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EUの状況から見えてくる「外国人労働者=移民」と経済成長の現実。
外国企業や高度人材受け入れを急ぐ日本を待ち受ける事態とは(産経新聞特別記者 田村秀男 月刊正論8月号)
■外国人労働者」は「移民」と同義である
政府は新成長戦略で外国人の「働き手」受け入れ拡大を打ち出した。帰国を前提とし、永住につながる「移民」
導入策ではないという建前だが、そもそも欧州の例をみても、外国人労働者は「移民」の範疇に入るし、
滞在期間が切れた外国人を一斉に強制帰国させることは政治的に困難だ。したがって、政府はそろりと、移民受け入れに
舵を切ったと見るのが自然だ。移民受け入れ策を論じてきた政府の経済財政諮問会議の大義名分は少子高齢化で
停滞する日本経済を活性化させるというものだが、ちょっと待てよ。本当に移民で経済は成長するのか。
安倍晋三首相が発表した新成長戦略の目玉とされるのは法人税の実効税率引き下げのようだが、移民推進論者たちは
そこに付随させる形で外国人労働者受け入れ拡大--移民導入へのルートを仕込んだ。成長戦略を検討してきた
経済財政諮問会議、産業競争力会議の議論を追ってみると、「内なるグローバル化」という一貫した狙いが込められている。
法人税率引き下げで外国企業の対日直接投資を促して高度な技能・技術を持った外国人労働者を受け入れる。
高度な外国人の対日進出を盛んにするためには、外国人幹部の家族に住み込む外国人の家事労働者(お手伝いさん)
受け入れが欠かせない、という名目で新成長戦略にそれを付け加えた。
日本はこれまでお手伝いさんを含む外国人単純労働者の受け入れを厳しく制限してきた。それを事実上緩めるのに合わせて、
もっと正当な外国人労働者の受け入れを拡大するのは不都合ではない。正当とは発展途上国の人材が働きながら
技能を学ぶという建前の「外国人技能研修制度」に基づく「外国人技能実習生」のことである。
「技能」と名のつく労働者の受け入れ拡大は「内なるグローバル化」推進の一環である。
新成長戦略ではこの技能研修生の滞在期間3年を5年に延長すると同時に、介護福祉を外国人技能実習制度に追加する。
さらに2020年東京五輪を控えた建設工事需要に対応する名目で建設業と、
同じく人手不足の造船業での外国人労働者受け入れ期間を5~6年とする新制度をつくる。
これらは、急場凌ぎでささやかな外国人労働の受け入れ拡大策のように見える。昨年秋、消費税増税と引き換えに
法人税率引き下げを断行すると決意表明した安倍首相はもとより「移民受け入れ」に否定的だが、外国人労働者
受け入れも「業種、滞在期間限定だから移民ではない」との周りからの説明を却下するわけにはいかなかったようだ。
「外国人の働き手」を法人税引き下げと抱き合わせにする首相周辺の移民推進グループのもくろみが当たったのだ。
>>2に続く
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