モララーのビデオ棚in801板64at 801
モララーのビデオ棚in801板64 - 暇つぶし2ch300:風と木の名無しさん
11/05/07 23:55:55.68 MsUCrKiD0
某CMの上司と部下
部下視点です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース

301:某CMの上司と部下(1/3)
11/05/08 00:00:39.95 MsUCrKiD0
ここ数日、毎日昼時になると俺はとある机に向かう。

一昨日
「おう、暑いからな」
そう言って豪快に冷やし中華にがっついて
タレをシャツにはねさせてしまい、
女子社員に世話を焼かれていた。
…女子社員A、顔近いよもう少し離れなさいって。

302:某CMの上司と部下(2/3)
11/05/08 00:02:59.91 3te0Zvgc0
昨日

「時間ないからな、」
そう言って幾分残念そうな表情でおにぎりのビニールをひっぱる。
…残念だからって唇を尖らせるのは反則。ダメ。ゼッタイ。
そのおにぎりになりたいとか素で思った自分がいた。

303:某CMの上司と部下(3/3)
11/05/08 00:05:39.03 3te0Zvgc0
そして今日。

「だいすきだよ…!!」

俺の発言にかぶせ気味になるくらいの勢いで主張された。
その渾身の情熱をコロッケに注がれてしまったのが非常に残念ではあるが
視線はこっちだったのだから良いとしよう。
…ICレコーダーで撮っておけばよかった。

本当は「一緒に食べましょうよ」と誘いたいが
なかなかきっかけが掴めない。

明日こそは頑張ってみよう。

304:風と木の名無しさん
11/05/08 00:07:43.56 MsUCrKiD0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

何故か長すぎエラーが出たのでこれでもかという位短くして
投下してしまいました、すみません。

あの上司役の方の口調がめたらやったら可愛くて萌えました。
ひとりよがりでお目汚しでした。

305:風と木の名無しさん
11/05/08 00:31:54.60 3Ca718o60
オリジナル投下させてください。新米兵士と先輩兵士で

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

306:風と木の名無しさん
11/05/08 00:38:05.84 3Ca718o60
ごめんなさい
何かエラーでまくったのでやめます。。

307:風と木の名無しさん
11/05/08 01:18:19.72 oABkoxfdO
>304
あのCM見て以来のモヤモヤが解消されたーw
ありがとう!


308:風と木の名無しさん
11/05/08 06:13:45.40 oE1R/5m0O
>>304
GJ。
貴方と一緒にランチ食べたい・正直貴方も食べたい部下、ガンバレ。



短くした結果のその簡潔さが、かえって良い味にもなっとる感じがした


309:風と木の名無しさん
11/05/08 12:31:19.21 HV6xq+tl0
>>304
あの上司と部下は何かあると思ってたんだよ!
CMのようなスピーディーな展開でGJでした!

310:風と木の名無しさん
11/05/08 14:39:29.33 c4UL/3210
>>304
say-you!!!
部下可愛いし上司も可愛いよ!
いつかまるっと食べられる日がくるといいねえ部下

311:風と木の名無しさん
11/05/09 01:22:51.21 SorWnE8sO
>>304
うおおおお、貴女のおかげで新しい萌えが見出だせた…!!
今度からあのCM見る度にニヤついてしまいそうだww
GJでした!

312:風と木の名無しさん
11/05/10 16:44:44.70 arL/DY/Q0
番ガードからモブにナンパされてるところに櫂と三和が通りかかるイメージ
ベタだけど漫画1巻の対ミサキ戦での正義の味方参上!的二人の登場シーンが忘れられなくて

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

313:ナンパ1/3
11/05/10 16:45:30.23 arL/DY/Q0
小さい頃から妹のエミと並ぶたびに「よく似た可愛い兄妹ね」と言われることが度々あった。
時には姉妹と間違えられることもあってその度お母さんが苦笑しながら訂正していたのを覚えている。
小学生の時にいじめらた時も「女みてー」と言われた事があって何となく自分の顔が男らしくないのかなとは自覚していた。
でもさすがにスカートを履いているわけでもないのに女の子に間違えられたのは初めての経験だった。

「君暇してるの?一緒にどっかいかない」
「ここらへんに住んでるの?可愛いね」
公園の噴水の横にぼんやり座っていたところにいきなり知らない二人の男に話しかけられて、
アイチは唐突にイメージの世界から引き戻されびっくりして目を瞬かせた。
「あの、えっと…?」
「あ、びっくりさせてごめんね。俺たち怪しい奴じゃないから」
「そーそー、暇でぶらぶらしてたところに可愛い子がいたから一緒に遊ぼうと思って」

いや十分怪しいんですけど…ひょっとしてこの人達、僕を女の子だと勘違いしてるのかな…

鈍いアイチにもさすがに今の状況が何となく飲み込めた。
今日は多少暖かかったのでいつもの上着を着ずに、タートルネックのシャツとズボンだけだったので
確かに見ようによっては女の子の服装に見えないこともないかもしれない。

それにしても服装だけでそんなに女の子に見えるのかな…

内心密かに落ち込みながらアイチは立ち上がった。
「ご、ごめんなさい、今から行くところがあって。それに僕男なので…」
自分で性別を名乗らなければいけない情け無さと相手の勘違いを指摘する気まずさで
俯いたままぼそぼそとそう言いその場から去ろうとしたアイチの足は、しかし前に立ちはだかった男のせいで再び止まった。
「またまたー冗談ばっかり」
「そんなこと言わないで、ちょっとカラオケに付き合ってくれるだけでいいからさー」
二人の男に囲まれると中3にしては小柄なアイチの体では二人を見上げる格好になってしまい覚えずアイチの足がすくむ。
足を止めたアイチに気をよくしたのか、男の一人がアイチの肩に手を回した。

314:ナンパ2/3
11/05/10 16:46:28.24 arL/DY/Q0
「おごるから一緒にいこ…「おい、ちょっとまて」「ちょーっとまった!」
聞き慣れた声とともにアイチの肩の上の手が消え、強い力で後ろに引っ張られる。
たたらを踏んで新たに現れた人物の後ろに回されたアイチは振り返ってぱっと顔を輝かせた。
「櫂くん!三和くん!」
アイチの声に三和がちょっと振り返って「正義の味方参上、なんてね」とささやいてウインクし
櫂は振り向くわりに引っ張ったアイチの手に少し力を込める。
「こいつは俺たちの連れなんだがどこに連れていくつもりだ」
眼光鋭い櫂の視線に男達は一瞬ひるんだが、櫂達の明らかに高校生と思われる制服を見て
与し易しと思ったのか多少引きつった笑みを浮かべた。
「おいおい、俺たちはちょっとその子と遊ぼうと思っただけじゃねーか」
「ちょっとカラオケ行って食事おごってやろうという大人の親切心だぜ」
再びアイチに手を伸ばそうとした男に、櫂は更に険しい顔になって一歩前に踏み出す。
その時一触即発の空気に割り込むかのように、三和が大きな声で男達に声をかけた。

「あーお兄さん達に言っとくけど、もうさっき警察に電話したから、『公園で小さな女の子を男の人達が
無理やり連れ去ろうとしてます』ってね。
もうそろそろおまわりさんが来るんじゃないかな、あ、来たかも、おまわりさーん!こっちこっち!!」
大声で公園の入口に向かって叫んだ三和に二人はぎょっとした顔になった。
さすがに警察が来てこの状況を見れば男達が不利になるのは明らかである。
覚えてろとかクソガキがとか小さく呟いて足早に去っていく二人の後ろ姿を睨みつけた櫂と、
誰が覚えてやるかと舌を出した三和は、男達の姿が視界の向こうに消え去ったのを確認してアイチを振り返った。
「ごめんねっ!櫂くん三和くん」
「別に」「悪いのはあいつらなんだからアイチは気にするなって」
三和がアイチの頭を抱え込んでわしゃわしゃと多少乱暴に頭を撫でられて
二人を巻き込んでしまったと青くなってこわばっていたアイチの顔にもやっと少し色が戻る。
「あ、警察の人は…」
「そんなのくるわけないだろ、はったりだよはったり。ああ言えば一番穏便に退散してくれると思ってさ。」
アイチの頭を撫でながらいたずらっぽい笑みを浮かべた三和に思わずアイチもつられて顔がほころぶ。


315:ナンパ3/3
11/05/10 16:47:29.93 arL/DY/Q0
いつもカードキャピタルに集まる面子の中でも、三和は一番頼りにされているムードメーカーのような存在だ。
それは一歳年上だからとか言うことではなく、いつも陽気で笑っていて、そのくせカードキャピタルで
誰が悩んでいたり落ち込んでいたりしていると「なーに考え事してんだ?」とさりげなく声をかけたりするところが
皆から好かれているのだと思う。
そんな彼に「もう大丈夫だぞ」と頭をなでられると、いじめられていた昔のように冷たく
氷を飲んだように萎縮していた気持ちが軽くなっていくのを感じた。

アイチの顔色が戻ったのを確認した三和の腕からやっと開放されると、櫂がポケットに手を突っ込んだままアイチに声をかけた。
「あいつらに何もされなかったか」
まだ若干険しさが残った視線で上から下まで見られ、アイチは慌てて首を縦に振る。
「う、うん何もされてないよ。」
「…ならいい」
視線から鋭さが消え、一瞬櫂にしては珍しく優しいと言っていい視線に見つめられアイチは思わず赤面した。
アイチが小さい頃、どんなにいじめられても、学校に行くのが苦しくても手を差し伸べてくれる者など周囲に誰もいなかった。
そんな時唯一ブラスターブレードという手を差し伸べてくれた人もすぐにアイチの前から去ってしまい
それからは彼の残したカードだけを支えにして、苦しく色のない学校生活に耐えてきた。
帰ってきた櫂は4年前とは一見ずいぶん変わっていて、あまりにそっけない態度に
時々不安に思うこともなくはないけれど、でもこんな時は昔と変わらない優しさを感じる。

「ありがとう…櫂くん、三和くん、なんか」
なんか二人とも表に出る形は違うけれどもどちらもとても優しくて、まるで
「うん?」「…?」
「なんか櫂くんと三和くんってまるでお兄ちゃんみたいだなって」
赤面してそう言ったアイチは、眉をしかめて何とも言えない微妙な表情になった櫂と
その横で爆笑する三和にきょとんとする羽目になった。

316:風と木の名無しさん
11/05/10 16:47:51.57 arL/DY/Q0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ベッタベタネタでサーセン

317:風と木の名無しさん
11/05/10 22:31:19.58 cDIOgOqY0
>>316
いいイメージだ!

318:兎→虎 1/5 ◆dU4hlANcIg
11/05/11 01:24:20.82 LGvdFgyG0
虎&兎の兎→虎です。
うちの虎さんは枕とは無縁の純粋なおじさんです。
まだ何もはじまっていない二人です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

あのおじさんは無意識に無自覚に、ちょっと普通じゃない。
なのに、まったくわかっていない。
自分がどう思われてるかなんて一切気にしないみたいだ。
今までどうやって生きてきたんだろう。
僕が居なかったらこの人、どうなっちゃうんだろう。
「ばーか!相棒残して一人で逃げるほど落ちぶれちゃいねぇよ」
足手まといになるくらいなら居ない方がマシだと思ったのに。
人を勝手に相棒呼ばわりして、あの人は爆弾を持った僕の傍を離れなかった。

僕たちはヒーロー初のコンビという事で話題になるよう仕向けられたビジネス上の関係だ。
だけど会社からはなるべく一緒に居るように言われている。
だからか、彼はトレーニングもしないのにトレーニングルームに来て、
僕が走っているランニングマシーンの隣で寝転がりながらどうでもいい話をしてくる。
一応相手にするけど、くだらなすぎて適当にあしらっている。
するとほどなくしてスースー寝息が聞こえてくる。
見れば、今敵が来たら完全に終わりだと断言できるくらい無防備にだらしなく寝ている。
邪魔されるくらいなら寝ていてくれてた方がいいから放っておくけれど、お腹くらいは隠してほしい。

319:兎→虎 2/5 ◆dU4hlANcIg
11/05/11 01:25:15.05 LGvdFgyG0
僕たちは友達でもなんでもない。
「バニーちゃん、飯食ったのか?」
なんてプライベートな心配までされても困る。おまけに変なあだ名までつけて。
必要以上の干渉はやめてほしい。お節介なんですよ。
能力は僕とまったく同じなのに、性格は正反対と言っていい。
彼は要領が悪くて計算もしない。
その上発言がおかしいし、考え無しに動くし、出会った時なんかあと少しで死んでいた。
「俺たちこう見えて似た者同士なんですよ」
用意されたセリフを大げさに読み上げる彼を、トレーニングに没頭するフリをして見ていた。
一緒にしないでほしい。僕はあんなに無防備じゃない。
僕が彼のような人間と組んでなんのメリットがあるんだろう。
逆効果にしか思えない。僕は彼と居るとどうもペースが狂ってしまう。
自分の事だけ考えていたいのに、彼があまりにも勝手過ぎてつい目で追ってしまう。
デメリットな部分ばかり見えるからついイライラする。
イライラさせられる事にもイライラして、
つまらない言いあいに乗ってしまって時間を無駄にしたりする。
僕らしくない。
本当はすぐにでも切り捨てたい所だけど、会社の言う事には従うつもりだ。仕事ですから。
僕にはこの仕事を続ける目的がある。なるべく多くの人に名前や顔を見せる必要がある。
そのためにはもっと上に行かなければならない。
彼が勝手に堕ちていくだけならいいけど、このままでは組まされた僕まで共倒れだ。
余計な心配事は増える一方だし、携帯を開けばおじさんの変な顔の待ち受けになってるし。
なんだこれ。なんだこれ。

320:兎→虎 3/5 ◆dU4hlANcIg
11/05/11 01:26:20.01 LGvdFgyG0
ずっとどうしようか考えてたけど、やっぱり電話するしかない。
別に明日でもいけど、何度か見ているうちに無性に腹が立ってきた。
こんなくだらない事で僕の時間を奪ったこと、一生忘れません、と言うつもりでかけたのに。
「変な奴に襲われてるんだ!」
ああほらまた。
だからおじさんは、なんでいつもそうなんですか。
なんだろう、胸がモヤモヤする。
どうせ嘘だろう。この間も結局くだらないバースデーサプライズとかだったし…
後からブルーローズに聞いたけど、「プレゼントは俺」とか言ってたそうじゃないですか。
考えられない。どこのおじさんがそんな事を言うんですか。
どういうつもりで言ってるんですか。
僕が喜ぶとでも思ったんですか?思ったなら、何故そう思ったのか聞きたい。
まぁどうせ、あなたの事だから何も考えてないんでしょうけど。
やってられない。
で?まさか本当に襲われてるんじゃないだろうな…。

「お前、そういうの疲れない?」
出会って二週間の時にそんな風に言われた。
「べつに。全て仕事ですから。」
呆れたような顔をしていた。
呆れているのはこっちだ。
何も考えずに済むおじさんは疲れも無くていいでしょうね。
彼は思った事が口にも顔にも出る。
よく言えば、裏表の無い人間。
悪く言えば、ただの脳の無い人間。
そんな事だから敵を逃がすし、チャンスも掴まない。要するに甘い。
疲れる?僕が何年こうして生きてきたと思っているんですか?
あなたが僕の一体何を知っているんですか?
何も知らないはずだ。

321:兎→虎 4/5 ◆dU4hlANcIg
11/05/11 01:27:15.66 LGvdFgyG0
僕は大概の事は笑って済ませられる。
楽だし、だいいち他人に興味が無い。
他人の言動で心を動かす事など、有り得ない。
それなのに。
彼の前では何故かそれができない。
結局本当に襲われてたし、何故かファイヤーエンブレムと一緒に居るし、
「さっきは添い寝してあげるって言ってたじゃないか」
ほら。笑って済ませるなんて、全然できない。
おじさん。その人は「そういう」人だと思うんですけど。
「そういう」人が添い寝って言ったら、あなたどうなっちゃうかわかってるんですか?
なんで僕がおじさんの心配までしなくちゃいけないんですか。
勝手に人の時間を潰しておいて、何もわかってない。
そんなに危なっかしいなら、ずっと僕の傍にでもいればいいじゃないですか。
…いられても困るけど。
なんで一人でデビューさせてくれなかったんだろう。
僕は今までずっと一人で生きてきたのに。
今だって一人だ。
そして、これからも、一人なんだ。
なんで僕の前に現れたのがおじさんだったんだろう。
この人じゃなければこんな余計な事考えなくて済んだのに。
放っておいたらどこへ行って何を壊すかわからない、
勝手に飛び出して、すぐに僕の傍から離れていく。
こんな人とはもうやっていけない。

322:兎→虎 5/5 ◆dU4hlANcIg
11/05/11 01:28:10.72 LGvdFgyG0
「…ああもう、面倒臭い。」
「どうしたバニー?」
「別に!あなたに言ったってどうにもなりません。」
「ほんっとにお前かわいくないなぁ!…うさぎのくせに」
「…は?」
言わせておけばいい、こんな他愛もない事。
なのに、なんでだろう。こんなにも心がざわつく。
腹が立って腹が立ってしょうがない。
「だいたいあなたは詰めが甘いんですよ全てにおいて!」
「な、なんでそんなに怒ってんだぁ?いきなり。」
驚いたような、悔しいような顔をするおじさんに真顔で近付くと、途端に弱々しい態度になる。
これがいけない。
こうやってすぐ顔に出る所が、おじさんの悪い所だ。
座ってヘラヘラしていたおじさんを上から見下ろせば、泣きそうな顔をする。
ワイルドタイガー?これじゃ、耳を伏せて怯える猫だ。
「…失礼します!ここに居ても時間の無駄みたいなので。」
「あ、おいバニー!バニーちゃ~ん?」
何もわかってない。
最近、バニーって言われたら普通に振り向いてる自分に気づく。
僕はバニーじゃない。バーナビーだ!
本当に腹が立つ。

携帯を開けばまたあのおじさんの変な顔が現れた。
ああ、腹が立つ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

323:風と木の名無しさん
11/05/11 05:57:37.52 1+1YjS5V0
ツンデレ可愛いなぁ。GJ!!

324:風と木の名無しさん
11/05/11 13:41:58.32 prLGuGra0
読めて嬉しいなあ
ありがとう!

325:風と木の名無しさん
11/05/11 14:07:19.63 VmN8x1l90
兎さんかわいいなあGJ

実はこれが虎と兎で二次初読みなんだけど
兎さん一人称視点の場合は「俺」だと思ってたw

326:蛙軍曹 緑黄緑 1/2
11/05/11 14:51:30.07 ndOWdVdxO
蛙軍曹の黄緑前提の緑黄です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



 日向家、ケロロの自室。ベッドの上に、黄色と緑。
 何をするでもなくだらだらと時間を過ごしていた。

 不意に、緑―ケロロが、眺めていた雑誌をベッドの下に放り出した。ちらりと横を見やると、黄色、ことクルルも何がしかの作業を終えたのか、端末を閉じ、転送したところだった。

 お互いに手が空き、ふと視線がかち合う。
 先に行動を起こしたのはケロロだった。徐にクルルの肩に触れ、柔く押し倒していく。
 布団に倒され組み敷かれる形になっても、クルルは動かない。

「……随分余裕でありますな」


「積極的なのは、まあ嫌いじゃあねぇからな」

「あのね、そりゃ普段受け身なのはこっちだけどさ、我が輩これでもオトコノコだしぃ、それにクルルよりもオトナでありますよ? 危機感とか無いわけ?」

 くつくつと、常よりの不適な笑みを崩さないまま、クルルはケロロの首に腕を回し、引き寄せる。

「構わねえよ、隊長。……あんたの好きにしろ、全部」

 耳元で囁かれた、確かな熱を持った言葉に舌打ちで返したケロロは、乱暴にクルルの眼鏡を剥ぎ取った。

327:蛙軍曹 緑黄緑 2/2
11/05/11 14:54:26.51 ndOWdVdxO
・・・

 その後、乱れたベッドの上、眠りこけるケロロに背を向けたクルルは頭を抱えていた。
 正直、甘く見ていたのだ。ケロロがそこそこに場慣れしているのは分かっている。しかし、自分もそれなりだという自負もあり、ある程度高を括っていたのである。

 結果、玉砕。
 最初のうちの余裕など早々に取り払われ散々に翻弄されつくし、挙げ句の果てに軽く記憶と意識を飛ばした。
 目が覚めたばかりの頭、それでもおぼろげに浮かぶ己の醜態に、人知れず悶絶する事となった。

―このオッサン、どこまで読めねえんだ……!


 クルルは能天気に眠るケロロを忌々しげに睨みつけ、布団にもぐり込む。
 ベッドのぎりぎりまでケロロを押しやり、もう一度眠りについた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

とにかく黄色と緑が好き。
どっちが上でもいいからワンセットで!

328:風と木の名無しさん
11/05/11 20:46:33.83 /mXCTt2B0
>>327
黄緑リバktkr!
普段は攻めの黄色が気まぐれで受けに回ってみたら予想外に凄かったでござるの巻きw
面白かったーGJ!

329:風と木の名無しさん
11/05/12 05:59:53.17 5jdZbo1M0
>>326
萌えた!!!緑黄リバ凄くいい…!
緑に翻弄されちゃう黄に萌えました!
姐さん有難う御座いました!


330:風と木の名無しさん
11/05/12 11:49:04.56 urNMOA/aO
>>304
うわあああ萌えてたのわたしだけじゃなかったあああ

若干遅レスだけど姐さんありがとうまじありがとう
ぜひ長いver.も読みたい!

331:神メモ(四代目×ナルミ) 1/4
11/05/17 10:03:16.24 VGOiKB+JO
神様のメモ帳 四代目×ナルミです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

以前、雇い主である幼い少女は
ナルミは四代目の眼を直視できる数少ない人間だと称した。
特に意図的にそうしていたわけではないのだけれど
四代目の眼を見ること自体に抵抗はなかった。
……別に、眼を逸らしたら野犬よろしく
襲いかかられそうだと思っているわけではない。
今日も今日とて、平坂組事務所に呼び出されナルミは、そんなことをぼんやりと考えながら
組員曰く「急に画面が青くなったっス!」状態なパソコンの復帰に努めていた。
「直るか」
「直りますよ。ついでに、またアップデートしときますね」
「ああ」
どうしてこんな単純なことが、これだけ人数のいる
平坂組の誰もが出来ないのだろうと、思いはしたが口には出さなかった。
それくらいの分別はある。
「園芸部。全部口に出てるからな」
「は!」
呆れ果てたような四代目の言葉に慌てて振り返れば、
いつもの狼の眼が眇められている。
怒っていると言うよりは、やはりその声色通り呆れているのだろう。
すみません、と謝るのも憚られるし
とりあえず、誤魔化すようにへらりと笑ってみると、四代目が片眉を器用に上げる。
そういう仕草が様になると、何とはなしに眺めていると
四代目も負けじと食い入るように見つめてくる。
元より互いに口数が多い方ではないが、こうして無言の中
ただ互いに見つめ合うのもおかしな話だ。
まさか四代目こそ、眼を先に逸らした方が負けなどと
野生の狼のようなことを考えているわけでもないだろうに。
「……どうしたんですか?」

332:神メモ(四代目×ナルミ) 2/4
11/05/17 10:07:26.51 VGOiKB+JO
流石に訝しく思い、そう訊ねるも返事はない。
その視線だけは逸らさずに、四代目が立ち上がりゆっくりと歩み寄ってくる。
その眼を見つめ続けている以上
自然、仰向けてしまう首が疲れるな、などと思っていると
ちょうど目の前で立ち止まった四代目が身を屈める。
やはり視線は、逸らさない。
徐々に近くなる狼の双眸に焦点が合わなくなる。途端。
「……」
何か柔らかくて、少しかさついたものが、自分の口に押しつけられた感触。
それを計りかねて、ただ目を瞬かせていると、僅かばかり距離を取られたおかげで
ほんの少しだけ見えるようになった四代目が、覿面に顔を顰めているのが分かった。
「……目くらい瞑れねえのか」
不機嫌そうな表情で、不機嫌そうにそう呟かれ、反射的にぎゅっと目を瞑る。
「…………」
思わずそうしてしまってから気づく。
おかしくないか。
その前に、今、自分は、何をされた?
「いや、ちょ……!」
再び目を開き、抗議のために口まで開けたのが悪かった。
「……っ!」
間抜けにも開きっぱなしだった口唇は、同じように開いた四代目の口唇に
発しようとしたその言葉ごと食らわれる。
狼に噛まれた。
口づけなんて、そんなロマンチックなものじゃない。
これは捕食だ。
がぶり、がぶりと角度を変えて、
食い散らかすそれは、まさに狼そのもの。
あまりのことに、抵抗すら忘れた。

333:神メモ(四代目×ナルミ) 3/4
11/05/17 10:10:35.38 VGOiKB+JO
それが、どれほど長い時間だったのか
或いは一瞬のことだったのか、判然としない。
気づけば狼は食事を止め、いつもの通りの泰然とした様子で、こちらを眺めている。
「―おい、園芸部」
声をかけられ、不自然なほどに体が跳ねた。
そうして一瞬後、一気に体が熱くなる。
絶対にあり得ないと脳が理解を拒否しようとするが
口唇に残る感触と、口腔に残る自分以外の唾液の味がそれを許さない。
熱い。頭も、顔も。
きっと今、自分の顔は、幼くも聡明な探偵が愛する
あの毒々しい飲み物の容器のような色をしているに違いない。
「し……しつれい、します!」
椅子を蹴り倒す勢いで立ち上がり、部屋を飛び出る。
「あれ?兄貴、もうお帰りで?」
「お疲れっした!」
後ろも見ずに事務所を飛び出す途中、電柱たちに
暢気な声をかけられたような気もするが
それに応える余裕などあるはずもない。
ただただ、その場から逃げて
そして、慣れ親しんだあの場所に帰ることだけで頭がいっぱいだった。
「アリス!」
「な、なんだ!」
だから、そこに到着するなり
ノックなどという人としての礼儀などかなぐり捨てて扉を開け、部屋に飛び込んだのだ。
突然、飛び込んできた人物に
その部屋の主は長い黒髪を跳ねさせて弾かれたように振り返った。
主の驚愕に呼応するように、ベッドの上の
彼女の半身達が、数匹ころころと転がり落ちる。
「四代目が……っ」
「お、落ち着け、ナルミ!四代目がどうしたというんだい?」

334:神メモ(四代目×ナルミ) 4/4
11/05/17 10:12:15.63 VGOiKB+JO
「四代目が、僕にキ……」
「……き?」
そこまで口にして、はたと気づく。
たった今起こった、衝撃的且つ非現実的な事象を
この年端もいかない少女に話してどうするのか。
いくら混乱しているからとはいえ
そして、四代目の不可解な行為の謎を、一人では抱えきれないからとはいえ
流石にそれは、どうなんだ。
そう考えるだけの冷静さを取り戻した途端、
アリスに縋ろうとした自分の行動が、急に恥ずかしくなる。
「……いや、何でもない。何でもなかった」
「待て、ナルミ!どう考えても今のは何でもなくはないだろう!」
「いや、本当に何でもないんだ!」
「今のきみはさながら、餓狼の牙より這々の体で逃げ出した
哀れなヘラジカの如き有様だぞ!」
「な、なんでそれを?!」
「そうなのか?!」
しまったと思うが、それでもやはり言えない。
言えば或いは、アリスのその明晰な頭脳によって
何らかの回答を得られるかもしれないと分かっていても。
どうして言えるだろうか。
まさしく狼の牙の餌食になったなんて。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ナルミ視点の為、四代目が物凄く手慣れて冷静なように見えますが
ナルミが帰った後の四代目は、きっとジタバタしてるはず。
お目汚し失礼しました。

335:風と木の名無しさん
11/05/22 01:45:24.05 Ar29F4TfO
初投下失礼します。
半生注意。洋画「印背ぷしょん」古部?×亜ー差ー
夢の中でエロあり。改行おかしかったらすみません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


336:良い夢か、悪夢か。1/7
11/05/22 01:47:23.80 Ar29F4TfO
古部は彼女に囚われている。その想いで俺達を危険に晒してしまうほどに。
夜中に何度か機械に繋がって眠っているのを目にしたが、きっと彼女に会いに行っているんだろう。
今でも彼女を深く愛しているのは、誰が見ても明らかだ。
そのせいで任務中に彼女の”影”が俺達の邪魔をする。彼女に傷付けられたこともある。
正直、古部は彼女を失って以来完璧に任務をこなせる状態にまで戻れていないのだ。
だが俺は、古部を咎めることができない。
もう二度と会えない人に会いたいと望むことを止める権利なんて誰にもない。
それに、どうやったら彼を立ち直らせられるかもわからない。
彼女の代わりなんているはずもない。
俺達のためにも、何より古部自身のためにも、なんとかこの状況を
変えなければならないのはわかっている。彼もそう感じていると思う。
だが結局誰も解決策など見つけられないまま、時間だけが過ぎていく。
そして俺が選んだのは、おそらく彼と同じ―いや、彼よりも利己的にすぎる答え。
「……情けないな、俺も」
そう自嘲し、俺は自分が使っているスペースに戻った。
身体を横たえられるサイズの長椅子に腰掛け、機械から伸びる
チューブを手首に繋ぐと間もなく鎮静剤が回ってくる。
やがて瞼が重くなり、深く長い夢の世界へと落ちていく。
そう、俺がどれだけ古部のせいで危険な目に遭っても何も言えずにいるのは。
「良い夢を……」
俺が彼に許されない感情を抱いているからだ。

337:良い夢か、悪夢か。2/7
11/05/22 01:48:46.76 Ar29F4TfO
■■■

俺の夢、俺の潜在意識。登場人物は、皆俺の意識の投影だ。
「亜ー差ー」
古部は柔らかな笑顔で俺を迎え入れる。こんなに穏やかな表情は、現実ではもう久しく見ていない。
常に何かに追われ、追い詰められ、出口の見えない迷路の中で苦しんでいる。
その苦しみから彼を解放してやれるのは俺じゃない。
「亜ー差ー、どうしたんだ?」
「あぁ…何でもない」
立ち尽くしていた俺は小さく笑顔を返し、古部に歩み寄った。
舞台は以前ミッションに使ったホテルの一室。
どこにでもあるような、だが現実には存在しない空間だ。
少し大きめのベッドが二つ並んでいて、その一方に古部が座っていた。
「おいで」
彼は立ち上がり俺を抱き寄せる。夢だとはいえ、姿形はもちろん声も仕種も
いつもつけている香水の匂いまで現実の古部と何ら変わらない。
寸分違わず再現できるほど、俺が彼に執着しているからだ。
その肩に顔を埋めて彼の匂いを感じながら腕を回す。
「……あぁ、古部…」
体温も感触もこんなにリアルなのに、これは現実じゃない。
それは空しいことだが、心のどこかで安心もしていた。
夢の中の出来事の証拠など何も残らない。例え何をしても、何をされても。
俺の呼び掛けに応じるように古部がゆっくりと俺をベッドに押し倒す。
お互いに相手の服を脱がせながら気持ちを昂らせていく。
そして彼は、いつも熱の籠った視線と共にこう囁く。
「愛してるよ……亜ー差ー」
それは俺が一番聞きたくて、絶対に聞きたくない言葉。
嬉しさと惨めさが入り混じって泣きそうになりながら俺は彼の身体に手を伸ばした。

338:良い夢か、悪夢か。3/7
11/05/22 01:52:22.51 Ar29F4TfO
古部の指や唇がゆっくりと俺の身体を這う。その動きや帯びた熱に翻弄される。
この世界の形を保てなくなりそうなほど古部の存在だけが心を占めていく。
「ぁ…っ!」
不意に古部が口に銜えた俺のモノを吸い上げ、上擦った声と共に身体が揺れた。
声を出してしまったことを恥じた俺は手の甲で口を押さえ、少し落ち着こうと大きく息を吐く。
だがそんな様子に気付き、古部はもっと強い刺激を与えるように動きを速めた。
深く銜え込まれたかと思うと、舌で先端の方ばかりを責め立てる。
その間も彼の手は俺の内腿を触れるか触れないかくらいの絶妙な加減で撫で回す。
くすぐったいような感覚に、ますます体温は上がっていく。
「ふ……!ぁ、う…っっ!」
「っは………亜ー差ー、どうして声を堪えるんだ?」
俺のモノを一旦解放し、顔を上げた古部が訊いてくる。口を塞いだ手を退けられ頬に彼の手が重ねられた。
「あ、まり…聞かれたくない…」
「どうして。いい声をしてるのに」
そう言って頬を撫でながら身を乗り出す。
俺は恥ずかしくて顔を背けたように装って彼からのキスを頬で受け止めた。
普通なら当たり前に行われるであろうことを拒むことでこれは現実じゃないと自分に言い聞かせるためだ。
それにキスなんて欲しくない。古部が俺にキスするはずがないからだ。
古部には愛する人がいる。いなくなってしまっても忘れられずに苦しんでいるくらい愛した人が。
そんな男が俺に愛を囁いたりなんてするはずがない。
だが、ここは夢だ。俺の夢。俺が作った世界。
共有していない限りここで何をしてるかは誰にもわからないんだから好きにすればいいのに、と井ー蒸なら言うだろう。
確かにその通りだ。だけど俺にはそれができない。
俺を好きになる古部なんて古部じゃない。俺が好きになったのはそんな人間じゃない。
古部が俺を好きになるなんてあり得ない。絶対にだ。
そう頭ではわかっている。だけど心はそうはいかなかった。

彼に触れてほしい。
彼に抱き締めてほしい。
彼と一緒にいたい。
彼を感じていたい。
彼が、欲しくて欲しくて堪らない。

339:良い夢か、悪夢か。4/7
11/05/22 01:55:04.00 Ar29F4TfO
だから俺はこうして夢の世界に逃げる。
あり得ない古部の虚像を作り上げて、どうにもならない劣情をそんな彼に抱かれることで消化しようとする。
バカみたいに手間をかけた自慰行為。嬉しくて、切なくて、空しくて、惨めな自己満足。
目が覚めた時に感じるのは押し潰されそうなほどの罪悪感と結局何も起こらなかったのだという落胆、そして少しの安堵。
感情が昂ったまま、時に泣きながら目を覚ます度に考える。俺がこんな行為から抜け出せる日は来るのだろうか、と。
あまりハマりすぎるとミッションに支障をきたしかねない。
それこそ古部のように―…
「ぅあっ…!!」
突然の刺激に思考が引き戻される。いつの間にか彼の指が俺の中に入ってきていた。
内側を探られる感覚に耐えられず、かろうじて身体に纏わりついていたシャツを噛んで声を殺そうとする。だがそれも無駄な抵抗だ。
「ん、う……っはぁ、あ…っ!」
彼の指は的確に弱い所を探り当てる。俺の意識の投影なんだから当然だ。俺がしてほしいと思うように彼は行動するのだ。
「っく……ぁ、あっ!?」
だが、さっきから俺が期待するのとは違うリズムでの刺激が続いている。
いつもなら時間をかけて徐々に身体を慣らしていくのだが、今日は少し急いているような気がする。
確かに、今日はあまり余裕がない中で潜っているから心のどこかで焦っているのかもしれない。
―ここにずっといられればいいのに。何も考えず、ただこうしていられたら―…
ふと考えて、自分の女々しさに嫌気がさした。こんな無意味なことに溺れてどうする。
だがこうしているとついそう考えてしまう。快楽に浸っているとそれ以外考えられなくなる。
「あ……んっ、はあ…っ」
掻き回される快感に滲んできた涙が目尻に溜まる。それを拭うように伸びてきた指に少し驚いて目を開けた。
「……?」
「亜ー差ー」
そこにはいつもと違って真剣な顔をした古部がいた。いつもなら穏やかに微笑んでいるだけなのに。
「俺を見ろ」
「え…」
「俺のことを考えろ」
こんなことを言われたことはない。言われるまでもなく彼のことしか考えていない。
「なに、を」
「俺はお前しか見てないのに」
「っ!?」

340:良い夢か、悪夢か。5/7
11/05/22 01:58:58.89 Ar29F4TfO
古部の顔をした彼は言う。古部が、俺のことを?
違う。彼は投影だ。俺がそうしてほしいと望んでいるから、その通りに話しているだけだ。
彼は違う。
「なぁ亜ー差ー」
これは彼じゃない。
「俺を見ろよ」
やめてくれ。もう何も言うな。
「亜ー差ー」
「…止めろ…」
「どうして」
これ以上俺を惑わすな。自惚れさせるな。これは夢だ。そうわかっていても、心が期待してしまう。だから。
「止めてくれ。頼むから…」
「それはできない」
そう言って彼が顔を近づけてくる。さっきと同じように顔を背けようとしたが、今度は彼の手がそれを許さなかった。
ゆっくりと唇が重なる。お互いの体温が触れる。その瞬間、心の奥に秘めていた感情が一気に溢れ出した。
「あぁ……!!」
俺は堪え切れず彼を強く抱き締めた。口を少し開けると彼の舌が滑り込んでくる。
自分の舌を絡め取られ、唇を啄まれ、唾液が溢れそうなほどのキスを交わす。息もできなくなりそうなくらい俺は夢中で彼を貪った。
本当はずっとこうしたかった。膨らみ続けた想いは、とうとうこんな夢を見せるまでに成長していたのだ。
「はぁ…は……っ古部…!古部…っ」
「…亜ー差ー…!」
「抱いてくれ……もっと強くっ…!」
さっきとは違う感情の涙が溢れ出す。心臓が痛いくらい脈打っている。
俺は泣きながら彼にしがみ付いた。その懇願に応えるように彼の腕が俺の背中を優しく撫でる。
「抱いてやるよ…お前が望むだけ、何度でも抱いてやる」
「古部っ…!」
再びキスが落とされ、俺はベッドに縫い付けられる。
両手を頭上で固定され、彼の身体がほんの少し離れるだけで俺は行かないでくれと泣いた。
彼はどこにも行かないと俺を宥め、ゆっくりと俺の中に自身を飲み込ませていった。

341:良い夢か、悪夢か。6/7
11/05/22 02:04:40.68 Ar29F4TfO
「あ、ぁあう…っ!!」
押し入ってくる質量に仰け反ると身体がよりベッドに沈んだ。いつもこうしてたはずなのにいつもより熱く感じられて、過度の興奮と少しの恐怖に呼吸が速まる。
胸が痛い。苦しい。怖い。
「はっ、はぁっ……嫌だ、いや…っ」
「亜ー差ー…大丈夫だ。俺を見ろ」
「いやだ…もういやだ……!」
一気に色んな感情に襲われパニックを起こしかける俺に彼は何度も言い聞かせる。
「大丈夫だ。何も怖いことなんてない」
「助けて……助けてくれ…っ、もう……!」
もう耐えられない。感情の大きさに、強さに、重さに。
「ふっ、俺…は、お前の…こと、が……っ!」
「……言わなくていい」
「っぅあっ!!」
まるで俺の言葉を遮るように突然突き上げが始まった。衝撃に身体を跳ねさせながら俺は声を上げる。
「知ってるよ…お前の気持ちは」
「あっ!や、やめっ…!!」
初めて感じるような満たされる感覚。同時にまだ足りない、もっと欲しいと渇望する心。
俺は泣きじゃくりながら彼の激しい律動を受け止める。自分でも信じられないような姿を晒していた。
「…っ古部、んんっ、は……古部…っ!!」
「………っ」
「も……だめ、だ…っ!イく、っあ!イっ……!!」
きちんとセットされていたはずの髪を振り乱し、がくがくと身体を震わせる。彼は拘束していた手を離して俺を抱き抱え、最奥まで届くように深く腰を打ち付けた。
「ぁあっ!!っや、あっ!――っっ!!!」
「亜ー差ーっ…!!」
思わずしがみ付いた彼の背中に爪を立て、大きく身体を反らせながら俺は達した。受け入れているソコが強く収縮を繰り返し、やがて彼も息を詰まらせ熱を放った。
タガが外れてしまっていた俺はそれだけでは満足できず、何度も彼に止めないでくれとせがんだ。もっと抱いて。もっと満たして。もっと壊して、と。
いくら絶頂を迎えても足りない。むしろその度に彼をより強く求めてしまう。涙も声も枯れ果てて、身体に力が入らなくなっても彼を離さなかった。
世界の形が歪んでいたのは涙のせいか、それとも形を保てなくなるほど彼しか見ていなかったからか。まるで二人の身体が一つになったような錯覚を覚えながら俺は意識を手放した。

■■■

342:風と木の名無しさん
11/05/22 02:05:29.15 YA+Gaphl0
支援

343:良い夢か、悪夢か。7/7
11/05/22 02:08:04.27 Ar29F4TfO
プシュー…と機械が排気する音に目を覚ます。時計を見ると、潜ってから3時間は過ぎていた。
何て夢だ。あんな夢を見るなんて。いつもより罪悪感が重い。底なしの自己嫌悪に涙すら滲んでくる。
俺は古部になんてことを…夢とはいえあんなことをさせてしまった。惨めな自己満足のためだけに。
しばらく彼の顔をまともに見られないかもしれない。大事なミッションが控えているのに。
あまりの情けなさに手で顔を覆った時、ふと身体の異常に気が付いた。俺のモノが明らかに熱を持っている。
いつもよりかなり強い快楽にずっと脳を晒していたせいか、現実の身体にまで影響を及ぼしてしまったらしい。
……いいザマだ。つくづく自分の愚かさに嘲笑しながら機械を片付けようと身体を起こした瞬間、全身が一気に凍り付いた。
機械からチューブがもう一本伸びている。そのチューブの行き先を目で辿り、そして答えを知った俺は愕然とした。
その先に繋がっていたのは井ー蒸だった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

これって最初のカプ説明詐欺になりますか?
あくまでも致してる二人の見た目はカプ説明通りなんですが…悩んだ結果あのような書き方をしてしまいました。
改行大杉と怒られたのでかなり読みにくいかとも思います。
不快になった方がいらしたら申し訳ありません。

344:夕暮れ時 1/4
11/05/23 01:43:21.98 4dExoOm00
向光性レス虎ン
岸乃×邑木←酒本風味。鯖ブチョーもちょっとだけ。


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部長の仲村はいい奴だと思う。
真面目で、優しくて、責任感も強くて。
だけどたまに読めない。異常なくらい空気が読めない。行動も読めない。だから、
「あれ?あそこにいるの岸乃さんとちゃうか?」
レストランからの帰り道、少し遠目の海辺の堤防にその人影を見つけた時、自分はマズイと思った。
直感だった。確かにあの影の輪郭は岸乃さんだ。そしてここからでは微妙に死角になる隣りにいるのはきっと…
わかったから下手に声をかけるのはよそうと言いたかった。
しかしそんな自分の思惑よりも仲村の行動は一瞬早かった。
「岸乃さーん!何しとるんですかー?」
「…………」
呼びかけた声にその人が振り返ったのが見えた。それに仲村は言う。
「あぁ、やっぱり岸乃さんや。ちょっと行ってみよ、酒本。」
「…………」
こうなってはUターンすることも出来ない。
だから「あぁ」と小さくつぶやいて、自分は前を行く仲村の後について行くしかなかった。

345:夕暮れ時 2/4
11/05/23 01:44:31.65 4dExoOm00
「あれ?邑木先生やん。」
そばまで近づいて、仲村の口からその名前を聞いた時、自分はやっぱりと内心小さくため息をつく。
こんな時間、こんな場所にこの人といるとしたら先生しかおらんやろ。
しかしそんな自分の声にならないツッコミをよそに、仲村はあっけらかんと先を続ける。
「隣りに誰かいるように見えた時は彼女かと思ったのになぁ。」
ある意味とても思春期らしい男子校生の言葉に、言われた岸乃は「なんやそれ」と明るく返してくる。
子供相手にも居丈高な態度は取らない。
役場の人間で、町興しのレストランの担当になっているその人は、いつも自分達と役場との橋渡しをし、
時に板挟みにもなっている。そして、
「あれ?邑木先生寝とるんですか?」
何よりこの先生を連れて来てくれた張本人。
幼馴染なのだと言う。
今、岸乃の体にもたれる様にして目を閉じているその人は、高校卒業後上京し、銀座の料亭で板前を
勤めていたらしい。
それが何らかの事情でこの町に戻り、自分達に料理を教えてくれている。
細面で一見神経質そうな。言葉が多くない分、最初は近寄り難ささえ覚えたその人だったが、その態度の
裏に隠されたものが料理に対する真摯な想い、そして自分達と誠実に向き合おうとするがゆえの戸惑いだと
なんとなくわかりだしてからは、部員達は皆この人について行く事に迷いを持たなくなった。
それは当然自分も。もっとも自分はそんな迷い自体、当初からあまり無かったのだが。
それくらいこの人の腕は確かで、本物だった。
「疲れた顔してますね、先生。」
夕暮れ時でだんだん暗くなってきているせいか、その頬に差す影から疲労感が伝わり、思わずボソッとつぶやく。
するとそれに岸乃は「あぁ」となるべく体を動かさないようにしながら、その視線を隣りへと落とした。
「今日は役場との折衝に付き合わせちしまったから悪いと思ってあんぱんおごったんだが、食べてる途中でこれや。」
「あんぱん?」
「ちなみに俺はメロンパン。味の好みってのは学生時代とそう変わらんのやな。」
自由な方の手に持ったメロンパンを軽くかかげて見せながら、くったくのない笑顔の中にサラリと付き合いの
長さをのぞかせる。
そんな相手の印象を、自分は何と言うか、大型犬の子供みたいな人だなと今更ながらに思った。

346:夕暮れ時 3/4
11/05/23 01:45:51.86 4dExoOm00
自分と違いガタイが良くて、なんかモシャモシャしていて、何事も加減の無い力で真正面からドーンと
ぶつかってくる。
そしてその力には何のてらいも無いから、ついつい受け止めてしまう。
それは先生もそうなんだろうか?
きっと気を許していなければこんな寝顔は見せていないだろうその人の気質を思い、知らない内に眉の根が寄る。
するとそんな自分の微かな表情に、その時岸乃は気がついたようだった。
「あのな、こいつ料理の事に関しては馬鹿みたいに真剣やから厳しく思うかもしれんけど、こいつはこいつなりに
一生懸命頑張っとるんやで。」
突然そんな擁護するような事を言われ、えっ?と視線を返す。
その先で岸乃はこの時、どこか困ったような、でも必死な口調で続けてきた。
「ただ料理を教えるだけなら多分そこまで難しくはないんやろうけど、俺の依頼でやった事の無い教師職まで
させてしもてるからな。でも、初めこそ戸惑ってたようやけど最近はこいつも真剣に君らの為になる事を考えてる。
あの高校生ゴゼンかて、出来上がるまでに何日も徹夜しとったようやし。」
「あの高校生ゴゼンをですか?」
不意に横合いから仲村の声が飛ぶ。それに岸乃はコクリと頷いた。
「俺が聞いたのは完成間近な時やったけど、その前に毎晩毎晩悩んどったようや。」
「岸乃さんは……完成した時に立ち会っとったんですか?」
「あぁ、最後の一晩だけやけど。コキ使われたで。」
自分の問いかけに答えながら、岸乃がじんわりと何かを思い出したかのような笑みを見せる。
それにはこの時なぜか自分の胸にジリッと感じる疼きがあった。
しかし今度はそれを悟られたくなくて、スッと視線を眼前の海へと向ける。
このところ大分長くなってきていた日も、そろそろ完全に落ちようとしている。
それに合わせるように、この時岸乃から再び声が上がった。
「さて、暗くなるとまださすがに冷えるからぼちぼち帰るか。おい、いい加減起きろ、おまえ!」
いっそ乱暴な手つきで自分にもたれかかっている相手の肩を揺さぶろうとする。
そんな岸乃に自分は瞬間、慌ててその人が目を覚ます前に声を発した。


347:夕暮れ時 4/4
11/05/23 01:47:32.36 4dExoOm00
「あの、それじゃあ俺らこれで。」
「ん?そうか。気をつけてな。週末はまた頼むで。」
「はい。行こう、仲村。」
「おっ、おう。」
突然呼ばれて驚く仲村が自転車の向きを変えるのを待たず、すばやく踵を返す。
なぜだろう。目を覚ました先生と顔を合わせたくは無かった。
いや、違う。目を覚まし、自分達に対するものとはまったく違う口調で岸乃さんと言葉を交わす先生の様子を
見たくなかったのだ。
「おーい、ちょっと待てよ、酒本。」
後ろから自転車を引きながら仲村が追いかけてくる。
横に並び、口が開かれる。
「しっかし、岸乃さんと先生ってほんまに仲ええんやな。」
「……そうやな。」
「俺らもいつかあんな風になれたらカッコエエなぁ。」
「…………」
「ちょっ、なんでそこで黙るんや、酒本!」
強くツッコまれ、「あぁいや」と言葉を濁す。
時が経てば追いつけるのだろうか。時さえ重ねればあんな風になれるのだろうか。
思い出す二人の姿に、何かが違うと酒本は思う。
相手が大人だからかなわないんじゃない。きっと岸乃さんだから……それでも、
「それでも…俺には料理がある。」
あの人が立てない、先生と同じ土俵。だから、
「絶対、軌道に乗せような。俺らのレストラン。」
いきなり脈絡も無く言い放った自分の強い一言に、仲村は一瞬キョトンとした顔を見せた。が、それでもまた
詰まり気味ながらに「おう」と返事を返してくれた。
それに自分はキュッと口の端を引き上げる。
自分は始まったばかりなのだと思う。
何もかもがまだまだこれからだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

勢いで書いた。方言はわからないのでニュアンスで。大型犬はイイ。

348:風と木の名無しさん
11/05/23 03:20:39.12 ZoMpsi4M0
>>347
姐さん超グッジョブ!!!
こういうのが読みたかった。ホントありがとう。
4人とも完全にイメージ通りで、脳内再生されました!

349:風と木の名無しさん
11/05/23 10:31:22.05 qWfkX0RY0
>>335
淫背プしょん観ていてよかった。
素晴らしすぎる萌えでした。夢の中な出来事って所がもうね。
姐さんの一字一句が切な萌えでGJです!ごちそうさまでした。

350:風と木の名無しさん
11/05/23 11:24:02.45 aKNB4j2U0
>>335
うおお理想の鼓舞←朝←いー蒸す!!!
ごちそうさまでしたごちそうさまでした!
姐さんの書いた現実味で致すE/A読みたいっす!

351:The green knight runs through night前編 1/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:36:07.01 N+xvEwZZO
半生。映画「緑蜂」より社長×助手。
>>190のまた後日の話、エロありです。女性絡み+当て馬注意。
二回に分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「……あっ、はあ、ブリシト……ダ、ダメだ……」
「何がダメなんだ力ト-。ここ、気持ちいいんだろ?ほら、こんなに締め付けてるぞ」
「うあっ!バカ、や、やめ……ブリシト!」
「やめるもんか。やめたら困るのはお前なんだぞ、力ト-」
俺は意地悪な口調と共にぐりぐりと指を動かし、シーツの上でのたうつ体に被さって甘く責め立てた。
熱く狭い中は塗り込めたジェルで潤い、突き入れた俺の指をくわえ込んで、ひくひくとうごめいている。
相棒の方も俺の中心を握って刺激を与えてくれていたが、下肢に施される愛撫の強さにその手は震え、動きが段々とそぞろになった。
ベッドの上、素っ裸で重なり合った俺達の体は、どちらも熱くなっていた。
俺は緩急を付けて擦ってやりつつ、俺の肩に縋って悶える奴の耳元に欲望を囁いた。

「なあ力ト-……もうそろそろ、いいだろ?」
「……いいって、な、何……?」
「おいおい、とぼけるなよ。お前の中に入りたいって、ずっと言ってるじゃないか。いい加減イエスと言えよ……力ト-」
ねだる言葉に合わせてぐっと突き上げると、相棒は高い声を上げてのけ反った。

あれから何回か肌を合わせたが、俺達はまだ本当の意味で結ばれてはいなかった。
男同士で繋がる行為を相棒が怖がり、指しか入れさせてくれないからだ。
まあ無理はない。自分の後ろに男のドデカいモノが入り込むなんて、俺だって想像しただけで怖い。
だから怯えてる奴の気持ちを汲んで、固いそこを時間をかけて丁寧にほぐし続けた。
相棒は初めての時と、それから何回かは、触れられる度にうろたえて戸惑った。だが優しく根気よく撫でて擦ってやるうちに、俺の指をすんなりと受け入れ、動きに合わせて締め付けるほどになった。
今夜は俺の三本の指を感じて、甘く切ない喘ぎを絶えず漏らしている。俺のモノは指なんかよりはるかにデカいんだが、この様子なら上手くいきそうな気がする。
荒く息をつく唇を吸って、俺はさらに問いかけた。

352:The green knight runs through night前編 2/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:40:00.37 N+xvEwZZO
「力ト-……入れていいよな?俺はお前の全部が欲しい」
「や……やだ、ブリシト……まだ、嫌だよ」
「そう言うなよ。大丈夫だ、痛くないから。うんと優しくしてやるからさ」
「あ、うっ……で、でもブリシト……やっぱり、んんっ」
「まだ不安なのか。しょうがないな……じゃあ、あれでも使ってみるか」
ため息をついた俺は動きを止めて、指を一旦引き抜いた。体を捻って、サイドボードの方に手を伸ばし、一番下の引き出しの中にある物を取り出した。
相棒は蕩けたような顔つきで俺の動きを眺めていたが、手にした物を見つめた途端に目を見開いた。
「……ブリシト!そ、それ」
「力ト-、こいつが入りゃ俺のだって余裕だろ。試してみようぜ」
「ダメ、やめろ!絶対に嫌だ!」
「なんでだよ!お前の為に、やってみようって言ってるんじゃないか」
「そんな思いやりいらない!どうせ、どっかの女の子に使ったんだろ。そんな物を入れられるのはゴメンだ!」
「そりゃ誤解だ力ト-。こいつは前に若気の至りで買ったんだが、女にはみんな使うのを断られた。だからまだ真っさらで、お前が初めてなんだ」
「……ちっとも嬉しくない!」
憤慨した相棒は俺に蹴りを入れようとしたが、重そうな脚の動きにいつもの切れはなかった。
たやすく脚を掴んだ俺は持っていたディルドをかたわらに置き、相棒の肩も掴んで一気に体をひっくり返させた。
「ブリシト……おい、ちょっと!」
「じっとしてろよ、力ト-」
あまりの嫌がり様が俺の悪戯心に逆に火を点け、少し奴を虐めてやりたくなった。
俯せた体にのしかかって押さえ、脚を開かせると、なだらかな曲線を描く尻の間に、再び握ったディルドをぐいっと押し当てた。
異物の先端がほんの少し潜り込み、同時に相棒が息を飲んで、体を固くするのがわかった。
「あ、あっ……!やだ、やめて……やめてくれ、ブリシト!」
「力ト-、力を抜けよ。そう力むと痛いかもしれないぞ」
「こ、このバカっ……最低野郎!やめろったら、そんな物まっぴらだ……うわ、あ!あーっ」
腰を抱え込み、うなじや背中にキスを落としながら、俺はディルドをじわじわと挿し入れた。
三分の一ほど埋め込んだところで相棒の切れ切れの罵倒は止まり、俯いた顔をシーツに押し付けて、唸るような声を絞り出していた。

353:The green knight runs through night前編 3/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:43:17.41 N+xvEwZZO
奴がびくびくと震えているのに気付き、ちょっと心配になって呼びかけた。
「力ト-大丈夫か、痛くないよな?俺、ちゃんと優しくしてるだろ」
「……バカ、バカ野郎、君なんか、嫌いだ……うぐっ」
悪態をついた声は弱く掠れていて、ひょっとしてまた泣かしちまったかもと焦った俺は、顎の下に手を差し込んで顔をこちらに向けさせた。
「ああ、やっぱり……泣くなよ力ト-」
「……君が悪いんだ、君が、ひどいことするから」
「わかったよ、俺が悪かった。今、抜いてやるから」
苦笑した俺は、流れる涙を吸い取るように頬にキスして、そうっとディルドを引き抜いた。
去った異物に安堵して力を抜いた相棒の体をまた返し、腕を回して正面から抱きしめた。
「力ト-、なんだかお前を抱く度に泣かせてる気がするな。あんなに嫌がるなんて思わなかったんだ、もうしないから泣くな」
「……あれは嫌だ。固くて冷たくて、気持ち悪かった」
「なら俺の指は、熱くて気持ちいいってことだな。だったらこっちはもっと気持ちいいぞ、そう思わないか?」
高ぶったモノを太股に擦り付けてやると、相棒は顔を赤く染めて口をつぐんだ。
俺は何も言わない唇を吸って、ねっとりと舌を絡めた。相棒は深くむさぼる舌に素直に応え、その手は俺の中心を包み込んだ。
俺も奴のモノを握り、口づけながら互いに甘く激しく快感を与え合った。
長く塞いでいた唇をやっと離すと、相棒は息を乱しながら囁いた。
「ブリシト……君を拒んで、すまないと思ってる……でも、僕は怖くて」
「うん、まあしかたない。誰だって、未知の体験は怖いさ。踏み出すには度胸がいるからな」
「……そうなんだけど、僕が怖いのは、ちょっとまた違うような……いや、違わない、のかな」
「何訳わからんこと言ってるんだ、力ト-」
「ゴメン、気にしないで」
「バカ、そんなだとますます気になるだろ。正直に言えよ力ト-、何が怖いってんだ」
手を休めた俺に真剣に見つめられて、相棒は困った表情で目を泳がせた。
もう一度名前を呼んで促すと、観念したように目を閉じた。
「僕が怖いのは……君に触られて、指を入れられるだけでもあんなに感じるのに……その、君自身を受け入れたら、一体どうなるのかが、こ、怖いんだ……」

354:The green knight runs through night前編 4/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:46:13.71 N+xvEwZZO
一息に告白した相棒は、俺の視線から逃げるように、体を翻してまた俯せになろうとした。俺は肩を掴んでそれを止め、弱くもがく相棒を上から見下ろした。
押し黙ってしげしげと見られているのがいかにも居心地悪そうに、相棒は目を逸らして忙しく瞬きを繰り返した。
「……何か言えよ、ブリシト。おしゃべりな君が黙ってると、やたらと気まずい」
「そうか。なんて言おうか、ちょっと迷ってたんだ。お前があんまりにも、かわいらしいことを言ってくれるもんだから」
「……やっぱり、しゃべらなくていい」
「そうはいかない。言葉は大切だぞ、力ト-。お前がただ痛みや、俺に入れられることを怖がってるんじゃないってことがわかって、俺は嬉しいんだ」
もういいから、と悲鳴のように叫ぶのを無視して、俺はさらに告げた。
「はっきり聞かせてもらった以上、お前を無理に抱いたりはしない。力ト-、気持ちが決まったら教えてくれ。俺は根気よく待つから」
「ブリシト、君……それでいいのか?」
「いいとも。実は俺は、楽しみは後にとっとくタイプなんだぞ、力ト-」
黒い目を覗き込んでおどけてやると、相棒はつられて頬を緩めた。
「ありがとう、ブリシト……それまでは、こっちで」
「……うお!そうだな、こっちで一緒にイこう、力ト-」
相棒の手にきゅっと握られて体を跳ねさせた俺は、笑って奴のモノを握り返し、扱き上げながらキスを交わした。
こうして互いの手で果てるのが、俺達のいつもの流れだ。結局今夜も最後までたどり着けなかったが、相棒の本心を知った俺に寂しさはあまりなかった。
俺が欲するように、こいつが俺を求めてくれる時が来る。それまでは惜しみない愛撫を与え続けて、ひたすら待とうと思った。
それほどまでに愛しく、大切な奴なんだと自覚した。
たった一人の俺の相棒、俺の兄弟。今はもうそれ以上の、けして失いたくはない唯一の存在。
大切だ、と心の中で何度も繰り返し、俺は俺だけの相棒に深く深く口づけた。


ただならぬ仲になったとは言え、俺達は常にイチャついたりはしていない。
ベッドにいる時以外は屋敷でも会社でも、ごく普通に日常を過ごしている。
ふざけた俺が相棒の頬にキスして、軽く肩を殴られるなんてことはあるが、そんなのは俺達にとっては、もはやありふれたスキンシップだ。

355:The green knight runs through night前編 5/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:50:17.80 N+xvEwZZO
前より頻度は減ったが、俺はたまに女の子達と遊ぶし、二人とも脈無しと知りつつ、いまだに俺の美人秘書を意識している。
全くのゲイでもなければ、愛してると誓い合った単純な恋人同士でもないから、お互いに激しく嫉妬するなんてこともない。他人が知ればちょっとおかしな感じかもしれないが、俺達に問題はなく、ごく円満な関係だ。


その美女は、我が社の新聞の広告主になる予定の、下着会社の社長だった。
濃いブラウンの長い髪は緩めの巻き毛で、大きな目は黒く情熱的に輝き、ラテンの血が入っているらしいエキゾチックな容貌をしていた。秘書とはまた違った魅力の彼女を見て、俺と相棒は『イケてる女だ』と視線で会話した。
背の高い男前の部下を二人従えた彼女は、秘書も交えて社長室で俺と話をした。
相棒は壁にもたれて立ち、何やら手帳に熱心にメモを取っている……と見せかけて、得意のスケッチで彼女の姿を描き留めているに違いない。
話が纏まり、社長室を出た彼女は部下を先に行かせた。
俺と秘書と握手を交わし、最後に相棒の手を握った。その時顔を近くに寄せて、相棒の耳に何かを囁いたようだった。
手を離した相棒は、立ち去る彼女の官能的な後ろ姿を見送ると、ちょっとニヤつきながら応接スペースのソファに腰を下ろした。
秘書も自分の席に戻ったが、俺は美女の囁きがなんだったのか気になり、座って手帳をめくっている相棒に後ろから近付いた。
「おい力ト-、彼女お前に何て言ってたんだ?」
「ん?別に、なんでもないよ」
俺はとぼける奴の肩越しに、その手から手帳を奪い取った。案の定紙の上には、彼女のナイスバディがバッチリ描き写されていた。
「嘘つけ!彼女、お前の手だけ両手で握ってたぞ。正直に吐け、何言われたんだよ」
「ブリシト、そうムキになるなよ。たいしたことは言ってない。『あなた、私の前彼に似てるの。またぜひ会いたいわ』って言われただけさ」
「……そりゃ、たいしたことだろ!」
「でもそれだけで、連絡先を訊いた訳じゃないし。まあまた会社には来るだろうから、その時訊かれるかもしれないけどね」
まんざらでもなく鼻の下を伸ばす相棒を眺めて、俺はちょっとおもしろくない気分だった。俺は妬いてるのか。だとしたら相棒に?彼女にか?……多分その両方だ。
相棒の淡い期待が外れることを俺は何となく祈り、奴の手帳を放り投げて返した。

356:The green knight runs through night前編 6/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:53:15.49 N+xvEwZZO
その翌々日、ちょっとした異変が起きた。昼食がてら外出した相棒が会社に戻らず、俺に何の連絡もして来なかった。
夕刻、相棒の不在に気付いた秘書に、力ト-はどうしたの?と尋ねられたが、俺は肩をすくめるしかなかった。
しかたなく自分で車を転がし、自宅に帰った。夕食の席に着いたものの、相棒のことが気になってどうにも食が進まない。

俺は今日の昼のことを思い返してみた。来客で出られなかった俺は、相棒に買い物を頼もうと会社から電話をかけた。
街中にいた相棒は電話に出たが、途中で誰かに声をかけられたようだった。
焦った様子の奴は、後でかけ直すと電話を切った。しばらく待ったが一向にかかって来ないので、俺から再びかけた。
すると、電源が切れているというメッセージが流れた。なんだよあいつ!と鼻白んだが、さほど重要な用事でもなかったので、繋がらない携帯電話を置いて仕事に戻った。
それから何回か電話をかけたが、やはり電源は切られたままだった。

俺は不安に取り憑かれた。こんなことは、今までなかった。常に会社に行くのも帰るのも一緒だったし、何か用事があって出かける時は、必ず連絡をして来た。
無断で俺の側を長らく離れるなんて、奴が絶対にする筈がないんだ。
きっと相棒の身に何かあったに違いないと確信した俺は、食卓を離れてガレージに向かった。

万一の時の為に、俺達はそれぞれ発信機を身につけていた。俺はブラシク・ビューティーに乗り込んでナビを操作し、相棒の信号の位置を確認した。
そして緑のマスクと衣装に着替え、ガス銃と念のために相棒の銃も持った。
ガレージに寂しげに置かれたままの相棒のバイクを眺めてから、麗しの愛車と共に夜の街に飛び出した。



「全く、お前と来たら……美女にデレデレして油断するから、こんなことになるんだ」
「うるさいな、美人に弱いのは君だって同じだろ」
部屋に連れ戻した相棒に苦言を呈すると、俺のベッドに横たわった奴は、負けじと言い返して来た。

街外れまでやって来た俺は、古びたビルの下で車を停めた。相棒の信号は、ここの最上階から発せられていた。
今は使われていない様子のビル内に侵入すると、明らかに怪しい黒服の男が、エレベーターの前で見張りをしていた。
問答が面倒臭いのでガス銃を一発お見舞いし、上へと上がった。

357:The green knight runs through night前編 7/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:56:29.42 N+xvEwZZO
最上階は外観とは大違いに、金が掛かっていそうな洒落た内装になっていた。廊下の奥に進むと大きなドアがあり、その前にも黒服の男が頑張っていた。
俺に気付いて懐の銃を取り出すより早く、ガス弾を喰らわせて気絶させた。すると中から、問いただすような女の声が聞こえた。
相棒は女といるのかとちょっと驚いたが、ためらいなく鍵を掛けられた錠に実弾をぶち込んで壊し、勢いよくドアを蹴り付けて部屋に入った。
部屋の中には、とんでもない光景があった。相棒はベッドに転がり、柵にゴムのロープで両手首を縛り付けられていた。奴は上半身にシャツを羽織っただけで、ほとんど裸の情けない姿をしていた。
そのかたわらには、あの美しい女社長がいた。艶やかなワインレッドのガウンを身に付けていたが、前がはだけてあらわになった胸は真っ平らだった。しかも下半身にはなんと、隆々と猛った男の持ちモノがくっついていたんだ!
一瞬気が動転したが、赤い顔をして泣きそうになっていた相棒が、こちらを見て嬉しそうに笑ったので、俺は冷静さを取り戻した。
「おっと、俺としたことがどうやら場所を間違えたようだな、失礼した!」などとテキトーなことを叫んで、目を丸くする美女(?)に容赦なくガス銃を発射した。
ロープを解いてやり、そこらに散らばっていた服をひっ掴んで、ふらつく相棒の肩を支え、俺達はビルから抜け出した。

屋敷に帰ると、薬を使われたらしくやや朦朧としている相棒を、とりあえずベッドに寝かせた。帽子とマスクを外して、横で椅子に腰掛けた俺に、相棒はことの経緯をとぎれとぎれに語った。
昼食を取り終えて俺と電話で話していた相棒に、偶然を装いあの女が声をかけた。一緒にお茶でもどうかと誘われ、車に気軽に乗り込んだ奴の首筋に、女は何かを注射した。気絶した相棒の携帯電話の電源を切ったのも、もちろんあの女だ。
相棒が気付くと見知らぬ部屋のベッドに縛られていて、目の前にはガウンの女が妖しく微笑んでいた。

「結局あの美女は実は男で、会社で会ったお前に目を付けて掠い、無理矢理その……モノにしようとしたって訳か」
「……あいつ、僕が前の男に似てるって、それは本当だったらしい。可愛いがり過ぎたら姿を消してしまって、寂しかったところに僕が現れて……どうにもたまらなかったんだって」
「可愛がり過ぎた、って……想像するのが怖いな」

358:The green knight runs through night前編 8/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 01:59:19.34 N+xvEwZZO
眉を寄せて忌ま忌ましげに話す相棒を心から気の毒に思ったが、俺にはもっと気になることがあった。
だがそれを切り出すのが気まずくてチラチラと顔色を窺っていると、相棒は心を読み取ったらしく、ため息混じりに言葉を吐いた。
「……ヤラれてないよ」
「ホントか力ト-!そりゃよかった」
思わず叫んでベッドに膝を乗り上げ、満面の笑みで手を握った俺を、相棒は真っ赤な顔で睨んだ。
「本当だよ……さらに変な薬を嗅がされて、襲われかけたところに君が来てくれた」
「そうか、間に合ってよかった!お前の貞操が無事で何よりだ、力ト-」
「貞操って……」
「くそっ、あのオトコ女!いや、オンナ男か?ご自慢の顔に一発、ぶちかましてやるんだった!俺の相棒をひどい目に合わせやがって!」
俺は可哀相な相棒の上体を抱き起こし、強く抱きすくめてやった。すると相棒は、居心地悪そうに体をうねらせた。
「どうした力ト-、気分悪いのか」
「ブリシト……僕、僕は」
抱きしめた相棒の体温は上がり、絶え絶えの呼吸は荒く、逸らされた目は潤みをたたえていた。ふと下肢に目をやると、奴の中心は立ち上がって、切なそうに震えていた。
「おい力ト-、薬って……まさか」
「……て、ブリシト」
「力ト-、なんだ?何が言いたい」
「だ、抱いて……ブリシト、僕を、抱いてくれ……」
……今何て言った?
俺の頭は真っ白になり、次いで顔が真っ赤に染まった。相棒がそんな風にねだるなんてことは初めてで、俺の胸は高鳴り舞い上がりかけた。
しかし待て、おそらくあの女に使われた媚薬か何かで、こいつはちょっとおかしくなっているんだと思い直した。
体は俺を求めていても、心が本当にそうとは限らない。俺は深呼吸して、腕の中の相棒を見つめた。
「待てよ力ト-。そう言ってくれるのは嬉しいけど、今のお前は、正気じゃないだろ?」
「正気だよ、ブリシト。僕は本当に、君が欲しいって……」
「そうか?薬で熱くなってるから、気も高ぶってるんじゃないかな。後で正気になったお前に怒られるのは俺なんだからさ、ちゃんと確かめときたいんだよ」

359:The green knight runs through night前編 9/9 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/24 02:02:29.34 N+xvEwZZO
「……なんだよ、その気になったら教えろって、君が言ったんじゃないか!せっかくその気になったのに、ウダウダ抜かすなよ!」
いきなりケンカ腰になられて驚いたが、それも薬のせいだと思って俺は相棒をなだめにかかった。

「落ち着けって力ト-。薬に惑わされてるお前に付け込みたくないんだよ、俺は。本当に俺が欲しいならいいんだが、お前はまだ、動揺してるだろうし……」
「動揺してるさ、女のフリした男に襲われかけたんだから!いいからしのごの言わずに抱けよ、ブリシト。あんな変態にヤラれるくらいなら、とっとと君に突っ込まれた方がマシだ!」
俺の肩を突き飛ばして叫んだ相棒に向かって、口より先に手が動いた。咄嗟に俺は、奴の横っ面を平手で張り飛ばしていた。
ぐらりと体を傾けた相棒はシーツに肘を着き、打たれた右頬を手で押さえた。
「力ト-、このバカ野郎!なんて言い草だ!そんなヤケクソな理由で欲しいなんて言われて、俺が喜ぶとでも思うのか?見損なうな!」
声の限り怒鳴り付けた後、震える相棒の口端に、血が滲んでいるのに気付いた。
しまった、と思った。今のこいつは普通じゃないのに、その言葉にキレてぶん殴るなんて、俺は一体何をやってるんだ。
たちまち後悔し、俯いたままの相棒の肩を両手でそっと掴んだ。
「……殴って悪かった。でもわかってくれよ、お前が本当に大切なんだ。心から俺を求めてくれてるんじゃなきゃ、お前を抱いたって虚しいだけだろ……力ト-?」
顎に手をやって上向かせると、相棒はぽろぽろと涙を零した。ああくそ、またか!と自分に舌打ちした俺の胸に、相棒は顔を埋めてもたれかかった。
背中に腕を回して抱き着く奴の頭や体を、俺は優しく撫でてやった。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

360:風と木の名無しさん
11/05/24 03:34:57.31 anK91vpqO
支援
は、早く続きをハアハア

361:風と木の名無しさん
11/05/24 17:29:21.42 ig+aLQtu0
           |`ゝ
         _//´
       / :;/'  ただいま>>359はにぼしをドッキング中です。
     _/@,;)ゞ
  _/;@/ ̄     このまましばらくお待ちください。
  /",:;ン
__/,/

362:風と木の名無しさん
11/05/24 17:37:25.02 atADEt8K0
最初から2回に分けて投下と書かれているし
初回の9/9すべてうp出来てるんだから支援は不要でしょ >>360

長編を短気に連続投下すると「占有」視されることもあるから
あまり急かすと作者さんが困惑すると思われ >>361

363:風と木の名無しさん
11/05/24 22:44:01.09 anK91vpqO
何このオバサン

364:風と木の名無しさん
11/05/25 04:49:06.66 O5jGVOKsO
>>335
ありがとう!超絶もだえました!
続き妄想がとまらない

365:風と木の名無しさん
11/05/26 20:57:31.48 utICRb+60
>>361
このAA、どっちが攻でどっちが受なんだ?

366:風と木の名無しさん
11/05/26 23:55:48.47 qG08s+WJ0
>>365
リバ

367:風と木の名無しさん
11/05/27 08:31:19.12 90xJRBmc0
つーか♂同士とは限らんだろw

368:風と木の名無しさん
11/05/27 12:19:03.50 KkWST6ND0
>>367
ここを何板だと思っているのかね

369:風と木の名無しさん
11/05/27 15:02:33.43 sA0O6KrJ0
そっくりすぎて、くんずほぐれつしてたら
どっちがどっちだかわかりません(><)

370:にぼし 1/3
11/05/27 19:34:41.98 P1y73j2P0
オリジナル。勢いで書いた。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース

 かつて大海を自由に泳いでいた頃の記憶は、すでに記憶の片隅にしかない。
あれほどしなやかであった体躯をうねらせることもすでにできず、
自身がかく水に溶けるように透明に広がっていたそのヒレは白く濁り、或いは欠けている。

 確かに大海原の中では端役であったかもしれないが、
仲間と共に連れ立って泳ぎ、一塊となってするりするりと向きを変え、
喰らおうとする大魚の目をかわした時などは、己の小ささを忘れるほどに実に痛快であった。
今はこれほど小さいが、いつか八寸ほどになったら連れ添う相手もできるのだろうと、
青い水の向こうに心地良い前途を夢想していた。
だが今は、ただ小さな小袋の中に隙間無くぎゅうぎゅうと押し込められている。

 はて、何がどうしてこうなってしまったのやら。
考えたところでどうとも答えは出ぬのだが、考えずにはいられない。
堂々巡りに陥っている頭の片隅に、どこからともなくしくしくとすすり泣く声が聞こえてくる。

 動かぬ目を無理に動かしてそちらを見れば、己と同じように袋に詰められた仲間の姿が見える。
いや、見渡す限りそのような同士ばかりであるのだが、そのうちの一匹がさめざめと泣いている。

371:にぼし 2/3
11/05/27 19:37:05.58 P1y73j2P0
「どうした、何が悲しい?」
声をかけるとその彼は、努力の末こちらを見て言った。
「このまま自分が消えてしまうのだと思うと、あまりにも悲しいのです」

 折角この世に生まれ出て、ここまで命からがら生き伸びてきたというのに、
訳も分からず硬い身体にさせられ、このまま消えていくのはあまりにも切ないと、
乾いた目から流れぬ涙を流しつつ、か細い声で訴えてくる。
生きた証もなく、ただこのまま消えていくのかと責めるように問いかけてくる。

 同じ立場である自分になすすべなどある筈もなく、
その泣き声が日に日に弱っていくのを、こちらも日に日に聞こえにくくなる耳でただ聞いているしかなかった。


 時々袋は大きく揺さぶられ、自身に覆いかぶさっていた大量の仲間達がどこかへ連れられて行く。
その度に上空から湿気た風がふわりと舞い込んでくるが、それはただ湿気っぽいばかりで、
生まれ育った海のような潮の香りはしない。

 いつかは自分もああやってどこかへ運ばれるのだろうと、半ば諦めつつ揺さぶられるままに過ごし、
揺れに身を任せて袋の中を右往左往していたところ、
ふと見れば、あの日泣いていた彼がすぐ斜め下にいるではないか。
「おお、まだお前はここにいたか」
「貴方はあの時の……」

372:にぼし 3/3
11/05/27 19:39:04.27 P1y73j2P0
 もう自分らの上には誰もいない。我々は次にここから出されるのだろう。
「そうして儚く消えてしまうのです。何も無くなるのです」
彼は搾り出すように言う。濁った視界にかろうじて映るその顔があまりにも切ない。

 まだ動くだろうか。ギギと音を立てて無理に身体を伸ばす。
「生きた証が欲しかったと言ったね」
そう呟いて、目の前の唇にそっと自身の唇を重ねた。

 幾ばくかでも慰められればとした口付けに、思いがけず心がかき乱される。
それは硬く干乾びていて、貪ろうにもカサカサとした音しか立てなかったが、
同じ運命を背負った者同士の最期の精を流し込むがごとく、あまりにも熱くそして甘美であった。
なるようにしかならないのだと悟ったような気でいたが、生きたいという欲にここで苛まれようとは。

「ありがとう……。忘れない……」
離した彼の唇から掠れた声がもれた。口付けたことを、後悔した。

 次に生まれ変わることがあるのなら、お前と共にまた海に生まれよう。
並んで泳ぎ、餌を喰らい、こんな乾いた口同士ではなく濡れて艶やかな口付けを交わそう。
懐かしいふるさとのあの海原の中で。

373:風と木の名無しさん
11/05/27 19:39:24.72 P1y73j2P0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

374:風と木の名無しさん
11/05/27 19:41:55.58 +7DQNHnuO
なんか目から潮が

375:風と木の名無しさん
11/05/27 19:45:49.51 KCYlUOYo0
今日の味噌汁は煮干の出汁にする!
今は無き、なつかしのい も お と スレをほんのり思い出したよ・・・!!

376:風と木の名無しさん
11/05/27 20:07:15.29 XGuqwOkJ0
神、出現……!!

377:風と木の名無しさん
11/05/27 20:23:15.15 FFmrxiHR0
煮干しに泣かされる日がくるとは思わなかったよ

378:風と木の名無しさん
11/05/27 20:45:06.15 f8zeTeoj0
目から出汁が…!

379:風と木の名無しさん
11/05/27 20:50:49.04 mosAq8Os0
なんかすごいものを見た!!神文章とはこういうことか!

380:風と木の名無しさん
11/05/27 22:33:07.57 tnIkG5Fv0
なんて美しいにぼしなんだ…

泣かされちまった!ちくしょう!

381:sage
11/05/27 22:47:36.95 xEyj+oph0
ホラーアニメビデオの「世にも恐ろしい日本昔話」の第2話「かちかち山」
卯之助(兎)×吾作(狸)誰か書いてくれないのかな?(自分では書けないし)
あの作画書いてる人って「からくりの君:「からくりサーカス」「うしおととら」の
漫画書いてる藤田和日郎先生だし。

382:風と木の名無しさん
11/05/27 23:32:10.54 VUYg6N800
なんだこいつ

383:風と木の名無しさん
11/05/27 23:42:43.22 VCghzPAK0
>>370
これからはにぼしを大事に食べます
ありがとうありがとう

384:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン.第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 1/5
11/05/28 00:53:21.03 oyWHhL0Z0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )昔ルナドン話書いた人です。今回も吸血鬼テーマですが、かなり変な設定です

「…ってわけで、俺は…、ってことで…で、ってわけで…」
会話を聞き流す。
周りには三人、冒険者がいた。
目の前の座布団に座っているのはガルズヘイムの男戦士であり、名前は自分でも知っている。
その左右には、女魔法使いと男盗賊。
自分はなぜにこの日倭の都市にある大屋敷の居間にある座布団に、おとなしく座っているのだろう。
「だから…、あなたはそういう…ってことはこの子も…」
会話をひたすら聞き流す。
おしゃべりな三人は、ひたすら先程から世間話を繰り広げていた。
「…と、思わない?お前も」
ガルズヘイム戦士が急に話を自分に振ってきた。
正座をずっと続けるのは案外つらいな、とか、この日倭に甲冑着こんだガルズヘイム人は似合わないな、とか、その程度しか考えていなかったなだけに、彼は戸惑い、相手を見た。三人の視線が集中する。
「わ、私は…」
言葉を選ぶが、いい言葉が出てこない。
「すまない、あまり話を聞いていなかった」
だからなぜ、討伐対象である、有名モンスター・ガルズヘイムヴァンパイアの自分がここにいるのかの経緯を思い出した。

事の経緯は三日ほど前。
ガルズヘイムヴァンパイアの彼は、ダンジョンとして人があまり寄りつかない孤高の城にいた。
ダンジョン最深部に、他にうろうろとドラゴンがいたりするのを気にも留めず、倒した冒険者を足蹴りにして、啜った血がこぼれ出て、それを手で軽くぬぐう。
(うっ、やはりヴァーラクシャの戦士の血はまずい)
孤高の城の最深部までやってきたことは褒めてやる。
この部屋は屍であふれ、腐臭がすごい。
さすがに高潔な種族と一応は認識している彼は、取り巻きに合図しながら別の部屋に移る。
何人もの冒険者が挑んできた。
だが、このスティールエナジーとバンパイア・バッドの群れにかなうものはいないのだ。
バンパイア・バッドが八匹、そしてヴァンパイアが一人。
おまけにここは首都ダンジョンときた。

385:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 2/5
11/05/28 00:55:05.07 oyWHhL0Z0
最深部を根拠地にしている自分にとって、ここまで来れる冒険者は大抵いないということだ。
なぜならば首都ダンジョンというだけで気軽に入る馬鹿な人間は、大抵入口にいるドラゴンやミノタウロスに返り討ちにされてしまう。
たどり着いても、何度休憩したかもわからないような顔をした冒険者は無謀にも突っ込んでくる。
 バンパイア・バッドとヴァンパイアは体力を削られたら、スティールエナジーという体力を奪う魔法を使う。
(私に勝てる相手などいないのだ)
そう思いながら、ちょこんと埃まみれのベッドで体育座りをした。
はあ、とため息をつく。
(ほかのヴァンパイアたちはどうしているだろうか。最近人間で、それもガルズヘイム人の戦士がリーダーの…名前はなんだっけ?三人組が活躍しているようだが、殺されていないだろうか)
他の仲間もここに入るが、皆自由に移動しているため、出会ったことはあまりない。それに首都ダンジョンは無駄に部屋が多い。
孤高の城も例外ではない。
高潔なヴァンパイアは、孤独など気にしない。
(と、思う)
高潔なヴァンパイアは、人間などには殺されない。
(…はずたけど)
高潔なヴァンパイアは…
(人が恋しいなんて思うはずがない)
どうもこのベッドに座っているヴァンパイアは気が弱いようだった。
そこにバタンと大きく扉の音を響かせ、乗り込んできたのは先ほど考えていた、例の活躍している冒険者であるとみられるメンバーだった。
 当然戦闘態勢に入る。
はずだったのに。
なんとなく戦う気がしなくて、彼はそのベッドの上にちょこんと座ったまま、リーダーであるガルズヘイム戦士の顔を見た。
手には正義の鉄槌。あからさまに善・秩序属性の装備だ。
金髪の男は、その正義の鉄槌を手に、拳を振り上げる。
後ろの魔法の女は、ストーンクラブを持っている。更にその隣にいる盗賊も同じ。
「いたぞ、ヴァンパイアだ、カードにするぞ!よしっ、ヴァンパイアめ、俺と戦え!!」
熱く語りだす戦士はビシッと、ベッドに座るヴァンパイアを指差した。
ヴァンパイアは下を向いて溜息をついた。
カードにする、というのは、敵を魔法でとどめをさすと、カードになってしまうという。

386:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 3/5
11/05/28 00:56:31.37 oyWHhL0Z0
ここにはレアモンスターであり強いモンスターが大量にいる、それのカードを集めにこの孤高の城にやってきたのだと推測したが、ヴァンパイアは動かなかった。
むしろ、足に顔を埋めて、もう一度ため息をついた。
「ちょっと、聞いてるの!?」
後ろの魔法使いの女が、ストーンクラブを振り回し、高く声をあげた。
「嫌だ」
ヴァンパイアが言った。
「えっ」
「面倒くさい、戦いたくない、寂しい」
か弱い声。少しだけ見えた赤い眼は、泣きそうに潤んでいた。
「えっ」
冒険者三人の間の抜けた声が部屋に小さく響いた。
「…えっ」
そしてリーダーの男は、もう一度間の抜けた声を出した。

そこから一気に記憶がなくなり、気がつけばこの屋敷の、一室の布団の上にいた。
どうもその会話の後タコ殴りにされたらしい。
というのも、体中に鈍器のあとがあったからだ。
ズキズキと後頭部が痛み、起き上がろうとし、体中が痛んで思わず悲鳴を上げた。
ご丁寧に枕にきちんと寝かされていて、服はどういうわけか人間用のバスローブに変えられていた。が、脱がされたのはどうもいつも着ている青いコートだけらしい。
掛け布団も一緒にかけられていたが、起き上がったはずみで飛んで行った。
さて、屋敷中にヴァンパイアの悲鳴が響き渡り、そのうち一人の男が様子を見にやってきた。
この屋敷には似合わない、ガルズヘイムの格好をした男だった。
例の冒険者組のリーダーの男に間違いはない、が、甲冑は着ていなくて、彼もまた軽装であった。
しかしそんなことは構っていられない。ヴァンパイアはあまりの体の痛みに耐えきれず、丸まって頭を押さえた。
スティールエナジーを、と思ったが、それすらできないほど体中が痛かった。
相当殴られたのだろう。
「うう…」
ヴァンパイアが情けない声を出す。
「おおっ、目を覚ましたか、すまんすまん、殴りすぎた」
カードにされるはずだったヴァンパイアは、その気楽な声の方向に目をやる。すぐに近くまでやってきて、なでなでと彼の銀の髪をなでる。
「痛いの痛いの飛んでけー」
(馬鹿にしてるのだろうか)

387:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 3/5
11/05/28 00:57:19.51 oyWHhL0Z0
と、思いつつも、体が動かせない。
「ストーンクラブ+2と正義の鉄槌で殴られたらそりゃあ誰でも気を失うもんねー、うちのは特製で、ストーンクラブには日倭製の頑丈な釘生えてんの」
ああ、どうりで体中が痛いどころの騒ぎじゃないわけだ。
そんな釘の生えたものと、ヴァンパイアの苦手な善・秩序属性の正義の鉄槌で殴られ続けたら、ここまでひどい怪我をする。
「コート、ボロボロになったから箪笥にあった俺の昔のバスローブ着せたんだけど」
(いやいや)
それ以前に聞くことがある。
「確かカードにするためと言っていた…うっ、痛っ!!けど、カードにしなかったのか」
首を動かしただけで、背中と関節が悲鳴を上げた。
目の前には青い目と金の髪、さわやかフェイスのガルズヘイムの人間。
困った顔をしたヴァンパイアは、特に攻撃するでもなく、蹲ったまま相手の顔を見続けた。
「カード手前までいったんだけど」
「…」
「何にも抵抗しないから、ぶっ倒れたお前を連れて帰ってきた」
アホがいる。
素直にヴァンパイアは思った。
「体痛いと思うけど、さすがにキュアー使ったらお前には逆効果だろ?」
と、さっとデッキからキュアーカードを取り出したのを見て、思わず身を引いた。
ハッと気づけば、周りにはいろんなアイテムが転がっていた。
まず、紅きコンドル。恐らくはこれを使ってファルコンという魔法を発生させ、カードにするつもりだったのだろう。
他にはチェインメイル+5の限界値のついたもの、ガードマンカード、とにかくいろんなアイテムが散らばっていた。普通にローブも転がっているかと思えば、盾が転がっていたり、ここは物置に使っていたらしい。
言い切ってしまえば、いわゆる汚部屋である。
ところで、彼はガルズヘイムの首都ダンジョンにいたはずだった。
ここが日倭であることには間違いないが、場所までは特定できない。
そこそこにぎわっている街だということは、外からの喧噪でわかる。
彼…ヴァンパイアは痛みがだんだん引いてきたので、少しゆっくりとため息をついた。
しかし体育座りは健在だ。
「なんでボスクラスモンスターが寂しいとかいうの?」
「?駄目なのか?」
赤い眼は困り果てて、冒険者を見つめる。
(この男の名前は…バ…バ…なんだっけ。馬鹿ならあってるはず)

388:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 4/5
11/05/28 00:59:40.93 oyWHhL0Z0
「いやだってヴァンパイアっていうセリフといえば『美しく殺してやろう』とか、そんな傲慢でナルシストな発言じゃん。なのにお前、いきなり『戦いたくない、寂しい』とかいうし。何なの?ヴァンパイアじゃないの?でも明らかに特徴はヴァンパイアだよな?」
ぺらぺらと男は続けた。
「あ、そーそー、なんだしなんか持ってくるわ。お前そこにいて」
そして気がつけば、丁寧に茶まで入れてくれて、ヴァンパイアはそれを啜った。
血とは違うが、温かくて心がほっとする。
相変わらず男は目の前でべらべらしゃべり続けているが、半分以上を聞き流していた。
「ところでここはどこだ。私は創造都市の孤高の城にいたはずだ」
ガルズヘイムの首都は創造都市。
「ここ?満月都市。日倭の首都だよ」
世界地図には詳しくなくても、この世界は海が多く、船をついでかなりの日数使わないとここに来れないのだけは知っている。
相当の時間はかかるはずだが、その時間ずっと気絶していたとは考えにくい。
「満月…都市」
「風の精珠使ってすぐにここにきて運び込んだ」
風の精珠と言えば、シルフを倒せば手に入るアイテムとして有名だが、実はそれは意外な使い道もあるというのは、ヴァンパイアの彼でも知っていた。
だが大抵の冒険者はそれに気づかない。
しかしこの男は知っている。そのアイテムを使えば、どこの都市にだって町にだって一瞬にたどり着くことのできる便利アイテムだということを。
「で、さっきの続きだけど、何で寂しいの?」
「…なんとなく…。私はボスモンスターに向いてないのかもしれない」
ぼそりと呟いた。
とても傲慢な種族のセリフとは思えず、男は腹を抱えて笑いだした。
目が点になるヴァンパイア。
それでも笑いは止まらず、バシバシと畳を叩いた。
「何それ!何その文句!今までヴァンパイア退治はすげぇしてきたよ!?でもそんなこと言うの初めてだ!!ネクロマンサーだってそんなこと言わないのに、あのうっざいくらいの傲慢なヴァンパイアがー!!」
ゲラゲラと声が響く中、ヴァンパイアは思わず、ぺこりと頭を下げた。
「すまない」
ぴたりと声が止まった。
「は?」
「いや、だからすまないと」
「ちょっと待って、俺、殴りすぎて頭おかしくさせた?」
どこまで失礼な奴だろう。

389:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼 5/5
11/05/28 01:01:40.42 oyWHhL0Z0
が、相手は本気で心配しているようで、じろじろと顔を覗き込んで、頭にこぶができていないか確認する。
殴られ続けたせいでこぶは大量にあるが、出会ったときのあの言葉からするに、このヴァンパイアは最初からおかしかったのだろうと本人は判断したらしい。
間違ってはいなかった。
「うんうん、素直な奴だな。俺の目に狂いはない」
「どういう…」
「ウサギみたいな目をして寂しいとかいうから、思わず連れて帰ってきた」
タコ殴りにした後で、と小さく付け加える。
「…ヴァンパイアが、ウサギ…」
プライドもなにも最初からない彼にとっては痛くもない発言だが、比べる対象があまりにも違う。
彼も今まで様々な冒険者を倒してきた。
たまたま、そのあとなんとなく気分的にテンションが下がってベッドにいたところを、戦いに挑まれたので拒否しただけ。
「かーいいかーいい。うん、可愛いな、お前、その性格面白い」
「…ありがとう」
「だからなんでその言葉が出てくんだよ」
「感謝してはいけないのか」
噛み合わない言葉のやり取りが続いた後、仕方なくヴァンパイアから言葉をつづけた。
「人が恋しい。人は羨ましい。仲間と連れ添って、いつも楽しそうだ。仲が良ければ死んだって蘇生してもらえる。私は人間に生まれたかった」
「でもお前にはバンパイア・バットいたじゃないか、仲間だろ」
「いるけど…違う。人間のように、人間と話したかった。けれど皆モンスターというだけでこちらの言い分など聞かずに襲ってくる、だから嫌だった」
「変なの」
男が、茶を飲み干して、畳に茶器を置いた。
「変…だな」
自分でもそう思う、と思いながら、ヴァンパイアは頷いた。

と、それから三日が過ぎた今、自分は彼らを前にしていた。
その間は殺してやろうとか、逃げ出してやろうとかは特に思わず、素直にその男の愚痴を聞いてやる相手をしていた。
名前は『バルド』というらしい。年齢は二十七で、結婚はしていない。
やっと思い出した、とヴァンパイアが頷いた。
その時のバルドの反応は、自慢げに、そうだろうそうだろう、と繰り返した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )続きます。ロウッド達の話が後で出てきたりします。覚えてる方いるのかな。

390:風と木の名無しさん
11/05/28 01:09:33.15 J18A8w+g0
>>384
なにこれカワイイ
元ネタ知らないけどカワイイ

391:風と木の名無しさん
11/05/28 09:38:56.10 GM9xjept0
>>370
文章力パネェっす……
これからにぼし大事に食べるよね

392:風と木の名無しさん
11/05/28 12:01:57.62 iVzRsqUb0
>>370
ギャ△コの雪のひ○ひらを思い出しました

393:風と木の名無しさん
11/05/28 12:23:06.15 Kp9emk9F0
>>370
生涯一度のキス・・・萌え滾る!
にぼしさんに惚れました。ありがとう!

394:真3マニクロ ライドウ×人修羅 1/2
11/05/28 14:17:09.30 ibTbpBe/0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )真3マニクロ ライドウ×人修羅です。
そのものの描写はないけど一応スパンキングなので苦手な方はスルー願います。

「僕は、君を仲魔にしたい訳ではない。一緒に捜査してほしい、一緒に闘って欲しい訳ではない。只―愛したいだけなんだ」



とある大正20年ののどかな午後、人修羅は高手小手に縛り上げられ、ソファに転がされていた。
「ライドウっ、ちょ・・・これ、きついんだけど・・・」
縛って転がした張本人、十四代目葛葉ライドウはもぞもぞと芋虫のように蠢くその様を熱い眼差しで見下ろした。

その手には、乗馬鞭が握られている。

「なにそれ。」
「何って。乗馬鞭だよ。これは馬術の障害飛越競技で使用するタイプの鞭で、短鞭とも云うね」
「そゆことじゃなくって・・・俺、馬じゃないんですけど。それで叩く気?痛いんじゃねえの」
「まあ、馬の皮膚は分厚いから。人間の尻を叩いたら、相当痛いだろうね」
感触を試すように掌に鞭を打ち付けながら、ああ、君は人では無かったねと意地悪く嗤った。

ライドウは時折このように人修羅を折檻する。しかしそれは落ち度に対する罰という訳ではない。
人間と悪魔との関係を「忠誠度」という指標で計ることしか知らないこの不器用なデビルサマナーは、
管に入れることの能わぬ愛しい悪魔の愛情を、素直に理解することが出来ない。
愛していると微笑まれても、甘い口吻をしても、その?に触れることを赦してもらったとしても。



 初めて人修羅を縛ったとき、ライドウはこう問うてみた。
 「愛している振なんて、いくらでも出来るからね。―君、僕にどんな目に遭わされても逃げないと誓えるかい」
 愛する悪魔は驚いたように目を見開いた後、困ったように苦笑していた。
 「ちょっとなに言ってるかよく分かんないんですけど・・・」

395:真3マニクロ ライドウ×人修羅 2/2
11/05/28 14:20:17.94 ibTbpBe/0
人修羅はソファの唐草模様をじっと見詰めながら、初めて縛られた時のことを思い出していた。
訳も分からず縛り上げられ、食い込む縄の痛みに泣きたいのはこっちだっていうのに、
なぜだか不安で泣きそうな表情をしていたのは、彼の方だった。
苦痛でしかなかったコトを終え、擦り傷になる程食い込んだ縄を外しながら、ライドウは独り言のように呟いていた。
「―逃げないよな。君は。僕のことを愛しているものな・・・」
返事はしてやらなかった。ただ黙っていた。だが、逃げなかった。

「何を考えている」
ライドウは衣嚢からガーゼと絹の手巾を取り出す。
「君はこれから暫く口をきくことが出来なくなるけれども。何か言っておきたいことはあるかい」

ライドウのことは好きだ。
黙って耐えさえすれば彼の歪んだ支配欲を満たすことが出来るというのならば、いくらでも耐えてみせようと思う。
でもやっぱり、痛いのはちょっとイヤだ。
この普通ではない付き合いを通じて、ライドウの屈折した愛情を文字通り痛いほど学習してきた人修羅は
何と言えば、この理不尽な苦痛の時間を短縮できるかを良く心得ていた。

「あいしてるよ。ライドウ。」

「まあ、そうだろうね」
苦しそうに微笑んだサマナーは、丸めたガーゼを愛する悪魔の震える唇に押し込んだ。



「有難う。御免よ。只―愛したいだけなんだ」



□ STOP ピッ ◇⊂(・ω・` )
つたない文章で申し訳ないです。(文字化けの部分は「身体」ですorz)
ライ様には鞭が似合うなあと妄想したら居ても立ってもいられなくなったので。

396:兎→虎 1/3 ◆dU4hlANcIg
11/05/29 00:10:26.88 6FJNKrsm0
虎&兎の兎→虎です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

夢を見た。

小さな僕が、あの男をナイフで刺して殺した。

微かな喜びと、壮絶な絶望

あぁ、僕には

僕には幸せな未来なんか、どこにも無いんじゃないか。

いつも無茶をして飛び出して
物を壊して僕の計画を台無しにして
考え無しに動いては足を引っ張って
余計なお節介で人の心に土足で踏み込んで
あなたとコンビなんて組みたくなかった。
目を閉じれば瞼に浮かぶあの悪夢の、その登場人物への憎悪
全身の血が沸き立つような怒りに我を忘れた。
僕はずっと両親を殺した人間を殺す事だけを目的に生きてきたんだ。
いつもナイフを持っていた。
人一倍勉強して、人一倍鍛えて、持って生まれた能力を活かしてヒーローになった。
極力他人と関わらないように、誰にも邪魔されないように。
毎日情報を求めて歩いた。
全ては「ウロボロス」をこの手で葬るため。
その為だけだ。
僕にはそれ以外何も無かった。

397:兎→虎 2/3 ◆dU4hlANcIg
11/05/29 00:11:28.53 6FJNKrsm0
むしろ、殺す事だけを生きる糧にしていたのかもしれない。
あの男がウロボロスに関する人物だったなら
あの男をこの手で殺す事ができたなら
少しは…
どれほどの思いで探してきたと思っているんだ。
何年何十年、それだけの為に生きてきたと思っているんだ。
全てを捨てて、全てをかけて。
冗談じゃない
なのになんでだろう。
「あぁ…バニー」
「…はい?」
「手形野郎がウロボロスじゃないってはっきりして良かったな…。」
いいわけない。
いいわけがない、のに。
よくわからない感情が胸に広がって締め付けられた。
なんでこんな気持ちになるんだろう。
「いや…よくねぇか…」
おじさんを乗せた救急車が走り去る。
なんで、僕の事なんか…
あなたには何度もひどい事を言ったはずだ。
あなたの優しい言葉を跳ねのけた。
あなたを散々バカにした。
「無理をしないでください」そう言ってきたのは僕の方だったはずだ。
頭に血が上った僕の攻撃はあいつには一切当たらなかった。…当然だ。
我を忘れた僕の目に飛び込んできたのは
僕をかばって攻撃を受けたおじさんの背中だった。

398:兎→虎 3/3 ◆dU4hlANcIg
11/05/29 00:12:18.67 6FJNKrsm0
どうして僕の事なんて。
いつも鬱陶しいくらい元気なのに痛そうにしないでください。
僕のせいで怪我なんかしないでください。
心のどこかでは分かっていた。
幸せなんて二度と来ないという事。
だけど僕にはそれしかないんだ。
僕には関わらない方がいいんだ。
だから…突き放しているのに。
何を言ったって何をしたって、何故あなたは僕の傍を離れないんですか。
僕の傍を離れずに、身を呈して僕を止めた。
もう二度とあんな辛い気持ちにはなりたくない。
人と関わらなければ、そんな感情を持たなければ…
無鉄砲で無防備で、他人のために命をかけてしまうような危なっかしい人。
ウロボロスに向けて構えている僕のナイフを、握りしめてくるような人…。

焼け焦げて千切れたおじさんのタスキを拾い上げる。
僕をかばって千切れたタスキに残るその文字は

”Let’s believe”

この気持ちをなんていうんだろう。
なんていうんだろう。
僕にはわからない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>325
最初は俺にしていた箇所もあるのですが、どうにも文才が無いせいで
書きわけができず、結局全部僕に統一しています。

399:風と木の名無しさん
11/05/29 00:58:53.95 6wvFPs6/0
>>384
ヘタレ吸血鬼萌えの私のハートをピンポイントで貫いた…
ヴァンパイアかわいいよヴァンパイア
続き楽しみにしてます。

400:The green knight runs through night 後編1/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:02:14.07 IESQ3gGiO
半生。映画「緑蜂」より社長×助手。
>>351の続きで、エロありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



しばらく俺のシャツを濡らしてから、相棒は静かに口を開いた。
「……ブリシト、信じてくれないかも知れないけど、僕は本心から、君が欲しいと言ったんだ」
「でも力ト-、お前……」
「僕の頭は確かだよ、ブリシト。さっきの言い方はそりゃ、酷かったけど……あんな目に合って君に助けられて、真っ先に思ったんだ。君に、抱かれたいって」
溢れる涙をそのままに、相棒は顔を上げて俺を真っすぐに見つめた。目には真摯な光が宿り、嘘をついてるようには見えなかった。
「力ト-……本当にいいのか?そんな風に言うと俺、付け込んじまうぞ」
「いいよ。付け込んでくれて構わない」
本当に本当か?とさらに確認する俺の唇を、奴は自分の唇で塞いだ。
流れ込む涙と血の味がする深いキスを、俺達は夢中で交わした。
長く合わせていた唇を離すと、相棒が俺の耳に駄目押しの一言を囁いた。
「ブリシト、僕に君の全部を感じさせて……」
俺の理性はものの見事に、木っ端みじんに吹っ飛んだ。

お互いに脱ぐのももどかしく、俺は服を着たままで、はだけたシャツ一枚の裸の体に触れた。
顔や唇はもちろん、胸や腹、内股や膝の裏側にまで舌を這わせ、丁寧に撫で回した。いつにもまして相棒は敏感に反応し、たまらず喘いでは俺の名前を必死に呼んだ。

今夜は相棒の全てを味わいたくて、開かせた片脚を肩に乗せ、いきり立つモノを口に含んでやると、高い悲鳴を上げて驚いた。
イッてしまいそうだからやめてくれ、と俺の髪を握って哀願するのを、さらに深くくわえて拒んだ。
イクなら俺の口の中でイケばいいさと囁いて、ぴちゃぴちゃとしつこく舐め回し、強く吸い立てた。相棒は我慢し切れず、とうとう俺の喉に向かって欲望を放った。
音を立てて飲み下すと、泣きそうな声でバカ、と叫んだ。俺は笑って、恥ずかしさに火照る体を上から抱きしめた。
そのまま口づけると、自分の出したモノの味に少し顔をしかめたが、相棒は拒まず、大胆に舌を絡めた。

401:The green knight runs through night 後編2/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:06:05.41 IESQ3gGiO
俺はいつものジェルを使い、萎えた相棒の中心を扱いて大きくさせた。相棒の方も、震える手で俺のベルトを緩めファスナーを開けて、下着の中の俺自身を擦ってくれた。
喜んでまたキスを交わして、甘い刺激に酔いながら、俺はジェルまみれの中指を相棒の後ろに押し込んだ。
吸い込むように受け入れた中は、かなり熱くなっていた。
前を擦りつつ段々指を増やして行くと、濡れた下の口は淫らに音を立てて締め上げた。
念入りに抜き差しを繰り返す俺に、ブリシト、もういいからと相棒がその先を促した。かすれた甘い声で何度も名前を呼んでねだられ、上着を引っ張られて、俺はやっと奴から指を抜いた。

男同士だと楽らしい背後からの挿入を、顔が見えないからと嫌がるので、仰向けのまま腰の下に枕を入れて、受け入れる態勢を取らせた。
下げたズボンから飛び出した俺のデカい一物を見て、相棒は目を見張って喉を鳴らした。
サイドボードからゴムを取り出した俺に、そんなのいらないよ、と相棒が焦れた。だがいくらのぼせていたって、大人の男としての嗜みを忘れる訳にはいかない。
そう言うな、後で大変なのはお前なんだからと説き伏せつつ、ゴムをきっちり被せた。
「力ト-、入れるぞ。いいんだな」
「うん、いいよ、ブリシト」
「途中でやめようは無しだぞ、わかってるな力ト-」
「ブリシト、くどい男は嫌われるぞ」
そりゃマズいなと笑って後ろにあてがうと、相棒は息を飲んで頭を反らした。

ジェルを塗りたくった猛るモノを、脚を抱えた俺はゆっくり慎重に中に突き入れた。相棒は震えて枕の端を握りしめ、目を閉じて細かく喘ぎ続けた。
今まで十分に下準備をしていた甲斐あって、俺は難無く、待ち望んだ奴の奥深くに侵入を果たした。
埋め込まれたモノの大きさに相棒は身悶え、力を抜こうと懸命に呼吸した。俺はやっと征服出来た相棒の中が、想像以上に心地良いことに感動していた。
「あ、あ……ブリシト、大き……っ」
「力ト-、大丈夫か?ちゃんと息しろよ」
「ん、だ、大丈夫……はあっ」
全てを飲み込んで、ちょっと苦しそうに笑う相棒に、俺はたまらない愛しさを感じた。
「力ト-、つくづく無事でよかった。ここまでお前を開発したのはこの俺なのに、危うく横取りされるとこだったんだからな」
「か、開発って……バカ野郎!」

402:The green knight runs through night 後編3/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:09:26.07 IESQ3gGiO
「そろそろいいな、力ト-。動くぞ」
「……あ!ま、待って、待てよブリシト……う、ああ!」
止めようと腕を引っ掻くのに構わず、腰を緩やかに動かした。相棒は突かれる度に声を上げたが、痛そうな様子はなかった。俺は両脚を肩に担いで、深く浅く突いては引いた。
爛れるような熱さに俺は酔いしれ、絶妙に締め付けられて思わず唸った。相棒も涙を浮かべて感じまくっているようで、絶えず俺を呼んではよがり声を上げた。
「あう、ふ、ああっ、ブリシト、ブリシト……」
「力ト-、ああ、たまらない……お前の中、よすぎるぞ。イッちまいそうだ」
「い、い……イッて、いいよ……僕も、僕……あ、うあ……っ」
甘い声に煽られて上から激しく貫くと、相棒は俺の首を抱き寄せて唇を吸った。滴る唾液にも構わず、繋がったままで口内をむさぼり合った。
唇を離すと、相棒が俺を見てふいに笑った。
「なんだ、何かおかしいか、力ト-」
「ふふ、へ、変だ……グリ-ン・ホ-ネットが、僕を抱いてる……」
「変なもんか。ホ-ネットが抱くのは、相棒だけだ。お前だけなんだぞ、力ト-」
緑のスーツとコートを纏ったままの俺は苦笑して、からかう相棒の頬にキスした。
「僕だけ、か……そうだ、僕だってそうだよ、ブリシト」
「何がだ?力ト-」
「僕が欲しいのは、君だ。冷たいオモチャでも、タチの悪いオンナ男でもない、君だけだ。ブリシト、君だけが、僕を好きにして、いいんだ……」

相棒が殺し文句を吐くのは、これで一体何度目だろう。歓喜に満ち溢れた俺は、唇にまたキスをして、腰を大きく動かし打ち付けた。
容赦なく擦られ、甘い口づけを与えられて、相棒はもう限界だと首を振った。
「ブリシト……ブリシト!もうダメ、い、イク……あ、ああ!」
「力ト-……ん、ううっ!」
ぴんと背中をのけ反らせて相棒が果て、同時に俺も呻いて奴の中で達した。
衝撃に相棒の体は波を打ち、シーツの上に腕を投げ出した。目を閉じて意識を失ってしまった相棒に俺は慌て、肩から脚を下ろし、中の萎えたモノを引き抜いた。
外したゴムを結んでゴミ箱に捨てると、相棒の頬を軽くはたいて呼びかけた。
「力ト-、おい力ト-!しっかりしろ」
「……あ、ふうっ、ブリシト」
目を開けた相棒は、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。俺はほっとして、汗ばんだ額に手を当て、大丈夫かと尋ねた。

403:The green knight runs through night 後編4/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:12:17.08 IESQ3gGiO
「很吃驚……我、我想是不是死……!」
「うん、そうか。悪いがもう一回、英語で頼む」
「び、びっくりした……」
「気を失うほどよすぎてびっくりしたのか、力ト-」
笑って頬をつねると、相棒は俺の手を取り、指に軽く噛み付いた。
「いてっ!……力ト-、俺だってびっくりしたんだぞ。寝た相手に気絶されたなんて、初めてだ。あんなこと本当にあるんだなあ」
「妙なことで感心するなよ……」
呆れて俺を睨んだ相棒は、言葉の後に大きなあくびをした。眠いなら先に寝ていいぞと告げると、頷いて目を閉じた。
俺は相棒の体の汚れや汗を、蒸しタオルで軽く拭ってやった。
気持ち良さそうにしていた相棒は、いつの間にか眠りについていた。上から布団をかけてベッドから離れ、奴の飛沫で汚れたスーツを脱ぎ、パジャマに着替えた。
再びベッドに戻り愛らしい寝顔を眺め、額に軽いキスをした。相棒の黒髪を撫でて、本当に間に合ってよかったとあらためて安堵した。


朝になり、俺がシャワーを浴びてバスローブを羽織り部屋に戻ると、俯せに寝ていた相棒は唸り声と共に目を覚ました。
ふいに勢いよく顔を上げて、きょろきょろと周りを見回した。
俺ならここだぞ、と近寄って声をかけると、俺を見つめた顔はみるみるうちに赤くなり、再び枕に顔を埋めた。
「なんだ力ト-、照れてんのか?」
「……照れてなんか、ない!」
「照れるのはいいが、怒るのは無しだぞ。夕べ俺はお前に、何回もいいのかって確認したんだからな」
「ブリシト……わかってる。だからもう、何も言わないでくれ」
ベッドに腰かけた俺は、それならいいんだ、と俯せた頭を撫でた。
「力ト-、気分はどうだ?良くないようなら、うちの掛かり付けの医者に診てもらおう」
「……いや、大丈夫。後に残らないタイプの薬だったみたいだ。頭はしっかりしてるよ」
顔だけをこちらに向けて答えた相棒は、確かにいつも通りの様子だったので俺は安心した。飯を食うかと訊くと、先にシャワーを浴びたいと答えた。
頷いて腰を上げると、ベッドから下りて歩こうとした相棒が、体のバランスを崩してすっ転んだので俺は驚いた。
「おい力ト-!何やってんだ」
「……おかしい。脚にうまく力が入らない」
床に手と膝をついて、相棒はしきりに首を傾げた。俺はシャツ一枚の体を抱えて、ベッドの上に戻してやった。

404:The green knight runs through night 後編5/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:15:16.96 IESQ3gGiO
「力ト-、どうもこれは、俺のせいだな」
「どういうこと?」
「つまり、激し過ぎたんだ。俺は精一杯、優しくしたつもりだったんだが……腰を抜かされたのも、お前が初めてだ。まあ、お前が慣れてないせいでもあるんだろうな」
初めて尽くしだな、と陽気に告げた俺に向かって、相棒は枕をぶん投げやがった。
「笑ってる場合か。これじゃ僕はとても身が持たない」
「大丈夫だ力ト-、次は気を付けるからさ」
「どうだか……君の大丈夫は、当てにならないからな」
顔に命中した枕を手渡すと、相棒はそれを抱きしめて何やら思案した。なんかかわいいな、とその姿を呑気に眺めていた俺に、奴は向き直って言った。
「ブリシト、提案なんだけど、その……入れるのは毎回じゃなくて、時々にしないか」
「時々って、どの程度だ」
「……月一回」
「月一回だあ!?そりゃ殺生だ、力ト-!」
大いに不満を訴えると、相棒は膝に乗せた枕を拳で叩いて言い返した。
「だって!君はいいかもしれないけど、度々歩けなくなるようじゃ僕が困る。特に夜のパトロールにひびくだろ」
「だから次は加減するって!頻繁にってのは無理だとしても、月イチはあんまりだぞ」
「どうせ君は女の子と遊ぶんだから、僕との……行為が少なくたって、別に構いやしないだろ」
「それとこれとは別問題だ!せっかくお前が許してくれたのに、心ゆくまで愛してやれるのがたったの月イチだなんて、そんなの切な過ぎるじゃないか!」
俺の心からの悲痛な叫びに相棒は目を見張り、黙ってまた何か考えた。

「じゃあブリシト、何回ならいいんだ」
「週イチだ!」
「……無理」
「じゃあせめて、月に三回」
「それもダメ」
押し問答を繰り返した結果、俺が大幅に譲歩して月二回で落ち着いた。相棒はまあいいかと納得したようだが、俺はそんな約束をしおらしく守る気はさらさらなかった。
いざベッドに入ればこっちのものだ、口車と押しの一手で、もうちょい回数を増やしてやろう。そう企んでいるのが顔に出たのか、相棒が怪訝そうに俺を見た。
「……ブリシト、何ニヤついてる」
「力ト-、さっきの俺達のやり取りって、痴話ゲンカ……いや、ちょっと夫婦ゲンカみたいだったよな」
いっそうニヤついた俺の顔に、また枕が飛んで来た。

405:The green knight runs through night 後編6/6 ◆Rv.F4X8MbU
11/05/29 23:21:30.90 IESQ3gGiO
一日休んで出社した相棒に、秘書が一体どうしたのかと心配そうに尋ねて来た。
奴が口を開くより早く、こいつは女とシケ込んでてちょっと痛い目に合ったんだ、と俺が答えた。秘書はあらそう、それはお気の毒と返し、相棒に呆れたような一瞥をくれて仕事に戻った。
相棒は俺の腹に肘鉄を浴びせ、弁解しようと慌てて秘書の側に駆け寄った。俺は腹を摩り、大笑いしてその光景を眺めた。

俺があの女の会社との取引を断ると切り出すと、事情を知らない秘書は、契約違反で訴えられることを危ぶんだ。
だが先方に電話した際に、うちの経営パートナーの意見で方針が決まったと告げると、相手はしぶしぶと承諾し、訴えはしないとの確約を取り付けた。
電話を切った後、そういえばあのスケッチは捨てたのかと相棒に訊くと、今後の戒めとして残しておくよ、と神妙に答えた。
俺なら即破り捨てるんだが、東洋人の発想はやっぱり違うんだなとしみじみ思った。


後日あの女には、薬物法違反で警察の手が回った。
俺達が逃げた後、あのビルに入り込んだホームレスが、人が倒れているのに驚き通報した。駆け付けた警察は女の様子と、グリ-ン・ホ-ネットが襲撃した事実について不審を抱いた。
そして捜査を進めた結果、女の会社が裏で、あらゆる種類の違法な薬を扱う商売をしていたことが明らかになった。

ライバル社にすっぱ抜かれたのは実にマヌケだが、社長室でその記事を見た俺は、ざまあ見ろと快哉を叫んだ。
相棒に新聞を渡し、こういうのを怪我の功名って言うんだよなと笑うと、奴は複雑な顔をして、そうかもね、と返した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
読んで下さってありがとうございました。デブイデ楽しみ!


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