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原発事故から3年超 「山の幸」 安心禁物
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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東京電力福島第一原発事故から三年が過ぎた今年四~五月、県内六市町で、
野生の山菜の放射性セシウム濃度が一般食品の基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超えたとして、
新たに国の出荷制限を受けた。時間の経過とともに、食品の安全への警戒が薄れてきているかもしれないが、
少なくとも「山の幸」に対しては、まだ気を緩めるのは早そうだ。 (石井紀代美)
■安全?
新たに国の出荷制限を受けた野生の山菜は(1)タラノメ(四月十八日に日光市、
五月一日に那須塩原市、同十五日にさくら市)(2)コシアブラ(四月二十五日に高根沢町、同三十日に市貝町)
(3)ゼンマイ(五月七日に鹿沼市)。これらを含め、今月十日現在で、県内で出荷制限を受ける食品は十七品目ある。
県林業振興課によると、野生の山菜やキノコは毎年、出荷前に産地の市町別にモニタリング検査を実施。
国の基準を超えた場合、今回のように出荷制限がかかる。解除のための明確な基準は示されていない。
注意したいのは、出荷されている野生の山菜やキノコが、100%安全とも言いにくい点。
検査では、採取者から連絡を受けた県職員が山へ同行するなどして、群生地一カ所から一検体分を採取する。
基本的に、それが合格すれば、その市町全域で採れた同種類の山菜・キノコが出荷できる仕組みだ。
山は除染されていない上、起伏に富んでいて放射性物質がたまりやすい場所が多い。
たった一検体が合格したからといって、その市町全域で採れた山菜・キノコが「安全」と言えるのか。
「検査した検体が、たまたま汚染されていない場合もあるのではないか」と疑問をぶつけると、
「その可能性も否定しきれない」と同課の担当者。「野生の山菜は、どこに生えているか把握しづらく、
量も採れないし、期間も短い。他の農産物のように計画的なモニタリングが難しい」と説明した。
県のモニタリングは、汚染食品の流通防止に主眼を置くが、これだけでは少し心もとない。
■自分で確認
消費者自身が、食べる前に安全性を確認する重要性を強調するのは、
那須塩原市で民間の食品測定所を運営する「那須野が原の放射能汚染を考える住民の会」の西川峰城(みねき)会長。
測定所には、周辺市町から住民が、自分で食べるために採取した山菜やタケノコ、自家栽培の野菜などを持ち込む。
蓄積したデータを踏まえ、西川さんは「田畑から採れるもので基準を超えるのはほとんどないが、
山のものは、いまだに気を付ける必要がある」と指摘。実際、今年四月に測定した那須塩原市のタラノメから、約二五三〇ベクレルが検出されている。
西川さんは、原発事故の翌春は、住民が食べるのを控えたのか、
道端に生えた山菜をよく目にしたが、昨年、今年と見かけなくなったという。
「関心が薄れ、『季節の恵みを見つけた』と、食べてしまっているのではないか」と心配し、
「『測ってから食べよう』と呼び掛けるリスクコミュニケーションが必要だ」と強調する。
ちなみに、県などが二〇一三年度に実施した食品検査では、五万三千六百三十四検体のうち、
基準を超えたのは山菜、イノシシ肉などの九品目七十四検体。比率にして0・14%。
数字だけを見ていると、気を緩めたくもなる。