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●ディズニーに再燃する労働問題
TDRのショーやパレードに、7~17年間にわたり出演してきたパフォーマーたちが、
「ショーをリニューアルオープンする」という名目で、3月末に解雇された。
キャストの使い捨てともいうべき突然の解雇に、パフォーマーら8人が
オリエンタルランドと団体交渉するために「オリエンタルランド・ユニオン」を結成した。
これまでにもオリエンタルランドの労働問題は、2度ほどニュースで報じられ、世間で話題になった。
2000年に発覚したアルバイト1600人の厚生年金加入漏れと、
07年に発覚したダンサー労災認定問題だ。ダンサー労災認定問題では、
TDRのパレードに参加していたダンサーがケガをしたものの、業者を間に挟んだ業務請負契約だったことから、
オリエンタルランド側は「ダンサーとは雇用契約を締結しているわけではない」と主張したが、
勤務実態から「労働者性」が認められ、業務上労災と認定されるに至った。
その後、さすがのオリエンタルランドもダンサーなどの数百人のパフォーマーに関して
業務請負契約から直接雇用へ移行するものと見られていたが、
現実にはパフォーマーの多くは、業務請負契約が続いているのだ。
「07年に問題視されたダンサー部門の一部はその後、オリエンタルランドの直接雇用となりましたが、
いまだに多くのパフォーマーはオリエンタルランドと業務請負契約をした中間業者と
1年更新で業務請負契約を結ばざるを得ない不安定な状態にあります。
それぞれが個人事業主で健康保険も自分で加入し、
雇用保険も労災保険も適用対象外となっている人もいます」(オリエンタルランド・ユニオン)
オリエンタルランド・ユニオンの話によれば、オリエンタルランドはパレードやショー運営に関しては、
複数の中間業者と業務請負契約を結び、その中間業者がアルバイト情報誌などで
人材を募集し、オリエンタルランド側はその人材の中から選別し、パフォーマーとして教育してきた
請負といいながら、オリエンタルランドが時間管理や技術指導を行っている。
オリエンタルランドが用意した台本、振り付け通りにやらなければ注意されます。
ショーの出演者に裁量権はなく、アドリブは原則禁止だった」(ユニオン)ために、
オリエンタルランドにおける就業実態は事実上の派遣形態をとっており、
「偽装請負」として職業安定法44条に抵触している可能性も高まっているのだ
オリエンタルランド側は、請負業者と請負契約を結んでいる「注文主」の立場にすぎず、
雇用契約も指揮命令関係もなければ、労務管理にも関与していないので「使用者」ではないという理由でユニオン側の団体交渉を拒否している。
「オリエンタルランドは、これまでも見てみぬふりを続けてきました。最小限の人数で回すことを余儀なくされた
現場はブラック企業化し、疲弊しています。疲弊しているうえにパフォーマーはケガをしても自己責任で、
『ケガをして動けないのなら仕事を辞めろ』『妊娠したら仕事を辞めろ』などと中間会社からいわれ、
泣き寝入りして辞めていく人が多い。オリエンタルランドに直接、相談をしようものなら、
契約先の中間会社の社長から『俺の顔をつぶす気か』と恫喝する電話がかかってきた人もいます。
最近は景気がよくなったために、アルバイト応募者も減ってきており、ますます現場は苦しくなっている」
オリエンタルランドはコストカット重視で、ここ数年は、エンターテインメント関係を中心に製作費が大きく削られている。
オリエンタルランドの財務諸表を見ても唯一大きく削減されているのは売上原価、なかでも、
「エンターテインメント・ショー製作費」なのだ。同製作費が最も多かったのが09年3月期で、154億円。
ところが、最新の14年3月期では55億円と、ほぼ3分の1にまで削減されているのだ。
米本社に支払うロイヤリティーが221億円から271億円と2割増であるのと比べても、大幅に減っていることがわかる。
こうしたコストカットが労働環境を悪化させ、ひいてはパフォーマンスに悪影響が出る。
「パレードやパフォーマンスも、かつてと比べると配置される人数が激減しています。
ディズニーファンからすれば明らかに魅力が落ちており、不満の声も出てきているほどです。オリエンタルランドにとっては、
話題の新しい映像ショー(キャッスルプロジェクション)はパレードなどと比べて人件費を大幅に削減できることも魅力なのでしょう」(ユニオン)
“夢の国”が労働者の犠牲の上に成り立っているとしたら、悪夢としかいいようがないだろう。
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