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社説:ヤジ議員判明 説明にもあきれ果てる
毎日新聞 2014年06月24日 02時30分
こんな説明で幕引きなど、あり得ない話だ。東京都議会で塩村文夏(あやか)議員(35)が女性蔑視の
ヤジを浴びせられた問題で都議会自民党の鈴木章浩議員(51)が「早く結婚した方がいい」と発言したこ
とを認め、謝罪した。
鈴木氏は発言の責任を取るとして会派からの離脱を表明したが、議員辞職は否定した。他のヤジの発言者は
まだ特定されておらず、都議会は対応が鈍い。自民党も含め、国際的に日本の印象を傷つけた言動に明確なけじめをつけるべきだ。
非常識なヤジから5日を経て、やっと当事者が発言を認めた。鈴木氏は記者会見で「反省」を連発、塩村
氏に深々と頭を下げ謝罪した。
だが、その説明はあきれるような内容だった。まず問題なのは鈴木氏が自身のヤジについて「単に早く結
婚してほしいという思いで発言した」と釈明したことだ。音声で記録された鈴木氏のヤジは塩村氏を中傷
する意図から発せられたことは明らかだ。結果的に問題だったと言わんばかりの説明では反省を疑う。
週明けまで名乗り出なかったことへの「話す機会を逸した」との説明もしらじらしい。鈴木氏は当初か
らヤジの発言者との見方があったが、報道各社の取材に発言を否定、ウソをついていた。騒動が拡大する
中で「声紋」分析まで浮上、隠し通せないと観念したのが実態ではないか。
毅然(きぜん)とした対応を取らず、手をこまねいた都議会も同罪だ。議場でヤジを制止せず、塩村氏
が地方自治法133条に基づき議長あてに提出した発言者の処分を求める要求書も受理すらしなかった。
ヤジの発信源と指摘されながら厳しい確認を怠った都議会自民党の対応も異常である。
発言者が特定されない間にヤジ問題は海外でも報じられ「日本には女性に対する人権感覚が欠如して
いるのではないか」との疑惑の目が国際社会から向けられた。「産めないのか」など、あったとされる
他のヤジの発言者もなお特定されていない。鈴木氏の言動に今後、どのように対応するかも含め、都議
会の姿勢が厳しく問われよう。
自民党の石破茂幹事長は鈴木氏のヤジを「党の責任者としておわびする」と謝罪した。今回の発言や
事後の会派の対応を見る限り同党には女性の社会進出に理解が足りず、差別的な価値観を押しつける体
質があるのではないか、との疑念を抱かざるを得ない。
さきの石原伸晃環境相の「金目」発言もそうだが、一連の国政選挙や都議選での自民大勝のおごりも
言動に影響しているのではないか。本当に事態を重視しているのであれば党首である安倍晋三首相(総裁)
こそ党による収拾を主導しなければならない。
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