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ニートから抜け出せないなど就職が難しい状況に陥(おちい)った若者を支援するために、
厚生労働省が2007年からスタートさせた「地域若者サポートステーション事業(サポステ)」。
だが、その実績を見ると、残念ながら結果が出ているとは言い難い。
サポステの設置数は、初年度の25ヵ所から年々増加し、今では全国160ヵ所に上る。
運営は主に地域のNPOが行なっており、運営費は税金によって賄(まかな)われている。
厚労省が集計した2012年4月から8月までの実績では、登録者数2万5463人のうち、
就職(非正規を含む)が決まったのは4872人(約19%)。正社員に絞れば、わずか1330人(約5%)だ。
なぜ成果を挙げられないのか?
その原因のひとつは、厚労省がサポステの委託事業者に課している“運用ルール”にある。
まず、サポステでは、15歳から39歳までの「就職困難な状況にある若者」に、キャリアコンサルタント
による相談や、コミュニケーションスキルを向上させるためのトレーニング、職場体験などを受けさせる。
確かに、サポステの利用者に取材すると、「コミュニケーションを取ることへの不安や緊張感が和らぎ、
自信がついた」(浜松市在住のサポステ卒業者)、「同じ悩みを持つ仲間ができ、働く意欲がわいた」
(大阪市在住のサポステ登録者)という声を聞くので、彼らに自信を取り戻させて、職業的な自立を促す
という点では一定の効果は出ているようだ。
問題はその先だ。関西地方でサポステを運営するNPO法人の代表者A氏がこうボヤく。
「サポステで訓練を受けた若者は、最終的には『ハローワークにリファー(誘導)しなさい』と厚労省から
指示を受けています。しかし、ハローワークは、基本的には自立した求職者に仕事を斡旋する機関。そこに、
ニート歴があり、職歴にブランクがある若者を誘導したところで、みんな書類選考で振るい落とされてしまうんです。
そうなると、彼らはサポステに通ってせっかく自信を取り戻したのに、『やっぱり自分は何をやってもダメなんだ』
という思いに駆られ、いつまでたってもニートから抜け出せない状況に追い込まれてしまうのです」
つまり、職業紹介という“ニート支援のゴール”の段階で、そのルートが“ハローワーク一本”に絞られていることが、
サポステの就職実績が低迷している原因なのだ。
「私たちには、サポステの登録者に仕事を斡旋する権限は認められていないので、付き合いのある地元の企業から
『求人あるけど、誰かいない?』と声をかけてもらっても『ハローワークに(求人を)出してください』と
返すしかないんです。目の前に紹介したい若者と、紹介してほしがっている企業があるのに、厚労省の方針で、
それが禁止されている。バカバカしいルールだと思います」(A氏)
はたして厚労省は、ニートの就職難を本気で改善しようと思っているのだろうか。(取材/興山英雄)
■週刊プレイボーイ24号「厚労省天下りに牛耳られる若者就労支援業界で孤軍奮闘!
『ニート支援のすごい町』が大阪にあった!!」より
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