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2014/05/23 22:03 日経速報ニュース 1002文字
商船三井の鉄鉱石輸送船が4月、中国当局から差し押さえられた。約40億円の供託金を支払って船を取り戻した同社。
日中関係の冷え込みが続くなか、事態打開に向けてどう判断をしたのか。武藤光一社長に聞いた。
―4月19日に保有船舶が差し押さえられた。
「寝耳に水だった。1930年代の用船契約で債務不履行があった損害賠償で、最高人民法院(最高裁)で2011年に敗訴が確定している。
民事上で最終的な判断が出ているので、応えないといけないと考えていた」
「ただ戦時中の強制連行を巡って日本企業を提訴する動きが続いた。そのさなかに損害賠償に応じれば、戦争賠償のケースと混同される可能性がある
と懸念した。そこで戦争賠償にあたらないという位置づけを明確にして、民間どうしで示談交渉をしようとしていた」
―約40億円の供託金を支払い、船を取り戻した。
「選択肢は差し押さえられた船舶を放棄するか、供託金を支払うかの2つ。差し押さえられた船舶は、請求された金額の倍以上の船価。
荷主とは長期契約も結んでいる。船を処分されれば、供託金の約40億円をはるかに上回る損害をうけることになる。供託金以外に選択肢はなかった」
―他の日本企業への影響をどう考える。
「原告はもともと1964年に日本政府を相手に日本で訴訟を起こしたが、訴えが認められなかった。その後、中国政府は87年に時効制度を通知、
損害賠償を提訴する期限を88年末にした。そこで原告は88年に、船舶を貸した当時の企業の流れをくむナビックスライン(現商船三井)を
被告とする損害賠償請求をした」
「期限切れ直前に起こされた訴訟だから、類似の例があったとしても時効になっているはず。他の企業への影響も法律上はないはずと思う。
中国政府も戦争賠償とは無関係の事案という立場を示しており、日本側も特異な例としている。戦時中の強制連行を巡る訴訟とは異なる案件と考えており、
他の日本企業への影響はないのではないか」
―今回の事態による中国事業への影響は。
「あらゆるかたちで中国企業と取引しているがビジネスそのものは極めて順調。液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石などを船舶輸送しており、
こうした荷主企業は民事訴訟を解決したということで好意的に受け止めてくれている。ただ、これから政治的な判断を求められることが起きないとも
限らない。警戒しなければならないが、企業にできることは限りがある」
URLリンク(www.nikkei.com)