04/03/12 17:45 +m3/AuJe
>>235
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俺は肩を竦めた。百合へ問い質すように訊ねて見る。
「大体、傘一つしか持ってきてないって意味無くない? 迎えに来るのに傘忘れるか、普通。何かのついでに寄っただけとかなんじゃないのか?」
百合が何回も目を瞬かせた。この癖が出るときは、何か隠し事がある時だと、昔から決まっている。
「そ、そんなの仕方ないじゃない。忘れちゃったんだもん。迎えに来たに決まってるでしょ! こんな優しい妹を疑うなんてお兄ちゃんひどいっ」
冗談っぽく言い愛想笑いを浮かべる百合へ、俺は訝しげな視線を送った。
「ほんとかよ。……まあ、来てくれたのは助かったけど―」
「でしょ? でしょ?! あ、お兄ちゃん肩びっしょりじゃない。なんで傘に入れないのよ。もっとこっち寄って。濡れちゃうでしょ、ほらぁ!」
俺の言葉を遮り、話題を変えるように百合が騒いだ。