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政府は原子力規制委員会委員の国会同意人事で、原発の地震対策で厳格な姿勢を貫く 島崎邦彦
委員長代理らの後任に、元日本原子力学会会長で、原発推進を唱える 田中知東京大教授らを充てる
案を提示した。再稼働を推進する安倍政権の意向を強く反映した形で、事故を防げなかった旧体制
に逆戻りするとの懸念の声が上がる。
▽批判
「原発を推進してきた立場から、これだけの大事故を起こしてしまったという反省はないの
か」。2011年11月、東京電力福島第1原発事故を受け、国のエネルギー基本計画の見直しを
議論した経済産業省総合資源エネルギー調査会の会合で、原発の必要性を説く田中氏に対し、他の
委員からこんな批判が飛び出した。
田中氏は核燃料サイクルや放射性廃棄物が専門。経産省の審議会委員などを多く務め、事故後の
11年6月には原子力学会の会長に就任した。学会による事故調査を主導したが、事故から約3年
を経て取りまとめた報告書は、公表済みの政府や国会などの調査結果と比べ乏しい内容だった。
「規制委の姿勢が崩れかねない。これまで政策にかかわってきた人がやれるのか」。原子力政策
に詳しい明治大の 勝田忠広 (かつた・ただひろ) 准教授は危惧する。
▽後退
退任する島崎氏は地震学が専門の研究者。原発敷地内の断層調査や規制基準に基づく地震、津波
対策の審査を通じ、早期再稼働を目指す電力会社と一貫して厳しく相対してきた。
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉直下の断層を「地盤をずらす可能性のある断
層(活断層)」と認定したほか、関西電力大飯原発3、4号機(同)の審査では、震源となる断層
の深さを厳しく見直すよう関電に求めて譲らず、同原発の再稼働は大幅に遠のいた。
島崎氏とともに退任する 大島賢三委員は外交官出身で、自民党内には「(2人は)原子力の専門
家に代えるべきだ」との声が根強かった。こうした主張の背景には、島崎氏が象徴する規制委の厳
格姿勢への不満がある。
「島崎氏の交代で規制委の批判的機能が欠ける。推進前提の枠内で規制する旧原子力安全・保安
院時代に大幅に後退してしまう」。脱原発を目指す市民団体「原子力市民委員会」の 吉岡斉九州大
教授(科学技術史)は、規制委の今後を心配した。
▽意向
規制委は高い独立性を掲げるが、委員の人事には国会の同意が必要で、人事案は政府が提案す
る。安倍政権ではNHK経営委員会委員や日銀総裁の国会同意人事などで、首相の意向が強く働い
た人事が続いている。
超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」共同代表の 河野太郎自民党副幹事長は「政府は、田
中氏が原子力ムラの言いなりになる人物ではないと証明する責任がある」と憤る。
あからさまな推進派の起用には、再稼働に向けた迅速な審査に期待する電力業界からも「審査が
緩くなったと思われる方が、世論のハードルは高くなる」との警戒感が出ている。
共同通信:URLリンク(www.47news.jp)