11/11/26 00:19:21.95 qsL/dY6z0
「今日は寒いので炬燵を出しました」
家電の受話器から同居人の携帯電話に短いメッセージを吹き込み、青木 貢(68)
は時計を見た。
「4時か・・・」
炬燵を出すのに意外と時間がかかっしまったようだ。どうしてもコンセントコードが
見つからず、マンションの備え付けの納戸の中をひっかきまわしクローゼットの中も
引っ張り出した。
(淳司が引っ越してきた時に色々変えたからな)
散々探した揚句、炬燵のコードはなんとテレビ台の引き出しの中でコンセントの延長
コードと一緒にしまわれていた。
「これから片付けて買い物に行って、と・・・」
(淳司は6時には帰ってくる)
青木は一息付くためにキッチンの冷蔵庫に向かった。中からペットボトルのお茶を出す
と湯呑にトクトクとつぎ、電子レンジのお燗モードで温める。ほどなく電子音がし湯呑
を電子レンジから取り出すと、青木はそろそろとお茶をすすった。
「・・・ふぅ」
一息吐きだすと青木は炬燵が置いてあるリビングの向こうの窓の外を見た。晩秋の太陽
は早くも傾き黄色い光を放っていた。