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>>354 続き
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1999/03/28 支配の構造-アメリカ(2)
資本主義の発展をうながした「予定説」について簡単に説明しておこう。
聖書の「予定説」によれば、「人はこの世に生まれてくる以前から神によって運命が定められており、個々人の救済もあらかじめ決まっている。さらにこの世で
人がいかに熱心に信仰しようがすまいが神による救済の決定は絶対に変えることはできない。」というものであった。
カルビンはこの「予定説」に対して次のような解釈をくだすことでピンチを最大のチャンスに変えたのである。
すなわち人は自分が神に救済される人間かどうかを知る唯一の方法がある。そのためには人はこの世で
禁欲と勤労の生活を送り、懸命に働いて富(金)を手に入れ、その富を享楽に使わず再生産のために投資
を行い、さらに勤労に励まなければならない。このような禁欲と勤労の生活を生涯にわたって繰り返すこと
によって富が蓄積されていくならば、それが神がその人間を救済することを認めた証拠であるとしたのである。
この考えは非常に分かりやすく、何よりも個人が豊かになる富の追求と宗教的救済がワンセットになっていた
ため庶民の間に爆発的に広まっていったのである。
こうしてイギリスではプロテスタンティズムが国家の公認宗教と
なったため、熱烈な宗教心と富の追求が一体化して資本主義が本格的に胎動し発展していったのである。
先に述べた通りWASPの先祖はこの清教徒(ピューリタン)の一派であった。アメリカのプロテスタントは元来、
アメリカ東部のニューイングランドに住み着いたピューリタンの集団だったのである。彼らは当初、選民意識
が強く、救済の確信のもとに自らの信仰を守ることに情熱を注ぐ独善的で閉鎖的な宗教集団であった。彼ら
は布教を行わず、ピューリタンだけで構成される聖書による共和国をめざしていたのである。
アメリカは独立戦争に勝利した後、必然的にプロテスタントの富を求める経済活動から国土を南部、中部、
西部へと拡大していった。こうして東部に根づいていたプロテスタントはアメリカ全土に散らばっていったの
である。