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4 名誉毀損としての違法性又は責任が阻却されないこと
(1) 名誉毀損は,公共の利害に関する事実に関し,専ら公益を図る目的で行わ
れた場合,摘示事実が真実であることが証明されたときは違法性がないとさ
れ,あるいは,摘示事実を真実と信じるにつき相当な理由があるときは過失
がないとされ,いずれの場合も不法行為が成立しない。しかし,本件発言は,
以下のとおり,公益目的に出たものとはいえないし,摘示事実も真実ではな
く,またそう信じるにつき相当な理由もない。
(2) 表現行為が専ら公益を図る目的に出たものかどうかは,その表現方法や事
実調査の程度なども判断資料とされ,表現方法が不相当なことは,公益目的
を欠くことを推認される事情となる。また,意見・論評による名誉毀損行為
についても,それが人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものであ
る場合は不法行為責任を免れない。
本件発言は,憎悪,反感,敵意,在日朝鮮人に対する差別意識が露骨であ
り,本件映像公開を通じて,不特定多数人の感情的な反応を引き出し,差別
に対する共感や支持を得る目的で企図されたものである。本件学校が本件公
園を不法占拠しているとの事実の指摘は,上記目的を達成するための道具と
して使われたにすぎない。本件示威活動における発言は,公益目的に出たも
のとは到底いえない。
(3) 番号1,12,13,19,24及び28の発言は,本件学校が本件公園
を50年間にわたり不法占拠してきた事実を摘示するが,その摘示事実は真
実ではない。
本件学校は,昭和38年の京都市及び○○町自治連合会との協議を踏まえ
て本件公園を体育の授業や部活動で使用するほか,運動会及び本件学校の創
立記念式典の会場として使用していた。ところが,京都市の担当者が,平成
21年6月頃,本件学校を訪れ,サッカーゴール及び朝礼台の撤去を求めた
ため,本件学校は,同年7月10日,京都市に対し,平成22年1月31日
にサッカーゴール及び朝礼台を撤去するとの提案を行い,京都市もこれを承
諾していたのである。本件学校は,京都市からの撤去申入れを無視して本件
学校にサッカーゴール等を設置し続けていたわけではない。
そして,被告らが上記摘示事実に関連して行った調査は,近隣住民及び近
隣工事現場の警備員からの聴き取り,市役所職員との面談,本件公園の下見
といった程度であり,摘示事実を真実と認めるに足りる相当な理由があると
は到底いえない。
(4) 番号2及び14の発言は,本件学校の土地を原告が侵奪した旨の事実を摘
示している。また,番号3ないし5,16,25及び26の発言は,本件学
校が北朝鮮によるスパイや日本人拉致事件の犯人を養成する機関であるとの
事実,あるいは,本件学校が在日本朝鮮人総聯合会(以下「朝鮮総連」とい
う。)と一体であるとの事実を摘示している。しかし,これら摘示事実は何ら
真実ではなく,またそう信じる相当な理由もない。