【テレビ】取材された難病少年も静かな怒り 日本の海外ロケの無茶 「君に未来はないよね」などと畳み掛け泣かせる [07/15]at NEWSPLUS
【テレビ】取材された難病少年も静かな怒り 日本の海外ロケの無茶 「君に未来はないよね」などと畳み掛け泣かせる [07/15] - 暇つぶし2ch1:依頼スレ@道芝 ★@転載は禁止
14/07/16 20:45:46.47 0
取材された難病少年も静かな怒り、日本の海外ロケの無茶

難病プロジェリアを患うミヒル君の著書。(2014年6月、筆者撮影)
URLリンク(img.chess443.net)

 「ぼくは世界中のドキュメンタリー番組で人生を語ってきた。
ベルギー国内5回、フランス2回、ドイツ2回、イギリス1回、そして日本2回。
たいがい楽しくやったけど、日本の取材班にだけはほとほと困らされた」。世界でも
希な難病を患うベルギー人少年ミヒル君(15才)は、昨年出版した自著の中で、
日本からの取材班がいかに虚構を描こうとするか、静かな怒りを込めて書き綴っている。

 筆者も、テレビ番組取材のためのリサーチやコーディネートを請け負うことがあるが、
そのあまりに身勝手で無謀なロケに閉口することが少なくない。そのやり方は、
他国の取材班と比べても、極めて独特であり、現地社会で顰蹙を買う場合も多い。
何がミヒル君を困らせたのかを検証しながら、海外各地のコーディネータ仲間、
そして筆者自身の経験と照らし合わせて、日本の海外ロケの問題性を明らかにしてみたい。

■「それは僕の顔じゃなかった」

 ミヒル君の病気は、全身の老化が異常に早く進行してしまう早老症疾患『プロジェリア』だ。
世界で確認されている存命患者数は40名ほど。平均寿命が13才位とされること
、また、ミヒル君の家族では兄妹で揃って罹患していることなどからメディアの
注目を浴びてきた。

 日本からのテレビ取材を受けたのは2009年のこと。取材当時、平均寿命と
される13才にそろそろ近づこうとしていたミヒル君を前に、カメラは『死の影に
怯える悲壮な少年と家族』を描こうと必死だった。サッカー選手になりたいという
将来の夢を語らせておいて、「でも、君に未来はないよね」と声をかける。
それでも涙を見せないミヒル君を、とうとう祖父の墓まで連れて行き「もうすぐ、
君もここに入るんだね、大好きなおじいちゃんに会えるね」とたたみかける。

 ミヒル君はこう回想する。「ぼくの目に涙が出てきたら、彼らはズームアップして
撮った。その顔を後で見たけれど、それは僕の顔じゃなかった」と。ミヒル君の
父親はとうとう爆発し、「もう止めだ。偽りの姿を見せたくはない。私達家族は
悲嘆に打ちのめされているわけではない。それが気に入らないなら、荷物を
まとめてさっさと帰ってくれ」と叫んだという。

 ここで浮き彫りにされている問題は、筆者も度々直面することだ。高視聴率を
得るためのテーマや映像を安直に求めすぎるのだ。日本のテレビ界では、
番組は質的評価よりも、視聴率という量的尺度が一人歩きしている。衝撃的な
映像や大音響を盛り込めば、無計画にチャンネルを変える手が留まりやすくなるので
数値が上がる。社会問題など映像や音声的には単調でも「知らせるべきこと」を
掘り下げるような番組は、企画が通りにくく予算が付かない、と、ある制作関係者がこぼす。(中略)

■台本ありきで手っ取り早く

 「お土産なんか買いに行くことはない」というミヒル君をショッピングに
駆り出し、普段はしないパパの出勤お見送りを小さな妹とともにやらされたという。(中略)

 ミヒル君のケースであからさまなのは、人道や倫理の意識の乏しさだ。
ミヒル君に涙を出させるためには手段を選ばない。筆者はこれまでに、
幼い子ども、病気や障害を持つ人、性志向上の少数派などの取材にも
関わってきたが、制作側の勝手な都合で早朝や夜中まで長時間取材を続けたり、
番組の本質に無関係なデリケートな質問を興味本位で繰り返したりと、
人間性を疑いたくなるようなことも少なくなかった。

(以下略)

朝日新聞 WEBRONZA 2014年07月15日
URLリンク(webronza.asahi.com)


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