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九段会館取り壊しへ 歴史見つめた80年に幕
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東日本大震災による天井崩落事故で多数の死傷者を出し、
閉館した東京都千代田区の九段会館が取り壊されることになった。
一九三四年に軍人会館として建設され、三六年の二・二六事件では
戒厳司令部が置かれた歴史を持つ会館だった。
老朽化もあって震災後の営業再開はできず、「帝冠様式」と呼ばれる特徴ある建物が姿を消す。
取り壊し後は、民間資本による新たなビル建築が予定されている。 (新開浩)
会館は鉄筋コンクリートづくり地上四階、地下一階。「帝冠様式」の外観は、
洋館ながら日本の城のような屋根が特徴だった。
戦後は一時、連合国軍総司令部(GHQ)に接収された。
土地と建物が国に返還された後、五三年から日本遺族会に無償で貸し出され、
同会がホテルや事務所を運営してきた。
震災が発生した二〇一一年三月十一日、専門学校の卒業式の最中に天井が崩落。
女性講師二人が死亡し、約三十人が重軽傷を負った。
日本遺族会は翌四月、ホテルの営業再開が困難なため、閉館を決めた。
現在まで会館内にある遺族会事務所だけを利用してきた。
新たなビルを建てるため、自民党は敷地を日本遺族会以外の民間事業者にも
有償で貸し出せるよう関連法改正を検討し、二十三日の党総務会で改正案が了承された。
改正案は野党にも賛同を呼び掛け、議員立法で今国会の提出を目指す。
会館建物は事業者負担で取り壊す。民間が新築する建物の一部を政府が土地賃料の対価の一部として取得し、
日本遺族会に事務所として無償で貸し出す。