04/03/14 16:21 xVgl6PgY
>>277
18
溜まった水で足がよろめく。塀に肩からぶつかった。百合の声にならない声が聞こえた気がする。飛んでいく傘が視界の端で見える。タイヤのスキール音が高い声で唸り、吼える。
せまる衝撃を予感し俺は身を固くした。抱きしめた腕に力が入る。
「百合―!」
息を殺して百合の名を呼んだ。
お兄ちゃん、とせっぱつまった百合の声が聞こえた瞬間、背中を襲ったのは冷たく派手な水しぶき。
俺が覚悟した衝撃は訪れず、背中を叩くのは冷たい雨ばかりだった。
固く瞑った瞼を開ける。
「お兄ちゃん……」