 1684KqLP0
さあ踏むが良いさ
749:風と木の名無しさん
11/07/07 23:15:32.34 mFQ2U4Qy0
デリケートな攻め×デリカシーのない受け
750:1/2
11/07/08 23:09:43.09 U93D/ZdF0
「そういやさー」
しばらくぼーっとした後にどうでもいい話を始めるのは良成さんの癖だ。
煙草を取るために俺の体の上に手を伸ばし、よいしょ、なんて言ってる。おっさん。
「んー?」
この人シャワー行かなくていいのかな。俺は少し眠い。起きたらシャワー行こう。
「俺さー、初めてアナルセックスした時の相手がさぁ、酷いやつで」
……眠気も覚めたよ。
「いきなり、何」
あからさまに不満を滲ませてみても、良成さんは煙をふう、と吐き出して全く気にしてる様子はない。
このデリカシーのなさはどうだよ。問題だろ。男ってデリケートだよ、俺なんか特にそうだし。あんただって案外そうじゃないか。
……デリケートよりバカが勝るのかな。今度病院連れてった方がいいのか?
「いや、俺だってさ、初めてな訳じゃん?あっちは初めてじゃないっぽかったけど、なんか勘違いされててさぁ」
……昔の良成さんってあんまよく知らないけど、まあそうかもね。遊ぶの好きなのは多分変わってないんだろうし。
俺は返事もせずに、でも耳を澄ませて聞いていた。聞きたくもない内容でも途中まで聞くと気になるよな。
痛いっ、つってんのにさ、あんま慣らしてもらえないつーかさ、わざと痛い風にやるんだよね。
俺が嫌がるの見て喜ぶっつーかー。今考えるとあいつSだったのかな?俺そーいうシュミないっつーの、ねぇ?
ん?何?あー、うん、そうそう、でも俺もわかんなかったからさぁ。こんなもんなんかなーうわー楽しくないなーってさあ。
「……じゃ、今も楽しくないの」
「え?」
「セックス」
何このまとまりのない話。しかも昔の男とかさ、……聞きたいか?
正直俺は聞きたくないし、もし俺がそんな話したらこの人だって俺のほっぺた抓る位はすると思うんだけどどうなんだろ。
脈絡のない話をするのが得意とはいえ今回のはちょっとアレだ。
751:2/2
11/07/08 23:10:40.33 U93D/ZdF0
「んー?今は楽しいよー?」
……ですよね。じゃなきゃ進んで俺に乗っかってきたりしないですよね。
てっちゃん、灰皿取って、と言われるままに灰皿を差し出す。縁で煙草の灰を落としてる、その灰を見ていた。
良成さんはちょっと笑いながら、まあ色々ありましたからねえ、なんて言ってる。何が色々だこのアホ親父。
「あ、そ」
あー、なんか不機嫌みたいな声出た。ムカつく。
「その後、気持ちいいのわかったんだよねー」
はいはい。ていうか、考えてみたらあんた痛くされるの嫌いじゃないじゃん。
それとも痛いのが気持ちよくなっちゃったってオチかよ?面倒だな寝てやろうかな。
「特に今はさ」
じっ、と小さな音がして良成さんが煙草を消した。
俺は顔を上げてはあそうですかそれはよかった、とかわざと言おうかと少し迷う。
「てっちゃんとだからさあ」
……何言ってんだろこの人。
「やっぱさぁ、痛いばっかってのはさあ……」
愛がないよねえ。お前が俺の事痛くするのは愛があるもんねぇ。
良成さんの愛飲する煙草の香りが近くなる。ふっと香るそれが俺の口の中に溶けた。
愛があるからねぇ。……じゃあ試しに、痛い事ばっかりしてみようかな。
それでもあんたが気持ちいいっていうんなら、きっとそこには愛があるよね?
752:風と木の名無しさん
11/07/08 23:34:35.33 hv8sF20W0
萌えた!!キャラもシチュもGJ
最後の占めが好きだー
753:風と木の名無しさん
11/07/08 23:54:19.12 vcYqi33h0
良成さんエロいですGJ!
754:風と木の名無しさん
11/07/09 07:47:15.95 znwwoVpS0
飄々としたおっさん好きだ
こういうのいいね!
755:風と木の名無しさん
11/07/09 14:33:22.20 KFa79PM8O
キャラが立ってて良い感じだ!
モノローグまでツンデレなてっちゃん可愛いGJ
756:風と木の名無しさん
11/07/09 20:13:55.22 vcxGgG+10
キャラがかわいい!
乙です
757:風と木の名無しさん
11/07/10 08:15:53.62 pOBpWQp1O
まわすね
758:風と木の名無しさん
11/07/10 08:36:42.55 LvLZZp650
踏むと良い
759:風と木の名無しさん
11/07/10 08:36:51.76 Qsu7kRu10
自分が受けだと思ってた
760:1/2
11/07/11 08:22:50.13 Kmu6srl2O
兄さんと両想いになってから、少しずつ心の準備はしていた。
そして今日、今夜が俺の覚悟が試される時なんだと、思う。
俺達以外の家族は皆外泊とか、こんないかにもなお膳立て。
けれどいざ家に二人きりとなってしまうと途端に緊張してしまい、夕食を終えた後俺は自室に篭って頭を抱えている。
勿論チャンスを逃したい訳じゃない。俺だって健全な男子であって、色々と、興味は、ある。
兄さんだってそれは同じだろう。
ああ、でもやっぱ怖いなあ。痛かったり、するんだろう、な。
…いやいや違うだろ俺の馬鹿!兄さんなら俺を気遣って大切に、それは大切に抱いてくれる筈だ。
物静かで、正直何を考えてるか分からない時もあるけど優しくて、
誰よりも俺を理解してくれる、あの人のそんなところが俺は好きで堪らないんだから!
あと背が高くて格好良くて、そのくせ甘いものとか好きでそれを指摘してやると真っ赤になったりして、あと笑顔が凄く可愛…
「風呂空いたぞー。入っても良いか?」
控え目なノックと共にバスローブ姿の兄さんが部屋へ入ってくる。
「どうした?」
ベッドの端、俺の隣に腰掛けてにこりと笑う。俺が大好きな、凄く可愛い笑顔。
それからいつものように俺の頭を優しく撫でてくれる。気持ちいい。
兄さんの腕が動くたびに、シャンプーかな?甘い香りが鼻をくすぐって、
気がついたら俺は兄さんをベッドに押し倒していた。
…あれ?こんな筈じゃあ……
761:2/2
11/07/11 08:25:11.33 Kmu6srl2O
弟と両想いになってから、少しずつ心の準備はしていた。
そして今日、今夜が僕の覚悟が試される時なんだと、思う。
彼は自覚していないようだけれど、時折見せる眼差しは欲情した雄のそれで、弟が僕に求めている役割を理解した。
今日は特に態度のおかしかった彼の背中をそっと押してやるのも、優しい兄の役割なのだろう。
ほら、やっぱり僕の思っていた通りでしょう?君の事を一番理解しているのは僕なんだから。
弟の唇を受け入れながら、そっと心の中で呟いた。
762: 忍法帖【Lv=2,xxxP】
11/07/11 12:35:12.10 trx3rSCr0
GJ!
めっちゃ萌える!
763:風と木の名無しさん
11/07/11 12:37:06.41 H75WXu7s0
>君の事を一番理解しているのは僕なんだから。
ここ凄いグっときたわ、GJ!
764:風と木の名無しさん
11/07/11 14:17:37.98 /Bhrnusi0
うおおお萌えた!乙ですb
765:風と木の名無しさん
11/07/11 19:54:02.32 rZwSpn3u0
ああ•••とても萌えた。
いい兄ちゃんだ!
GJ!
766:風と木の名無しさん
11/07/11 22:22:38.97 GbSWolmc0
よかったです!!GJ!
767:風と木の名無しさん
11/07/11 23:45:03.73 pbAOX6HN0
うまく言えないけど、すごくすごく萌えた!GJ!!
768:風と木の名無しさん
11/07/11 23:51:14.38 UvCK6/yl0
ふ、踏んでけれ~!!
769:風と木の名無しさん
11/07/11 23:51:51.38 NEEdeM4J0
二人きりの同窓会
770:1/2
11/07/12 10:26:45.09 7WkUaNNw0
二拝二拍手一拝。
形式通りのそれを行って次の参拝者に譲ろうとしたらふいに肩を叩かれた。
「やあ、山本」
「え? ……おまえ、武内?」
無遠慮にまじまじと眺めると、声をかけてきた男の顔はおよそ一年前まで寝起きを共にしていた友人のものだった。
驚く俺に、奴は泣き笑いのような笑みを浮かべている。
きっといまは俺も似たような顔をしているはずだ。
そうして俺たちは、どちらともなく抱擁を交わした。
積もる話はたくさんあった。
だが互いに近況を二三言報告しあった後は、ただ静寂だけが続いていた。
「もう、部隊の生き残りは僕らだけになってしまったね」
唐突に沈黙を破ってぽつりと呟かれた言葉は、まだ痛みを伴っていた。
いまでも克明に思い出せる。火薬のはぜる音、血と硝煙の臭い。
「まさか、死んでないのに靖国で会うとは思わなかったけど」
「……そりゃ、仲間の命日だからな」
終戦直前の大抗戦。命を散らすために出撃して、そのまま帰らぬ人となった仲間たち。
自分は生きていて、彼らはもう戻ってこない。
終戦後の日本は目まぐるしく動いていて、この一年ゆっくり休んでいる時間もなかった。
今日だけはどうしても、と無理矢理に時間を作ってきたのだった。
そしてそれは、武内も同じだったんだろう。
771:2/2
11/07/12 10:27:33.83 7WkUaNNw0
「もう行くよ」
煙草の火を踏み消して、武内は告げた。
「きっとまた、来年も会おう」
「俺達二人でか?」
「あぁ。だってもう、僕ら二人しかいないのだから」
武内の瞳には、まだ癒えぬ傷が残っていた。
俺の傷も、まだ癒えてはいない。
時間が必要だった。長い長い時間が。
「来年も再来年もその先も、きっと会おう」
そうして二人で時間をかけていけば、傷は癒えるのだろうか。
この痛みは、ただの思い出になるのだろうか。
「そうだな。約束だ」
俺たちは握手をして別れた。
こうして、俺達二人きりの同窓会は60年以上続いている。
772:風と木の名無しさん
11/07/12 11:53:59.43 U6goPJxn0
あああああもうなんだろうこの胸に来るものは!
いいもの読ませてくれてありがとう、GJ!
773: 忍法帖【Lv=3,xxxP】
11/07/12 12:01:45.42 RQ7VYkc50
GJ
よかったぜ!
774:風と木の名無しさん
11/07/12 12:45:34.35 8QVWkM3F0
あー、そうかあ。2人しかいないのかあ。
よかったですGJ
775:風と木の名無しさん
11/07/12 14:33:45.06 /1fP6Gfq0
なんかこみあげてくるもの(notゲロ)があるなぁ
gj!
776:風と木の名無しさん
11/07/12 14:49:00.29 mBbzqk460
ほの暗さい渋さにグッときました、GJ!
>>775
しんみり萌えてたのにお前の(notゲロ)で爆笑しちゃったじゃねーかwww
777:風と木の名無しさん
11/07/12 18:44:35.44 NhKUv7mj0
渋い萌えもまた良し!ありがとう!
GJ!
778:風と木の名無しさん
11/07/12 19:07:34.93 kznDiC03O
立ち止まって確かめることも大切だよね
気をつけていってね
779:風と木の名無しさん
11/07/12 19:16:41.28 AwKwKIqf0
無口攻め×お喋り受け
780:1/2
11/07/13 02:23:02.68 wIIpSuKjO
ふと気が付いたら、いつものように愚にもつかないことを喋り続ける沢村さんの肩を力任せにソファーに押し付けて馬乗りになっていた。
どうしてこんなことになったのか、俺はさっきまで何をしていたのだったか。すぐ側では、倉庫から引っ張りだしてきた古い扇風機が壊れる寸前のような音を立てていて、
節電対策とか言ってもうずっとクーラーは動いていなくて、そうだ俺は数瞬前まで暑さで朦朧としながら扇風機の羽のようによく回る沢村さんの舌を眺めていたのだった。
今はその舌はびっくりしたように止まっていて、いや実際に驚いているのだろう沢村さんの目が見開かれている。そういえばこの人のこんな顔を見るのは珍しいことだと思う。
もちろん日頃から彼は多分に表情豊かではあるのだけれど、通常はもっと芝居がかっているというか余裕綽々の態度が崩れないので性質が悪い。
だがそんな空白の時間は一瞬のことで、形の良い唇からは吐く息のように次々と言葉が飛び出してくる。
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの野口君。いくら俺がワイルドかつスウィートな魅力に溢れているからって襲うことないでしょーに。俺ってば高いのよ? もっと丁重に扱ってちょうだいよ。
てゆうか痛いっ
781:2/3
11/07/13 03:00:47.93 wIIpSuKjO
て、お前力強すぎ。何それ鍛えてんの? 何かスポーツとかやってる? 待って言わないで今当てるから。うーん柔道とか空手とか武道っぽいよなあ。あ、剣道とか?
なんかお前ってストイックだもん。武士道ってゆーの? あんな感じで」
数日前から、どうしてこの人が喋ると俺は苛立つのだろうと考えていた。それは機関銃のように撃ち出される言葉のどこで口を挟んでいいかわからないからとか、
言葉の端々から透けて見える軽薄な人間性が気に食わないからとかそういう話ではなくて、元来複雑な思考を得意としない自分には理解できない類のものだった。
俺に理解できたのは、彼のかきあげた後ろ髪の隙間から覗く意外と華奢な首筋が汗ばんでいたり、キーボードの上を静かな蜘蛛のように指先が踊っていたりする様を見ていると、
俺はいつも何かを言わなければならない衝動に駆られそしてそのたびに何も言えずに押し黙るしかなく、その短い葛藤の間、彼は息もつかずに喋り続けるということだけだった。
「え、俺もしかしてこれ貞操の危機だったりする? 野口君ケダモノなの? ムラムラしてんの? あっ。わかった。アレでしょ。最近女の子とヤッてないんだ、お前確か彼女いないもんねえ。
結構モテるのに何で作んないわけ? やっぱシャイボーイなの? 経理の長谷川さんとかお前のこと好きだって話だぜ。俺取り持ってやろうか? 経理の子で仲いい子いるしさあ、
今度4人で飲みにとか行っちゃう? やっぱ夏だしさ、恋しないとだめだろ恋。ま、俺はロンリーでもいいんだけど。ほら何てゆーの、俺が誰かとくっついちゃったら悲しむ子がいっぱいいるし?」
そして呪文のように淀みなく流れていく沢村さんの言葉を聞いていると、ただでさえ口数の少ない俺は、もう一生喋ることはないんじゃないかという気さえしてくる。
「もしもーし。ツッコミなしですか野口君。てゆうかいい加減何か喋ってくれないと俺不安になっちゃうんですけど。うーん俺なんかしたかなあ、野口君を怒らせるようなこと」
この行動の意味を、俺は知らない。ましてや休憩室のソファーで男の後輩に押し倒されて平然と喋り続けるこの人のことなんて、俺には一生理解できないのかもしれない。
「あ、髪の毛いい匂い。シャンプーどこの使ってんの?」
「―少し黙れ」
782:3/3
11/07/13 03:06:23.35 wIIpSuKjO
能天気に触れてきた手を強く掴むと思いの外それは震えていたりして、ああこの人も実は緊張していたのかもしれないとか思ったけれど、
掌から感じる体温にもう色んなことがどうでもよくなってしまって、また何かどうせくだらないことを喋ろうとしているその口を、俺の役立たずの舌で塞いでやった。
(終わり)
ごめん携帯から投下したらミスって長くなりましたorz
783: 忍法帖【Lv=3,xxxP】
11/07/13 07:09:45.42 qlitKGZ70
GJ!
大丈夫だ、むっちゃええ話だった!
784:風と木の名無しさん
11/07/13 07:15:59.31 B22b64IM0
すごく好みの文体だった…GJGJ!
785:風と木の名無しさん
11/07/13 07:29:16.87 b23p+SZ0O
やるなあ
すごいわ
786:風と木の名無しさん
11/07/13 07:45:29.87 rOpjlBQz0
ええ話や!!!
無口とお喋りの組み合わせ大好きだ!!!
ルール書きあがってから投下が原則なのであれなのと
改行が惜しすぎるのが残念だったけどGJ-
787:風と木の名無しさん
11/07/13 09:11:04.12 l8wseGP70
ソファと扇風機しか出てこないのに情景が目に浮かぶようだった
改行うぜぇwwと思ったけどおしゃべり受けのおしゃべりのうざさが伝わって
きてよかったよGJ!
788:風と木の名無しさん
11/07/13 11:17:05.17 Zu/b6PGAO
俺の屍を踏んでいけ!
789:風と木の名無しさん
11/07/13 11:19:58.19 oy/SmGo/0
病弱お調子者受け
790:風と木の名無しさん
11/07/14 12:28:17.14 B0R6c4C3O
残念お流れ
791:風と木の名無しさん
11/07/14 12:41:03.83 CYQ3iSNu0
切な笑える系で萌えそうなお題だったのに残念まわし
792:風と木の名無しさん
11/07/14 12:54:21.79 aBHvyM670
病弱通り越して、後数ヶ月で死にそうな位ボロボロな受け。
攻めは最近受けに出会ったばかりで、そこまで酷い事は知らない。
攻めに心配掛けたくなくて、わざとお調子者みたいに振舞う受けだけど
本当の性格は内気なので段々とボロが出てきて、結局全部バレる。
バレた頃にはすっかり仲良くなっていて、これがキッカケでBLカップル誕生。
ラストは死に別れエンドでも、愛の力で完治大勝利!エンドでも。
という感じで想像してみた回し。
793:風と木の名無しさん
11/07/14 15:42:47.42 0a832UzUI
まわせー
794:風と木の名無しさん
11/07/14 17:53:05.15 0uzH62da0
まわせまわせー
795:風と木の名無しさん
11/07/14 19:25:07.44 CFHtxttz0
まわす
796:風と木の名無しさん
11/07/14 19:46:53.51 N55nR4tG0
まわしとく。
797: 忍法帖【Lv=4,xxxP】
11/07/14 20:29:33.55 jw8a0Utz0
まわれ
798:風と木の名無しさん
11/07/14 20:35:00.04 TWX8yxYq0
君のためなら喜んで犠牲になるよ
799:風と木の名無しさん
11/07/14 20:36:08.59 ffHjSoGI0
正義の味方×マッドサイエンティスト
800:1/3
11/07/15 20:53:11.89 s0g4iU2o0
「それは本当ですか、博士。」
「ああ、もう今日でちょうど5年になる。そろそろ彼の身体機能は停止するだろう。」
「今回は5年ですか。少し伸びましたね。」
「彼に薬を投与した君は、少し負い目を感じるだろうが、あまり気にするなよ。
彼を選んだのは君では無く、上の指示なんだからな。」
「いえ、大丈夫です。」
「私も優秀な助手を持ったものだな。さて、薬の開発を続けるか。
この世界を守る新たなヒーローを誕生させる為に!」
「・・・はい。」
「・・・痛っ!」
「ご、ゴメン。」
昼間の会話を思い出しながら、ボーっと傷の消毒をしていた為、手元が狂ってしまった。
「・・・今日、傷多いな。敵、強かった?」
「いやー、なんか最近、治癒力がすげー弱くなってきてんだよな。
正義の味方も加齢には勝てないってか」
「加齢って・・・俺たちまだ19じゃん・・・」
たしかに数週間前までは、どんな大きい傷でも直ぐにかすり傷程度にまで回復していた。
彼に投与した薬の効果が切れてきているという証拠だろう。
801:2/3
11/07/15 20:53:47.38 s0g4iU2o0
「さてと、治療も終わったし、もう寝るかー」
彼が立ち上がって寝室へ向かおうとした時、咄嗟に彼の服を掴んでいた。
「何?」
「えっ・・・あ、いや・・・その・・・」
「どしたよ?」
「・・・その・・・したい。」
彼は驚き、目を見開いたが、直ぐに微笑み、そっとキスをした。
「・・・するなら、ベッド行こうぜ」
「んっ・・・はぁっ・・・」
いつもの彼のキスだ。力強いけど優しいキス。
その優しいキスは、今の俺には物足りなくて、無我夢中で舌を絡ませた。
「ん・・・っ、お前今日どうしたよ。
自分から誘うなんて。しかも、激しすぎ・・・」
そういいながら、顔を見合わせたとき、ふと彼が動きを止めた。
「お前さ・・・なんで、そんな泣きそうな顔してんの?なんかあった?」
「・・・いいから、続き、しよう。」
「そんな顔してるやつを抱けるかよ。何があったか知らないけど
元気無いお前とこういうことしたくない。」
「・・・お願い。」
「・・・正直言うと、今日なんかすげー眠いんだわ。ちょっと寝かしてくれねぇ・・・?」
彼の目は、今にも眠ってしまいそうなほどトロンとしていて。
そんな彼に無理やりせがむのも気がひける。
802:3/3
11/07/15 20:54:18.47 s0g4iU2o0
「わかった。ごめん。」
「悪ぃな・・・。あー、明日さ、どっか出かけようぜ。お前、明日誕生日だろ?
何か美味いものでも・・・あぁ・・・なんだ、超ねむ・・・」
そう言いながら彼は横になり、目を閉じた。
俺は隣に寝っころがり、そっと彼の手を握った。
すると彼は薄く目を開け、愛してる、と声にならない声を出し、また目を閉じた。
俺は、その言葉に返答しなかった。
それをしてしまうと、本当に最後の言葉になってしまいそうな気がして。
空調の効いて無い、蒸し暑い部屋では、彼のひんやりとした手が心地よかった。
俺は軽い懺悔をし、そして目を閉じ眠った。
こない明日を夢みながら。
803:風と木の名無しさん
11/07/15 23:21:00.76 Hrnw+sgeO
ギリギリ乙GJ
ネタ系がくるかと思ってたら…
804:風と木の名無しさん
11/07/16 09:43:21.14 gjARSj4L0
超乙
やべーすごい泣ける
805:風と木の名無しさん
11/07/16 10:20:39.35 bscQ4X4w0
乙でした!
ギャグかな、って勝手に思ってたら
切ない萌えだったGJ
806:風と木の名無しさん
11/07/16 13:03:40.10 KoRJy5yp0
別館のは笑えるヤツで、こっちは切ない系だったのね
いろいろあって面白い
807: 忍法帖【Lv=5,xxxP】
11/07/16 14:32:47.86 BNHqq2ok0
GJ
めちゃ切ない!
808:風と木の名無しさん
11/07/16 15:09:22.75 xZ8wiTSc0
よし、リロードは完璧!さあ恋!
809:風と木の名無しさん
11/07/16 15:09:54.60 N4ge/+BY0
近所のお兄さん×近所の悪ガキ
810:風と木の名無しさん
11/07/17 15:11:07.05 TZ4AntK7O
残念。
自分じゃ書けないネタだから、楽しみにしていたのにな。
24時間経過回し。
811:風と木の名無しさん
11/07/17 15:21:10.21 efS8b8nQO
残念まわしー
812:風と木の名無しさん
11/07/17 15:54:13.11 FbnK+bKa0
残念すぎる。。。
楽しみだった
813:風と木の名無しさん
11/07/17 16:02:19.28 tVd6qMC20
あー残念、たしか前もショタ系お題で流れたよね。
ショタって結構書きにくいのかな?
814:風と木の名無しさん
11/07/17 16:02:26.71 gqSg8GpVO
まわしまわし
815:風と木の名無しさん
11/07/17 16:19:09.14 +9iCTG2j0
ショタは色々難しいから書きにくいかも
自分はショタ萌えもない
数年後、こうなりました~ってネタしか出せない…
816:風と木の名無しさん
11/07/17 16:56:49.64 DZ1jm23f0
書きにくいんじゃなくて
お題出たときちょうどショタ萌えの人が
いなかっただけかと
817:風と木の名無しさん
11/07/17 17:34:11.98 vz2YVEll0
おっさんから見たら19はガキだし30代は若造で兄ちゃんよmws
818:風と木の名無しさん
11/07/17 18:24:36.42 AkhdpZpI0
君のためなら…
819:風と木の名無しさん
11/07/17 18:28:42.90 XewphTBm0
夏祭りの思い出
820:1/2
11/07/17 22:25:40.32 zsROpDonO
綿菓子でベタベタになって
かき氷で舌を虹色にして
一番の思い出は、神社裏で、ひとつの大きな林檎飴を二人でかじったことだ。
その流れで初めてのキスをされた。よく覚えている。
「甘酸っぱい思い出だー」
仕事帰りに浴衣を纏った女の子たちが、下駄を軽やかに鳴らしながら歩いているのを見て、今日が地域の夏祭りなのだと知った。
高校2年、彼と結ばれて初めて行った夏祭り。その思い出を逡巡しながらひとりごちる。
「夏祭り」
連絡はない。というか、一人でだってここ何年も夏祭りなんて行っていない。
どうせ今年もいつも通りだ。自分に言い聞かせながら帰路を辿る足を速めた。
821:2/2
11/07/17 22:28:07.14 zsROpDonO
「うわ、なにこの匂い。」
安いアパートはドアを開ければすぐにキッチンだ。外から明かりが見えたから、彼が来ていることは分かっていた。
それにしてもこの甘いにおいは…
「お帰り」
「ただいま。キッチ汚すなよー」
彼がこの家で好き勝手しているのはいつものことなので、素通りしてクローゼットに向かう。
「で、なにしてんの」
手洗いうがいを済ませてからキッチンを覗くと、クッキングペーパーに拳くらいの林檎が串刺しになって、紅いべっこうの飴で包まれていた。
「りんご飴?」
「そう。」
はい。と林檎飴を口元に突き出され、少し怪訝に思いつつもその艶めく紅に歯を立てる。まだ温かいななどと考えている間に視界に影が落ちた。
林檎を挟んで、お互いに視線を絡ませる。
「……。」
シャクっと音がして彼が林檎をから顔を離した。口角を舌でなぞりながらにっこりと笑う。いつの間にか林檎も視界から消えていた。
「初チュー記念日、10年目」
遠くで打ち上げ花火の音が響いている。
822:風と木の名無しさん
11/07/18 09:07:23.44 ah3fYYeu0
早い投下乙でした!
初チュー記念日…かわいい!
アイテムの使い方が
上手で見習いたいです。
823:風と木の名無しさん
11/07/18 10:48:22.28 ePqRuDMD0
りんご飴ってなんかノスタルジックなのよね
GJ
824:風と木の名無しさん
11/07/18 11:29:22.14 jnDl2p37O
情景が目に浮かぶようだった
こういう雰囲気好きだ
825:風と木の名無しさん
11/07/18 13:07:24.66 BfUKzZHb0
昨日祭りで買ったりんご飴が茶ばんでパッサパサだったことなんて気にしない!
だってこんなにも萌える小物になってくれたのだから!
GJ!
826:風と木の名無しさん
11/07/18 22:51:22.45 Iv52AsYI0
ではそろそろまわしますよ
827:風と木の名無しさん
11/07/19 00:02:35.05 WI0ZJ4bO0
まわし
828:風と木の名無しさん
11/07/19 00:05:58.02 df6Qx7XEO
譲ってあげるね
829:風と木の名無しさん
11/07/19 00:10:10.63 5u35KWiT0
大型犬×亀
830:風と木の名無しさん
11/07/20 00:14:04.91 XIhlnFmEO
お流れ
831:風と木の名無しさん
11/07/20 01:00:28.34 YSTMhxq1O
ちょっとハードル高いお題だったしねまわし
832:風と木の名無しさん
11/07/20 01:23:42.13 68YZ7CHr0
亀受け、見てみたかったぜ……mws
833:風と木の名無しさん
11/07/20 01:34:41.15 TM9uUaFu0
下品な想像しか出来なかったまわし
834:風と木の名無しさん
11/07/20 02:56:48.77 XWfBr9Mt0
新境地が流れて残念まわし
835:風と木の名無しさん
11/07/20 04:10:00.17 vAD5qnjX0
回し回し
836:風と木の名無しさん
11/07/20 06:49:19.52 ewalI6mn0
まわすよーーー
837:風と木の名無しさん
11/07/20 07:29:01.79 Nafzos070
回しますね
838:風と木の名無しさん
11/07/20 08:26:39.25 Yg+Apg/DO
踏むとよい
839:風と木の名無しさん
11/07/20 08:30:14.12 9XjbgBhJ0
「ずっと一緒にいようね」なんて
840:1/2
11/07/20 18:59:55.48 2zkyhH710
あいつと過ごして何年目かの夏休み。
ふたりで自転車をこいで目指した遠くの街の花火大会。
何十キロメートルの道のりに脚の筋肉は悲鳴をあげた。
ぷるぷる震えるあいつの脚を指でつついたら怒られた。
ついでにやりかえされて、攻防戦の結果、最終的にふたりで地面に力なく転がっていた。
金がなくてふたりでひとつしか買えなかった夜店のかき氷。
俺はいちごがよくて、あいつはレモンがよくて、お互い譲らずにいたら店のおじさんが半分ずつかけてくれた。
急いで食べたらむせてしまったらしいあいつの背中をしかたなくさすってやった。
841:1/2
11/07/20 19:06:19.76 2zkyhH710
何百発、何万発と打ちあがる花火は言葉を失うほどにきれいだった。
でも、となりでばかみたいに口を開きっぱなしにしてるあいつを見た笑えてしまった。
来年も再来年もこいつは、となりでばか面をさらしているだろうか。
「ずっと一緒にいようね」なんてこっぱずかしいこと俺には言えるはずもないから、
とりあえず「来年もチャリこいで花火見にこような」とだけ言った。
そしたらあいつは「やだよ」って、うれしそうに笑った。
842:風と木の名無しさん
11/07/20 20:52:00.68 aYw8OyaV0
>>840
かわゆううううう!!!
「やだよ」ニコッ!
843:風と木の名無しさん
11/07/20 22:06:28.12 iUjMj4+S0
可愛い~~~GJ!!!
そして夜店のおじさんもGJ!
844:風と木の名無しさん
11/07/20 23:17:59.22 1dNBlrZE0
うおおなんて青いんだー!
友情を友情のままに愛でたくなる可愛さがたまらない GJ!
845:風と木の名無しさん
11/07/21 00:42:12.21 f3NsmfO+0
この甘酸っぱさはいちごレモンかき氷の味なんだろう
GJ!
846:風と木の名無しさん
11/07/21 03:05:56.88 VZc+QU+l0
「やだよ」の破壊力ぱねぇ!!
GJです!!
847:風と木の名無しさん
11/07/21 03:40:08.95 mTQiFAha0
頭の中が花火大会状態になりました御馳走様です!
848:風と木の名無しさん
11/07/21 07:06:07.18 otdyY/qzO
それではどうぞ
849:風と木の名無しさん
11/07/21 07:10:21.68 A3MzgNkj0
親友にゲイバレした瞬間は意外とあっけなかった
850:風と木の名無しさん
11/07/22 07:11:55.25 NXr7cYDiO
お流れです
851:風と木の名無しさん
11/07/22 09:41:30.46 mEm8+Adb0
残念
おもしろそうなお題だったのになーまわし
852:風と木の名無しさん
11/07/22 10:56:59.65 iACDKIRi0
ゲイバレした瞬間は思いついても、それが萌えに繋がらなかったまわし
853:風と木の名無しさん
11/07/22 18:05:21.84 y7H58dEm0
まわす
854:風と木の名無しさん
11/07/22 21:43:51.72 6xHuJJpN0
mws
855:風と木の名無しさん
11/07/22 21:53:57.78 jJzC2+Cm0
目~が~回る~><
856:風と木の名無しさん
11/07/22 22:07:30.58 YB0+WO6/O
まわれメリーゴーラン
857:風と木の名無しさん
11/07/22 22:13:17.19 Jne2OqNO0
回る回るよ時代は回る
858:風と木の名無しさん
11/07/22 22:16:49.82 4DjNDs58O
回転
859:風と木の名無しさん
11/07/22 22:16:56.37 T+q0asaY0
常連客×その店のマスター
860:風と木の名無しさん
11/07/23 23:04:19.45 ClDlyy4sO
残念お流れ
861:風と木の名無しさん
11/07/23 23:13:06.69 jereSgYF0
あらま
862:風と木の名無しさん
11/07/23 23:36:33.17 tUIJoeHp0
妄想が広がりすぎてまとめられなかった
まわし
863:風と木の名無しさん
11/07/23 23:52:45.56 ey0OMwbp0
お流れが続くと寂しいね、まわし
864:風と木の名無しさん
11/07/24 00:03:22.85 hhtPEkNi0
まわそう
865:風と木の名無しさん
11/07/24 00:10:39.38 Nog2L3Wi0
まわすかな
866: 忍法帖【Lv=8,xxxP】
11/07/24 00:14:40.23 3rhywmxy0
流れすぎ
867:風と木の名無しさん
11/07/24 00:14:55.95 7QrbtpHL0
回してこう
868:風と木の名無しさん
11/07/24 00:14:58.71 8RABOh1xO
最近まわしが多くて残念ですなー
869:風と木の名無しさん
11/07/24 00:15:28.39 aipUwJif0
二人暮し
870:1/2
11/07/24 17:20:50.58 EA3SwkzM0
「おーい」
カンカン、という金属音。
控えめなそれに、明良は唸りながら顔を上げた。
視界に入った、見慣れた相棒の顔が一瞬だけ笑う。
「起きろよ。朝飯、できてる」
そう言うと、フライパンとフライ返しを手にした薫は、すぐに踵を返し寝室から出ていってしまった。
慌ててベッドから跳ね起き、その背中を追う。
広くはない部屋の、すぐ隣のダイニングテーブルには前日明良がリクエストした朝食のメニューが並んでいた。
「フワフワオムレツ!」
「食べたいって言ってただろ」
「うん」
自分と明良の分のコーヒーを淹れてから、薫は席につく。
向かいで明良が楽しそうに『いただきます』の挨拶をするのを確認してから、彼はカップに口を付けた。
871:2/2
11/07/24 17:21:28.37 EA3SwkzM0
ふんわりと盛り上がったオムレツに明良がナイフを入れると、中はとろりとした半熟。
ふと、視線を感じて顔を上げると、ほんの少し頬を染めて顔を逸らす薫の横顔が目に入った。
その理由を察して、苦笑しつつ目の前のオムレツを口に運ぶ。
「ん、うまい」
彼の一言で、薫の表情が明るくなる。
その事実に今度は明良が嬉しくなった。
「ありがとう」
「い、いいんだよ、別に。俺が作りたくて作ったんだから」
嬉しそうな笑みを噛み殺しながら、薫は忙しなくトーストを食べ始める。
今日は休日。
朝食が終わったら、素直じゃない恋人と一日の予定を立てよう。
そんなことを考えながら、明良は二口目のオムレツを口に入れた。
872:風と木の名無しさん
11/07/24 17:38:27.72 YxBS04hD0
>>870>>871
ほのぼの良いね良いね
うまいって言われて表情が明るくなるの可愛い
GJ
873:風と木の名無しさん
11/07/24 20:54:58.68 PExEJJuE0
感想聞いてから食べ始める薫に萌え!GJです!
874:風と木の名無しさん
11/07/24 21:18:35.55 BSK8HH8O0
オムレツ食べてえ!GJ
875:風と木の名無しさん
11/07/24 22:03:25.68 +ThfAsbdO
かわゆいー!
876:風と木の名無しさん
11/07/24 22:40:12.61 GZrUieoB0
「あきら」がオムレツを…ゴクリ
幸せな日常をうまく切り取っててGJ!!
877:風と木の名無しさん
11/07/24 22:52:12.73 PExEJJuE0
>>876 同じこと考えた奴がいて安心 GJ!
878:風と木の名無しさん
11/07/24 23:04:57.51 ZNTR37TZ0
さぁ踏んでくれ!
879:風と木の名無しさん
11/07/24 23:05:22.90 cyi092bBO
まさか俺のこと?
880:1/5
11/07/25 06:11:21.10 GPLmtOmE0
「なあ、これって俺の勘違いかなぁ? でも、嫌いな奴には絶対そんなことしないよなぁ?」
武史の話が一区切りついたところで、俺は雑誌から目線を上げた。
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「おいぃ! 頼むよ、ミスター!」
雑誌を机の上に放り投げる。
あいつの抗議の視線が突き刺さったが、俺は真っ向から見返す。
こいつが、今まで、しゃべっていたことなんて、心底、どうでも、いいからだ。
放課後、「話があるから、教室に残っててくれ」と言われ、奴が切り出したのは「好きな子ができた」という甘酸っぱくも香ばしい話題だった。
友情を優先するなら、俺はこいつの話を真摯に聞いてやるべきなのだろう。
だが、残念ながら友情にもテレカのように度数がある。
「ちゃんと話聞いてくれよ」
「お前さ、毎年テレビでやってるナウシカをちゃんと見る人?」
「は? まあ・・・毎年はみない・・・かな」
「だよなぁ! 俺も俺も!」
「それがなんか関係あるの?」
武史がコツンと指で机を叩く。イラついてる証拠だ。
881:風と木の名無しさん
11/07/25 07:15:17.43 J8Fqak4YO
…?
882:2/5
11/07/25 07:18:24.98 GPLmtOmE0
「面白くても、毎年でと飽きるんだよ。それなのにお前は毎週毎週・・・バカか?」
「でも、今回こそ本当に・・・」
「一回でも本当だったことないだろ? ほら、この前のゲーセンの。名前なんつったけな・・・えっと・・・」
「あれは! あれは向こうが急にバイトやめちゃって・・・」
「でも、お前のことが好きならバイト仲間に伝言頼むくらい出来たんじゃね?」
武史が口をつぐむ。
俺は相手をやり込めた事にちょっとした充足感を覚えながら、椅子に座り直した。
「でも、今度は本当に自信ある。俺に笑顔で挨拶もしてくれるようになったんだよ」
「そりゃ客に挨拶するのは店員として当たり前だろ?」
「そうかもしれないけどさぁ。その笑顔が絶対ほかのやつに対してとは違うんだよ!」
「妄想もここまでくると怖いよ。落ち着けって」
「モテるお前には俺の気持ちなんてわかんねーよ! バカ!」
「言ってろ、バカ。付き合いきれん。帰るわ」
883:3/5
11/07/25 07:28:42.75 GPLmtOmE0
俺は鞄を手に取り、武史の方を振り返らずに教室を出た。
きっとあいつは夕日の中で項垂れているだろう。
俺が帰ってきやしないかと、置いていった雑誌を手に取りつつも、
教室の扉をチラチラ見ながら十五分ほど待ち続けるに違いない。
あいつとは小一からの付き合いだ。
あいつの行動なんて手に取るように分かる。
惚れっぽくて単純な奴の行動なんて、誰だって分かるさ。
俺はコンビニでジュースとパン、あと教室に置いていった雑誌と同じ雑誌を手に取り、レジに並んだ。
順番が来たが、後ろの人に譲った。
「お待ちのお客様どうぞー」
すぐさまもう一つのレジがあいた。
少し茶髪でお下げの女の子。
俺と同い年くらいだろうか? 目も大きくて可愛らしかった。
「可愛いですね」
「え?」
884:4/5
11/07/25 07:43:46.84 GPLmtOmE0
彼女は俺を見ると、顔を赤くしてレジを打ち出す。
少し顔を近づけ、ささやくように言葉を続ける。
「名前、なんていうの?」
「あの・・・困ります」
「いいじゃん。教えてよ」
「・・・合計で五百九十円になります」
彼女は袋詰めをしつつ、隣のレジに目をやる。同僚が会話に気づいていない事を確認すると「ナナです」と小さく答えた。
「ナナちゃんには彼氏いるの?」
首を横に振った。
「じゃあ、好きな人は?」
一瞬動きが止まる。今度は耳まで赤くなった。
「いるんだね」
885:5/5
11/07/25 07:50:36.06 GPLmtOmE0
俺は財布を取り出す。
「まあ、俺じゃないよね。初対面だし」
小銭がない。俺は軽く舌打ちすると千円札を取り出し、レジ台の上に置いた。
「好きな人がいるのに、簡単に名前教えちゃうんだ。凄いね、君。頭悪いね」
彼女の袋を持つ手が震えた気がした。
「ありがと。お釣りはいらないから。じゃあね、ナナちゃん」
俺は笑顔で店を後にする。
俺を見た彼女の顔を思い出し、吹き出しそうになるのを必死に抑えた。
恥ずかしさと怒りが混ざったあの顔。
きっと武史を見るたびに今日のことを思い出すだろう。
あの女が武史に惚れていたかなんてどうでもいい。
でもきっと武史の気持ちには気付いていたはずだ。
惚れっぽくて単純な奴の行動なんて、誰だって分かるからだ。
問題なのは武史があの子に惚れていたということだ。
あいつの恋を『本当』になんかさせない。
そのことで奴は苦しむかもしれない。だが大丈夫だ。
俺も同じように苦しむのだから
(終わり)
886:風と木の名無しさん
11/07/25 09:23:17.11 yRZ5AGerO
悪い男だ…。キュンキュンした!
独占欲っていいよなー、攻めが持っても、受けが持ってもいい!
GJ
887:風と木の名無しさん
11/07/25 11:37:21.14 zmLY+lSf0
まわし
888:風と木の名無しさん
11/07/25 12:31:25.00 +T0g3YOkO
おお
大作ですねgj
889:風と木の名無しさん
11/07/25 12:32:06.27 KL+P5gFc0
主人公×ラスボス
890:1/2
11/07/25 18:53:07.96 2Qi7m5se0
お互い、あと一撃で勝負が決まることを予感していた。
肩で息をし、額から流れる汗と血を乱暴に拭うと、二人は同時に動いた。
一瞬の交錯。
倒れたのは、全世界の民に恐れられ続けてきた魔界の王の方だった。
聖剣と呼ばれるそれが、禍々しい体を突き抜ける。王の体からは黒い霧のようなものが吹き出して、その聖剣へと吸い込まれていった。
世界に平和が訪れた後、青年は目を覚ました。
見慣れない、簡素な山小屋。彼が固いベッドに身を起こすと、すぐ近くの扉が開いた。
「お目覚めか?」
両手にトレイを持って現れたその男こそ、聖剣を手に魔界の王と戦ったその人に違いなかった。
それを理解した瞬間、青年は男を殺そうと跳ね起きた。だが男は、口元に笑みを浮かべるだけだ。
それは、男がすでに青年が無力であることを知っているがゆえのことだった。
891:2/2
11/07/25 18:53:52.50 2Qi7m5se0
「どういう…ことだ」
「まあ落ち着けよ、ウィルヘルム」
男は、かつて魔界の王と呼ばれた青年の名を口にした。
トレイを無造作に小さなテーブルに置いて、ベッドへ腰掛ける。
「あんたはもう、ただの人間さ。あの剣が、あんたの王としての汚れと力を吸い取った」
「…ならば、殺せ」
絞り出すような声でウィルヘルムは言う。
嫌だね、と男は首を横に振った。
「あんたは人間として、生きるんだ。俺と共に」
「ふざけるな」
「ふざけたりするもんか。じゃなきゃ、わざわざあの聖剣を探したりしない」
「どういうことだ」
「あんたを倒して平和を手に入れるだけなら、聖剣なんざ必要なかった。その息の根を止めるだけでいい」
簡単に言ってくれる、そう思いながらもウィルヘルムは薄く笑う。
「俺がそうしなかったのは、あの聖剣の噂を聞いて、もしかしたらあんたを人間にできるかもしれないと思ったからさ」
「…なぜ」
「言わなきゃわからないのか?」
未だ立ったままのウィルヘルムを正面から見つめて、男は言った。
「その血の一滴まで、俺のものになれ、ウィルヘルム」
「………リュージュ」
そこで、初めて青年は男の名を呼んだ。
892:風と木の名無しさん
11/07/25 20:54:13.56 Zt1q8w+Z0
へへ、こんな晴天に雨が降ってきやがる
893:風と木の名無しさん
11/07/26 15:59:29.28 e5XLvu4d0
幼なじみか?幼なじみなんだな?
道を分かち、再び共に生きるなんて好物過ぎる GJGJ!
894:風と木の名無しさん
11/07/26 17:23:54.59 N1hxWV2W0
>>893
魔王の方だけ幼なじみだった時の記憶が無いとかだったら更に萌える。
895:風と木の名無しさん
11/07/26 18:54:42.48 4y0VDKwz0
魔王萌えに目覚めた GJ!
896:風と木の名無しさん
11/07/26 19:08:13.39 j9jpNN9tO
まわす
897:風と木の名無しさん
11/07/26 19:16:28.71 7xxrDJe20
グルグル回ーる グルグル回ーる
898:風と木の名無しさん
11/07/26 19:35:55.91 jRWVrjLDO
回転木馬
899:風と木の名無しさん
11/07/26 19:37:56.53 MSJwMq/T0
先輩わんこ×後輩クーデレ
900:風と木の名無しさん
11/07/27 02:30:59.74 TUwNzHrZ0
ケモナーきもっ
901:風と木の名無しさん
11/07/27 07:07:16.03 Pxq9fikkI
マジレス
ケモナーじゃねえだろわんこ攻めの意味を知らんのか
荒らし残念まわし
902:風と木の名無しさん
11/07/27 12:00:24.49 Wvs7eGU70
好きな組み合わせだったから残念。まわしまわし
903:風と木の名無しさん
11/07/27 12:41:18.93 15EsQBHO0
流れちゃうよりは下手でも書いた方がよかったかな まわし
904:先輩わんこ×後輩クーデレ
11/07/27 14:42:06.96 A6XTsJqhO
あれ?
*9から24時間たってないから、まだお流れじゃないよね?
*0権利消滅のようなので、
(*゚∀゚)<このお題もらったー!!
------------------
「カワムラー!」
背後から、のしっ、と覆いかぶさる重さに、俺はため息をついた。
「先輩、邪魔。」
「お前あいかわらずいい匂いだな~」
髪の毛に顔を埋めたまま、ふんふんと鼻をならしている。
俺の抗議に耳を貸す気はないらしい。
しかたなく読書の続きを諦め、読みかけの小説を机に伏せた。
「汗臭いでしょう。今日、ラスト体育の授業でしたから。」
「そんなことないぞ?スゲーいい匂い。」
あー落ち着く、などと言いながら、人の頭に顎をのせて深呼吸を繰り返す。
重い。
「…先輩って、昔飼ってた犬に似てます」
「え?お前犬飼ってたの?」
「ええ、拾ってきた雑種の大型犬を。」
「へぇ。何々?どんなとこが似てる??」
やたら嬉しそうに頭上で跳ねる声。
「すぐテンションがMAXになって周りが見えなくなるところとか」
「うん」
「すぐ俺の頭に顎のっけて寛ぐところとか、真夏に暑いのにわざわざくっついてくるところとか」
「うん」
「すぐ人の匂いを嗅ぐところとか、叱られても叱られてもめげないところとか」
「…うん」
するり、と腕が解かれる。
「えと…俺、ウザい?暑苦しかったか?」
振りかえると、しょんぼりとうなだれている大男。
垂れ下がった耳や尻尾すら見えそうだ。
「…俺は全部好きですけどね、先輩」
引き寄せて、首筋に顔を埋める。
すぅっと息を吸うと、土埃と、汗と、太陽の匂いがした。
「あなたの匂いも」
目と目が合った刹那、強い力で押し倒された。
今度は正面から覆いかぶさってくる男を見ながら俺は、そういえば犬の祖先は肉食獣か、などと考えていた。
905:風と木の名無しさん
11/07/27 14:47:46.16 O0rNzZHL0
先輩がかわいい!
GJでした!
906:風と木の名無しさん
11/07/27 14:55:21.62 DV44wBOe0
うおお見れて感激
わんこ×クーデレ良いね
GJ
907:風と木の名無しさん
11/07/27 15:15:56.74 lkVRm9mf0
テンポ良いなあGJ!
微妙な空気の中の投下乙!
908:風と木の名無しさん
11/07/27 15:25:49.44 qAuSKiQDP
颯爽と現れた>>904GJ
後輩わんこはよく見るけど先輩もいいな
909:風と木の名無しさん
11/07/27 15:29:53.65 BkTTNJ9CO
舞台はスラム
910:風と木の名無しさん
11/07/27 15:59:12.22 3pDkfK2c0
何言ってんだこいつ
911: 忍法帖【Lv=9,xxxP】
11/07/27 16:41:42.43 z3TG1dna0
はぁ?
荒らし?
912:風と木の名無しさん
11/07/28 06:16:48.20 S9rr5bVS0
12時間経過したので投下します
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンコン、と扉が叩かれる。
どうぞ、と答えるよりも早く、薄い扉は来訪者によって開かれた。
スーツ姿で、片手に大きな紙袋を抱えたまま部屋へするりと入ると、もう片方の空いた手で扉を閉める。
「大丈夫か?」
「ええ、今日はかなり調子がいいですよ」
固いベッドの上に身を起こした部屋の住人は、儚げな笑みで答える。
「いつもすみません、リヒト」
「気にするなと言っているだろう、チサト。お前はこの街に必要な人間なんだ、早く体を治すことだけを考えろ」
紙袋を脇に置いて、ベッドへ腰掛けると、中から林檎を取り出した。サイドテーブルのナイフを使って手早く皮を剥き、それを無理矢理口へねじ込む。
慌てて咀嚼して、チサトはベッドから足を下ろした。
咎める様なリヒトの視線を躱し、ゆっくりと立ち上がると窓を開ける。
煤けた灰色の空が、すぐに視界を埋めた。
「教会は…どうなりました?」
「ウチの人間を何人かつけてある。心配するな」
「子供たちは?」
「アジトをひとつ、提供しておいた。ほとぼりが冷めれば、お前と共に教会に戻れるさ」
カチ、と音がしてリヒトが煙草に火をつける。
気を遣ってか、部屋の真反対で長身の体を丸めるように、小さな窓の側でそれを吸い始めた。
そんな姿を見て、チサトが小さく笑う。
「それにしても、驚きました」
「あ?」
「いきなり、あんな風に実力行使でくるとは思わなかったので」
「ふん、相変わらず甘いことだな」
913:2/3
11/07/28 06:18:15.86 S9rr5bVS0
紫煙を窓の外へ吐き出して、リヒトは言った。
「あの教会は、いまや街のシンボルだ。多少危ない橋を渡ることになったとしても、自分の勢力に引き入れたくなるのさ。
…俺たちみたいにな」
「それは、でも」
「チサト、周りを信用するな。お前は自分の守りたいものを守れ」
その口調は、ずいぶん自虐的ではあった。
リヒトの横顔をじっと見つめていたチサトは、やがて視線を落としてつぶやいた。
「けれど、リヒト。あなたはわたしを助けてくれた」
「ガキの時の話だろう」
「いいえ、昔も、もちろん今も」
「チサト…」
「あの教会で、皆で暮らしていたころから…あなたはわたしを、助けてくれていた」
すっと顔を上げると静かに、チサトはリヒトへ一歩だけ近づく。
「リヒト…あなたは」
「言うな、何も。俺は…もう、戻れない」
ため息混じりの言葉に、チサトは再び窓の元へと戻った。
「これから、どうするんですか?」
「俺は俺の仕事にもどるだけ
だ」
「…また、会えますか?」
914:3/3
11/07/28 06:19:03.68 S9rr5bVS0
ごちゃごちゃした街並みを背に、真剣な瞳で問うチサトに、リヒトが思わず息を飲む。
「…お前と俺は、本来相入れないはずだ」
「そう、ですね。ですが、わたしは表で、あなたは裏で。いる場所は違えど、ここを大切に思っているのは同じでしょう?」
「ああ、何故だろうな。生きていくにも苦労するような薄汚い街だっていうのに」
「あなたの前にも、わたしの前にも、同じように思った人がいたからでしょうね」
そうか、とつぶやいて、リヒトは煙草を灰皿に押し当てる。
そして、ふらりと扉へ向かうと、真剣なチサトの瞳から逃げるように部屋から出た。
「また、会えますよね」
「さあな」
部屋を出る直前、再度投げられた言葉に濁した返事をして扉を閉める。
階段を下り、外へ出ると、リヒトは電線だらけの狭い空を見上げた。
煤けた灰色の空が、やけに眩しく感じる。
瞼の裏に浮かぶチサトの顔を振り切る様に、リヒトはまた煙草に火をつけた。
915:風と木の名無しさん
11/07/28 07:28:55.74 tH+ZXHDlO
ゲロ吐いた
916:風と木の名無しさん
11/07/28 08:45:43.57 VCB6VBk2O
こういう世界観好きだわ
投下もわざわざ待ってくれてありがとう
GJ
917:風と木の名無しさん
11/07/28 10:46:55.53 jXRQsI4x0
BLと裏社会ってなんでこんな相性いいのかな GJでした
918:風と木の名無しさん
11/07/28 11:34:12.50 mIJF9mGM0
踏んでく?
919:風と木の名無しさん
11/07/28 11:35:15.34 8v+eXdxJ0
犬猿の仲
920:1/4
11/07/28 22:58:15.92 dmiNGL3I0
姿を見ればドロップキック。
擦れ違えば取っ組み合い。
目が合えばリアル鬼ごっこ。
いつから嫌いだったかなんてもう覚えていないけれど、とにかく俺たちは俗に言う幼馴染で、更に言うならば犬猿の仲というやつだ。
921:2/4
11/07/28 22:59:09.89 dmiNGL3I0
午前中、教室。
「おい駄犬、数学で赤点取ったってマジか?」
「うるせーよクソ猿、お前だって古典で赤点だったんだろ、ざまあ」
「・・・先輩たちの犬やってて忙しかったのか?大変だなパシリ君は」
「・・・そういう委員長はいつもキーキー他人に注意する癖に自分の行動が伴ってないんだな」
「・・・不良!下っ端!校則違反!
「・・・オタク!ダサ眼鏡!バカ委員長!」
お互いに胸倉を掴み上げたところで先生に拳骨を食らって一時休戦となる。いつものことだ。
昼休み、自習室。
「・・・で、成績が下位迷子中のわんちゃんはどうしてここにいるのかな?」
「阿呆か、追試前に勉強するのは当たり前だろ。どうした?顔真っ赤だぞ?ああ猿だからか」
「あぁそうか勉強する気になったのか、いい心掛けだな馬鹿の癖に。とりあえず別の所行けよ」
「はぁ?なんで俺が移動しなきゃなんねーんだよ、嫌ならお前がどっか行けば良いだろ」
「俺が先にいたんだ、お前が出てくべきだ」
「お前が嫌なんだからお前が出てくべきだ」
口喧嘩で昼休みが終わり、結局勉強できずじまい。これもいつものことだ。
922:3/4
11/07/28 22:59:59.30 dmiNGL3I0
放課後、バス停。
「・・・おや、パシリ犬がまっすぐ家に帰るとは珍しいな」
「・・・あぁ、おかげで見たくもねぇ眼鏡猿を見ちまった、残念だ」
「は、数学の時間中ずっと爆睡してるお前が今更一人で勉強したって無駄だろうに」
「お前こそ古典のこの字も理解してねぇんだろ?明日の追試大丈夫なのかよ、えぇ?」
「・・・お前なんかに心配される程じゃない」
「・・・俺だって」
タイミングが良いのか悪いのか、丁度バスが来て、お互い無言で乗り込む。やっぱりいつものことだ。
夕方、隣り合う互いの部屋の窓から。
「・・・もしもし、わんちゃんはお散歩のお時間ですか、どーぞ」
「・・・もしもし、猿はバナナ食って寝る時間ですよ、どーぞ」
「バーカ、まだ夕方だ。なぁに、犬のお勉強を邪魔してやろうと思って呼んだまでだ」
「邪魔できる程お前も余裕無ぇだろ。自分の文系科目嫌い自覚しろっつーの」
「・・・そんなこと言って、どうせまた詰まってんだろ」
「・・・そういうことを口に出すってことは、お前も行き詰ってんのか?」
「・・・」
「・・・」
「・・・おい犬、参考書とノート持ってこっち来い。教えてやるから教えろ」
「人に物を頼む時は『教えてください』だろ。すぐ行くから茶菓子用意して、ついでに首洗って待ってろ」
不本意ながらの勉強会が始まる。結局のところ、いつものことだ。
923:920ー922
11/07/28 23:23:00.27 9vQ8h8ZfO
ちょっと失礼
924:4/4
11/07/28 23:23:43.14 dmiNGL3I0
姿を見ればドロップキック。
擦れ違えば取っ組み合い。
目が合えばリアル鬼ごっこ。
いつから嫌いだったかなんてもう覚えていないけれど、とにかく俺たちは俗に言う幼馴染で、更に言うならば犬猿の仲というやつだ。
だけどなんだかんだでこの関係は続いている。本当に嫌なら離れれば良いのに、そうしないのは単純に、俺の成績表のためである。そうだったらそうだ。
「おい犬」
「何だ猿」
「・・・ありがとう」
「・・・こちらこそありがとう」
・・・あぁ。これだからタチが悪い。
925:920-924
11/07/28 23:25:42.68 dmiNGL3I0
早速ですがミス
>>924
×「・・・こちらこそありがとう」
○「・・・こちらこそ」
でした。またROMってます。
926:風と木の名無しさん
11/07/28 23:32:05.79 8v+eXdxJ0
すごい萌えた
いがみ合いながらも、お互いを大事にしてる感じがたまらん!
ROMるなんて言わずに、是非ともまた萌えてください
GJでした!
927: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】
11/07/29 00:26:48.13 yvNfwOTT0
GJ!
ROMなんてしないでっ
928: 忍法帖【Lv=24,xxxPT】
11/07/29 00:53:03.32 eZ5JhX3S0
取っちゃえよ!
929:風と木の名無しさん
11/07/29 00:54:03.69 TtS69pE30
女王様攻め×大型番犬受け女王様攻め×大型番犬受け
930:風と木の名無しさん
11/07/29 14:00:20.14 wCW5V00g0
君は本当に嫌らしい男だな。
僕の前ではまるで犬のように涎を垂らし、こんなにも淫らな格好で欲しがっているのに
彼の前では別人のようじゃないか。
彼の前で君があんな風に振る舞うのはどうしてなのかな?
男としてのちっぽけなプライド?
それとも僕のようになりたいのか?
どちらにしても滑稽だな。
君には僕の足を舐めるみじめな姿がお似合いだし、
どう頑張っても僕のようにはなれやしないよ。
いくら僕と同じように振舞ったって、君は男に抱かれずにはいられない体なんだから。
大きな体で女みたいな声をあげて男を欲しがる変態なんだから。
彼が君のこんな姿を見たらどう思うかな?
そう、さっきから君の痴態を写してるのは
彼に君の本当の姿を見せてやる為だ。
泣くほど嬉しいのか?
最初からこうなる事を期待してたみたいだな。
変態の君らしい、実に狡猾で卑屈な発想だね。
そんな君を愛してあげられるのは僕くらいだろう。
だから、もう彼とは会わないで。
僕だけを見て。
931:風と木の名無しさん
11/07/29 14:20:38.79 wyn14GHpO
うまーい!一人称なのに関係がわかる!GJでした!
932:風と木の名無しさん
11/07/29 14:52:21.45 VDlJ7lU6O
最後に見せる攻めの情けなさが良いね。
凄く萌えましたGJ!
933:風と木の名無しさん
11/07/29 14:56:33.94 xypMHjHOO
難しいお題なのにうまいなあ!
大型番犬受け女王様攻めの痴態が目に浮かんだ
最後の攻めの弱さとかぞくぞくするくらい萌えた、GJ
934:風と木の名無しさん
11/07/29 16:10:49.29 nnJ9xipr0
本当にうまい!描写はないのに情景が自然と浮かんでくるし GJ
929もワザとかミスかわからないけど、一風変わったお題GJでした!
935:風と木の名無しさん
11/07/30 01:35:38.87 fTal3DQ70
すごい!!
>>929は大事なことなので(ryなのかと思ってたけどこれが正解か!
すばらしい
936:風と木の名無しさん
11/07/30 01:59:10.01 eHkzHUtW0
逆に燃えた
GJ!
937:風と木の名無しさん
11/07/30 03:29:42.57 XLPIvoUv0
まさかこんなに巧くまとまるとは…!
GJすぎる!
938:風と木の名無しさん
11/07/30 06:25:13.63 r5uoc6eK0
踏まれてやんよ!
939:風と木の名無しさん
11/07/30 06:49:36.97 zn4QTYYa0
飄々とした師匠×生意気な弟子
940:風と木の名無しさん
11/07/30 11:38:33.26 ynufu61z0
「師匠、見ろよ。俺どう見ても天才」
ろくろの前で背筋を伸ばして見せると師匠は一瞥を呉れてどこかへ行った。
「…無視かよ」
「無駄口は叩くなといつも言っているだろう」
いたのかよ。
さっきはどこへ行ったのかと聞くまでもなく、師匠の長い指が俺の作業着の袖をまくるのを見て手を洗ってきたのだとわかった。
「てか、どう?この皿、綺麗に成形できたと思うんだけど」
「厚みが均等でない」
椅子を引く音がしたと思ったら師匠が俺の真後ろに座る気配がした。
941:風と木の名無しさん
11/07/30 11:41:14.80 ynufu61z0
ぐっと背中を押さえられ、伸ばしているつもりだった背筋が伸びる。
「つーか、近」
「男同士でセクハラも何もないからいいんじゃないか?」
そういう割にきわどいところを触って俺の姿勢にケチつけてくるのはどういうことだ。
粘土まみれの手じゃ払いのけられやしねぇ。
「おい、まじで離れろよ」
「ん?なんか不都合でもあるのか?」
あるよ。
ある。
なんで俺はこんなにテンパってんだ。
なんで師匠はこんなに余裕かましてんだ。
悔しいじゃねぇかよ、おい。
942:風と木の名無しさん
11/07/30 11:57:31.12 ynufu61z0
書いてるときは萌えたんだが書きこんだらそうでもないことに気付いた。
ごめん、まだROMってた方がよかったっぽい・・・
943:風と木の名無しさん
11/07/30 12:33:23.11 dcj6bjAzO
942はない方が良かったね
書くにしても別館チラシかな
真夜中のラブレター状態で投下してくれる0さん達たくさんいるから言い訳不要だった
萌シチュだったよ
944: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】
11/07/30 14:14:52.30 wj6DhQGN0
いいじゃん!
GJ
超萌えたっ
945:風と木の名無しさん
11/07/30 16:26:04.46 sxeGu/rc0
情景が目に浮かんで萌えたよ、GJ!
946:風と木の名無しさん
11/07/30 19:27:40.04 Q2XuOyAmO
942みたいな構ってちゃんメンヘラは書き込まないでほしい
947:風と木の名無しさん
11/07/30 20:56:39.17 g15LTcVhO
そこまで言わんでも
とりあえずクルクルー
948:風と木の名無しさん
11/07/30 21:22:11.04 ANMyMSs60
ふめ
949:風と木の名無しさん
11/07/30 21:24:11.35 82HsooIs0
かみさまに出会った夏
950:1/3
11/07/31 06:21:14.88 cC7/weG10
まだ俺が夢見がちなガキだった頃、祖父母の住む田舎で「かみさま」に出会った。
「おや、初めて見る顔だね。他所の子かな?」
人気のない浜辺でぼんやりと潮風に当たっていると、不意に話しかけられた。
強烈な日差しの下にあっても、透き通るように白い肌。スラリとした身体に、海と同じ色の着物。
そして、中性的で整った顔立ち。
その人のあらゆる面で現実離れした出で立ちと、田舎という非日常空間にいることの興奮とが
ないまぜになったせいだろうか、俺は一目で信じ込んでいた。
「あんた、神様ってやつだろ?」
思わず口にしていた問い掛けに、その人は一瞬面食らったような顔をしたあと、
「そう見えた?」
そう言って、悪戯っ子のように微笑んでみせた。
それから毎日、朝から浜辺に駆けていった。その人はいつもそこにいて、日が暮れるまで二人で過ごした。
ある時は海や山を探検し、ある時は古いお堂で宿題を見てもらい、ある時はただ話していた。
彼は俺の普段の話を聞きたがる割には、自分のことは殆ど語らなかった。
でも、俺はその人を神様だと信じていたから、人間には話せない事情があるのだろうと大して気にしなかった。
やけに年寄りじみた横顔で遠くを見つめていると思えば、俺の他愛も無い話に子供みたいに笑い転げる。
そのギャップがまた、彼がこの世ならざるものである証のように思えて、
俺はますますその人に惹かれていった―いや、この場合「崇拝していた」とでも言うべきか。
951:2/3
11/07/31 06:25:38.56 cC7/weG10
街へ戻る前の日の夜、こっそり祖父母の家を抜けだした。
彼との別れがこれほど名残惜しくなるとは、自分でも思っていなかった。
「どうしたの、こんな時間に」
いつもの浜辺に、その人はいた。
月光に照らされた肌が白く輝いていて、いつも以上に神秘的な姿だと感じた。
「もう夏も終わりだねえ。明日帰るんでしょ? 向こうでも元気でいてね」
黙ったままの俺に、その人は月を見上げながらそれだけ言った。
その口ぶりがひどく素っ気無く思えて、頭に血が上った。
「嫌だ! 帰りたくない! ずっとここにいる!」
気がつくと、俺は彼に掴みかかっていた。
「落ち着いて、もうそんな駄々をこねる歳でもないでしょう」
宥めるように言われると、子供扱いされた気がして、ますます気持ちが高ぶった。
「だって! 俺あんたと離れたくない! あんたといてすっごく楽しかったんだ!
あんたにとっちゃただの人間のガキかもしんねーけど! 俺、あんたのこと―」
「じゃあ」
半ば泣き叫んでいた俺を遮るように、冴え冴えとした声がした。
その人が、月を背負って俺を見据えていた。
「このまま神隠しに遭ってもいいの? 君をこのまま海の底まで連れていっても、構わないの?」
初めて聞く、昏く冷たい声。でも、恐怖を上回る感情が、俺にはあった。
「いいよ。あんたが行きたい所どこでも、俺を攫ってってよ」
彼はしばらく微動だにしなかった。そして、
「僕はどこへも行けないんだよ……ごめんね、僕は神様なんかじゃないんだ」
抱きすくめられた腕の中で聞こえた声には、涙が混じっている気がした。
952:3/3
11/07/31 06:49:35.79 cC7/weG10
その後、俺はその人の手で家族に引き渡された。
両親に頭を下げるその人を見て、彼が神様でも何でもない只の少年だったことをなんとなく悟った。
街へ帰ってから、その人があの一帯では有名な旧家の「わけありの」息子だと知った。
綺麗な夢のなかに突然押し入ってきた俗っぽい現実に、勝手に彼に裏切られた気分になった。
そして、あの夏のことは忘れてしまおうと思った。
でも、月日が流れ、あの時の彼より背が高くなっても、思い出は色褪せるどころか、ますます鮮明になっていった。
やがて俺は気づいた。神様だろうが人間だろうが関係なしに、どうしようもなく彼に焦がれているんだと。
そして、あの夢のような夏の日々を、夢のままで終わらせたくはないんだと。
今、俺は海へ向かう列車に揺られている。
あの頃からは、お互いいろんなことが変わっているのかもしれない。
でも、俺の気持ちはあの夏から変わっていない。
あんたがどこへも行けないというのなら、俺が攫ってやる。
だから、あの浜辺で待っていて欲しい。
目的地を告げる車内アナウンスを聞きながら、そう願った。
953:風と木の名無しさん
11/07/31 08:11:30.67 LB4gu9Ig0
うおおおこうゆうの好きだGJ
つ、続き読みたい…!!!
954:風と木の名無しさん
11/07/31 22:51:09.79 FX2QsB5+0
GJしたー
神様も変わっていないといいね
955:風と木の名無しさん
11/08/01 01:06:12.91 16eyHSJfO
夏な感じがした
夏ってなぜかこういう雰囲気が似合う
夏休みが儚げだからかしら
GJ
956:風と木の名無しさん
11/08/01 03:01:49.29 hpQZAiks0
GJ!
情景描写がきれいで
夜の浜辺が見える気がした
957:風と木の名無しさん
11/08/01 07:25:58.47 VM1k4kdtO
回し
958:風と木の名無しさん
11/08/01 07:39:59.34 kVHB3pgU0
さあ欲望をさらけ出せ
959:風と木の名無しさん
11/08/01 07:57:06.23 BR4ttYPzO
お前が大人になるのをずっと待っていた
960:風と木の名無しさん
11/08/01 09:34:12.33 m24yjzTkO
うんこぷり
961:風と木の名無しさん
11/08/01 09:34:52.74 m24yjzTkO
ぶりっ
962:風と木の名無しさん
11/08/01 09:36:01.47 m24yjzTkO
いや~便秘気味で出てくるのが遅くなってごめんね(てへ
963:1/3
11/08/01 20:15:22.43 GTZsOmg50
12時間経過したので投下します
夏っぽくを目指してみた
ーーーーーーーーーーーーーーー
小さい頃毎年夏になると、俺はじーちゃんの家によく泊まりに行っていた。
じーちゃんちはまあとにかく田舎にあって、俺の住んでいる場所から電車をいくつか乗り継いで、しかも鈍行しか止まらないような駅で降りる。
駅は当然のように無人駅で、着く時間を連絡しておくと、じーちゃんがにこにこして迎えに来てくれた。
ばーちゃんはスイカを用意してくれてて、じーちゃんととりあえずそれを食べて。
家の裏には川に下りられる階段があって、俺は必ずその川へ遊びに行っていた。
その川で、毎年一緒に遊ぶ友達がいた。
小柄な俺よりさらに少し背の低くてふわふわした髪をしたそいつは、田舎のガキらしく真っ黒に焼けて、麦わら帽子をいつもかぶっていた。
都会育ちの俺と、根っからの野生児のあいつは、滝からダイブしたり、洞窟を冒険したり、俺がじーちゃんちにいる間は毎日のように川で遊んで、イタズラしちゃ怒られたりしてたんだ。
でも俺も中学から高校、大学に行くにつれてどんどん忙しくなって、いつしかじーちゃんちに行くこともなくなった。
いつも一緒に遊んだあいつのことも、名前すら忘れていった。
そんなある日、ばーちゃんの訃報が届いた。
わかんないもんだ、あんなに元気だったのに。そう思って、俺がばーちゃんに会ったのはずいぶん前だったことに気づいた。
久しぶりにじーちゃんちに行くと、じーちゃんは変わらない笑顔で出迎えてくれた。
けど、なんだか背中が小さく見えた。
ばーちゃんを見送ったあと、俺はじーちゃんに聞いてみた。
964:1/2
11/08/01 20:15:23.57 O0aAEraK0
「先生。僕、20歳になりました」
知っている。
今日は俺とお前が出会ってから、10回目のお前の誕生日だ。
特に祝ってやったことは無い。俺がお前の誕生日を覚えていると知ったら、きっとお前は驚くだろう。
覚えやすい日でも何でもないその日のことを、最初に知ったのは何年前だっただろうか?
一つ言えるのは、それを知った頃の俺と今の俺とでは、決定的に違う部分がある、ということだ。
「先生。僕が14歳の時に話したこと、覚えてますか?」
勿論、はっきり覚えている。
週に二度の稽古の中、普段は雑談なんて殆どしないのだが、その日は偶々恋愛の話になった。
「お前も年頃なんだから、好きな女の子の一人くらいいるんだろう?」
特に深い意味のない問いかけだった。
多分思春期のお前は照れて、答えをはぐらかすのだろうと思った。
ところが、お前は酷く真剣な顔で俺の目をまっすぐに見つめながら、こう言ったのだ。
「僕が好きなのは、先生だけです」
965:2/3
11/08/01 20:16:32.57 GTZsOmg50
「なあじーちゃん。俺が小さい頃、よく一緒に遊んでたやついたろ?あいつ、もうこの辺に住んでないの?」
「あー…そういやいたなぁ。いや、じーちゃんわからんよ。若いもんはこんな田舎、さっさと出ていってしまうしなぁ」
そっか、と答えて、俺はじーちゃんのコップに日本酒を注いだ。
その夜。
あまりに久しぶりすぎて、じーちゃんちが落ち着かない俺は、タバコ片手に家の裏へ出た。
川へ下る階段は変わらずにそこにあって、降りようかとも思ったけれど、暗いのと狭いのでやめておいた。代わりに、一段に腰かけてタバコに火をつける。
ぼんやりとそこに座っていると、下のほうから誰かくるのが見えた。
まさか、こんな時間に川から人がくるわけがない。そう思いつつも、体は金縛りにあったように動かない。
柔らかに光っているように見える人影は、俺の目の前でぴたりと止まった。
『久しぶり』
にこりと微笑んで、それは言う。
パニック寸前の俺の脳みそを刺激するように、人影は二度三度うねり、見たことのある少年の姿になった。
「お、お前…!」
『思い出してくれた?』
「なんなんだよ、お前!」
若干の恐怖を押さえつけながら問うと、少年はまた姿を変える。
すらりとした、長髪の青年になった彼は、悲しそうな顔をして川の先を指差した。
『君が、大人になって戻ってきてくれるのをずっと待ってた』
「え?なんだよ、何があるんだ?」
『僕の家。もう、潰されちゃったけどね』
そう言って、彼は肩をすくめる。
同時に、昔と変わらない、ふわふわした髪の中に存在を主張する、二つの狐耳が立ち上がった。さらに同じような毛質の尻尾まで見える。
966:3/3
11/08/01 20:17:47.84 GTZsOmg50
「き、狐…?」
『稲荷神社があったんだ…あそこに。そこが僕の家だった』
「お稲荷さん、てやつか?」
『そう。人に忘れられた僕は、もう稲荷ではない。ただの、狐…誰にも見えない、何もできない狐』
俺の喉が、無意識に上下する。
『でも、僕は忘れられなかった…君が幼い頃、一緒に遊んだことを』
「…俺もだ」
『だから、僕は君を、待ってた。大人になった君が、迎えにきてくれるのを』
「迎え、に?」
『僕は、僕を覚えていてくれる人の側でしか生きられないんだ。
一緒に、行ければいいと、思ってた。でも、実際会えれば、それで満足できるものだね…』
そう言った、彼の笑顔はひどく寂しそうで。
俺は思わず、必死になっていた。
「なあ、お前俺のとこ来いよ!狭いアパートだけどさ、一人ぐらいどうにかなるって!」
『…でも』
「待っててくれたんだろ!?俺のこと、ずっと!」
改めて思えば、何をそんなに必死になったのかわからない。
だけど、その時俺は、ただこいつと一緒にいたい、それだけだったんだ。
俺をきょとんとした顔で見つめていた彼は、やがて嬉しそうにはにかんで、頷いた。
それ以来、俺のアパートには、一匹の大きな狐が住んでいる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
長くてすみませんでした
967:2/2
11/08/01 20:19:08.86 O0aAEraK0
そういうことじゃない、わかるだろ―?と返したら、そういう意味です、わかってますとお前は言った。
俺は正直、狼狽した。
馬鹿なことを言うな、と冗談扱いすればいいのか?
俺にそういう趣味はない、と断ればいいのか?
どうすればいいのかわからなくて、俺は問題を先延ばしにした。逃げたのだ。
「そんな台詞は、大人になってから言え」
「先生。20歳は、大人ですよね?」
その通りだ。
お前はすっかり大人になった。
出会った時は俺の半分くらいしかないような、背の順で並んだら腰に手を当てていそうな子供だったのに、
今では、俺とお前の目線は同じだ。
正確に比べたことがないのだが、ひょっとするとお前の方が背が高いのかもしれない。
「先生。僕の気持ちは14歳の時から、一度も変わったことはありません」
俺はずっと黙って聞いていた。
そろそろ、応えてやらなければならない。
「俺は……」
お前は俺の目をじっと見ている。その目は10年前から変わっていないな、と思う。
「……お前が大人になるのをずっと待っていた」
--
被ってしまった…申し訳ない
968:風と木の名無しさん
11/08/01 20:22:42.34 GTZsOmg50
被った…すみません
969:風と木の名無しさん
11/08/01 20:26:11.06 hk18Kicf0
花火大会
970:風と木の名無しさん
11/08/01 20:26:23.12 hEklUtRW0
いやいや、二人ともGJでした!
ここのスレ住人×荒らし
971:風と木の名無しさん
11/08/01 22:53:58.80 +BQAisNr0
どっちも素晴らしい…一気に2つも読めるなんて、ありがとう
972:風と木の名無しさん
11/08/02 00:15:30.65 yXqn3NOP0
情景が目に浮かぶようだ・・・
GJ
973:風と木の名無しさん
11/08/02 00:40:21.17 K1k7JFTi0
なにこれ萌えた
974:風と木の名無しさん
11/08/02 09:51:17.17 IncGe4aD0
狐が切なくて胸が痛む……
GJです!
975:風と木の名無しさん
11/08/02 12:13:26.16 ZbJQnFWD0
書き込んでる奴は一度最新レス10でいいから番号含めてきっちり読み直してこい
特に>>969
そんな自分も無駄レス使ってすまない
このままだと流されていきそうで見てられなかった
976:風と木の名無しさん
11/08/02 13:21:27.11 uxznxOBi0
仕切り屋が来たぞー
977:風と木の名無しさん
11/08/02 13:52:43.52 OQFY3fCLO
仕切り屋待ってた
仕切りありがとう
すみません回していいでしょうか
次はルール厳守で頼む回し
978:1/2
11/08/02 14:33:43.32 tXlT5v2f0
12時間過ぎたからおk?
窓越しの暗い空を、鮮やかに花火が染め上げる。
月の灯りと、時折差し込む花火の光だけが暗い部屋の中を照らしていた。
「たーまやー っと」
低く、呟いて部屋の隅で酒を飲んでいた影が笑う。
手の中の杯には、上弦の月が細く光っている。
「…祭り、行かなくて良かったのか?」
部屋の反対側。
窓の外の花火を見上げ、もう一つの影が顔を上げた。
「もう、祭りではしゃぐ年じゃねえしなあ」
杯に映った月ごと酒を呑み。ことりと床に置くと窓を見上げる影ににじり寄り、後ろから抱き締めた。
「なあ…雄次」
「サカってんじゃねえ馬鹿」
抱き締めて、胸元に滑り込んでくる手を叩いて、肩越しに睨みつける。
「そう固い事を言うな」
「ふざけんな」
抱いてくる腕が。首にかかる息が 熱い。
「いい加減にしろ・・弘樹」
「俺はいつだって本気だけど」
「余計タチが悪いわ」
抱き締めてくる腕を抓り、拘束から逃げだし少しだけ離れ、また空に浮かぶ花火を見上げる。
「お前、そんなに花火が好きだったか?」
「お前のむさ苦しい顔よりはな」
「愛が見えねえ」
ほうと溜息が落ち、次の瞬間、膝の上に重量を感じた。
「…………弘樹。何をしている」
「これなら、お前は花火が見えるし。俺はお前にくっつける。何か問題でも?」
「…問題以外の何が」
いい年したオッサンの膝枕の何がそんなに楽しいのか・・
979:風と木の名無しさん
11/08/02 14:41:31.52 9LApsy270
無口×カタコト
980:1/2
11/08/03 00:40:54.91 yeFDGh/uO
俺が、この国に連れてこられたのは、三年くらい前。
早い話、その時に俺の故郷は戦争に負け、俺は何も分からないまま、気づいた時には奴隷として売られていた。
後で聞いたら、胸くそ悪い事に、性奴隷として売られていたそうだ。
んで、なんだかんだあって俺は、でっかいお屋敷の一使用人として、恐ろしいほど無口な主に仕えている。
主は彫りが深く、震えがくるほどの整った顔立ちなのだが、無口に加え、常にへの字口で眉間に寄った深いしわが、人相をかなり悪くさせていて勿体無い。
しかも、街中で子供に怖がられるたび、主の背中があんまりにもしょんぼりしているから、俺は、なけなしの頭を使って
「ダイジョブ、デス」
と、たどたどしい言葉で慰める事しか出来なかった。
ある日、若干手を抜きながら屋敷の窓拭きをしていると、神妙な顔つきの主が俺に近づいてきた。
手抜いてたのがバレたかな、とか考えていると、物凄いバリトンボイスで
「来い」
と言った。
初めてまともに主の声を聞いたが、無口でいるのが勿体無く思うほど、というか、俺の声と変えて欲しいと思いたくなる美声だ。
そんな衝撃でしばらく呆然としていたら、いつまでも動かない俺に焦れたのか、通常の倍の深さで眉間のシワを刻んだ。
機嫌悪そうだ、と空気を読んだ俺は
「チョト、マッテ…クダサイ」
と何とか伝え、手に持っていたぼろ雑巾を、バケツの中に放り込んだ。