14/07/04 12:03:14.24 0
新聞社にとって客観報道は基本であるとはいえ、百パーセント客観的な紙面作りは事実上不可能だ。
だからといって、国を二分するような論争が起きているときに一方に肩入れし過ぎていいわけではない。
肩入れし過ぎの好例は、直近では集団的自衛権をめぐる報道だろう。政府は7月1日の閣議決定で、
集団的自衛権行使の容認に向けて憲法解釈の変更に踏み切った。すると主要紙は、旗幟鮮明にした関連報道で翌日の紙面を埋め尽くした。
集団的自衛権行使では反対派と賛成派の代表格である全国紙(西部支社版)を見比べてみよう。
賛成派の声を載せなかった朝日
まずは反対派代表格の朝日新聞。1面では最上段に「平和主義覆す解釈改憲」と大見出しを掲げ、
「『強兵』への道 許されない」と題した編集委員コラムを載せている。
編集委員がコラムで「許されない」という主観を打ち出すのは珍しくないが、通常のニュース記事で「平和主義覆す」という表現は大胆だ。
続いて、1面に次いで重要なニュース面である総合面(2面と3面)でも、見開きで集団的自衛権報道を全面展開している。
主な見出しを選んでみると、次のようになる。1面の「平和主義覆す」と同様に大胆な見出しだ。
<危険はらむ軍事優先>
<周辺国刺激 緊張招く懸念>
<抑止力 逆に低下する恐れ>
<ねじ曲げられた憲法解釈>
<「自衛措置」強引に拡大>
<論理の暴走 戦前と同じだ>
社会面も見開きで全面展開し、「戦争放棄捨てるな」「平和見失うな」という大見出しを軸に紙面を作成。
「絶対に許さないぞ」と拳を上げる市民らを写した写真の横には、「列島 抗議のうねり」という記事を載せている。
オピニオン面を見ると、「声」の欄は「列島 抗議のうねり」を裏づける内容だ。読者からの手紙5本のうち3本は集団的自衛権関連であり、そろって反対派の声なのだ。
見出しはそれぞれ「平和憲法の無力化 許せない」「閣議決定は『違憲で無効』だ」「戦争の悲惨 継承できない不幸」。
1人でもいいから賛成派の声も載せられなかったのか。
国を二分するような論争が起きているとき、単純に両論併記したからといって客観報道を実現できるわけではない。
単純な両論併記は、記者が考えることをやめ、速記者に成り下がることと本質的に変わらない。一方で、一方的報道も客観報道ではなく、一歩間違えれば偏向報道だ。
言うまでもないが、報道では何事にも百パーセント正しいということはない。報道は科学とは違う。
どんなに正しいと想定できるテーマについて書いているときでも、最低限のバランスを確保する必要がある。
紙面を見ていて読者が自然に「異なる声もあるんだな」と気づく程度のバランスだ。
そもそも、大手新聞社は紙面上でかねて少数派の意見を尊重するよう説いてきたことを忘れてはならない。(抜粋)
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
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