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憲法解釈で禁じられてきた集団的自衛権の行使をめぐり、自民、公明両党は一日午前、国会内で十一回目の協議を開き、憲法解釈
を見直して行使を容認することで合意した。安倍内閣はこれを受け、今夕の臨時閣議で憲法解釈を変更する閣議決定を行う。だが、
行使の基準となる新たな「武力行使の三要件」は抽象的な表現となっており、武力行使を含めた海外での自衛隊の活動が際限なく
広がる恐れがある。戦後の安全保障政策の基本方針だった専守防衛は大きく転換する。
新たな三要件では、行使を容認する基準として「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」
を挙げ、必要最小限度の武力行使が「憲法上許容される」と明記した。行使容認を自民、公明両党は「わが国を守るための自衛の措置」
と強調するが、閣議決定案では「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と盛り込んでいる。
閣議決定案では集団的自衛権だけでなく、自衛隊の海外での他国軍への後方支援活動も大幅に見直した。従来は補給や医療と
いった支援を「非戦闘地域」に限定してきたが、これを撤廃。「戦闘地域」でも、銃弾が飛び交う「現に戦闘行為を行っている現場」で
なければ、活動可能との見解を盛り込んだ。政府は他国軍への支援内容も、これまでできなかった武器・弾薬の提供も可能と解釈
している。
他国からの武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」では、武装集団が離島などに上陸した場合の対応について自衛隊の出動手続き
の迅速化など運用を見直す。
安倍晋三首相は午後に公明党の山口那津男代表と会談し、合意内容を確認。臨時閣議後に自ら会見する。
◆安保大転換 あまりに拙速
<解説> 安全保障政策の大転換という重大な問題にもかかわらず、与党協議で議論が尽くされたとは言い難い。五月二十日に
始まってこの日で十一回目。協議時間はわずか計十三時間にとどまる。グレーゾーン事態の検討を経て集団的自衛権の実質議論に
入ったのも六月十日の五回目からだ。特に政府が閣議決定案を示した七回目以降は、早期の合意が前提の議論に終始した。
自衛隊は一日に発足六十年の節目を迎えた。専守防衛は、六十年の自衛隊活動を支えてきた防衛政策の根幹で、戦後の歴代内閣
が受け継いできた。これをわずか一カ月余りの協議で転換するのは、あまりに拙速と言える。六月に入り、地方議会で慎重な対応を
求める意見書の可決が急速に広がっているのも、拙速な結論への懸念が背景にある。
自民党は結論を急ぐ安倍晋三首相の意向を受け、当初から合意前提の協議だった。当初は反対論が強かった公明党は、連立離脱
を選択肢から除いたことで、合意案づくりに入らざるを得なくなったのが、与党協議の流れだ。
自民、公明両党は一日に合意した内容を「限定的な容認」と強調した。しかし、行使をどういったケースで容認するかは、詰めた協議
が行われていない。当初は米艦防護や機雷掃海といった具体的な事例に基づいて議論されるはずだったが、どの事例で行使するのか
は判断されていない。協議で座長を務めた自民党の高村正彦副総裁は与党合意後、行使の要件を「極めて厳しい縛り」と述べた。
だが、限定の歯止めはまだ国民に理解されていない。
ソース(東京新聞) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
図表 URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)