14/05/22 08:18:57.16 HO3k8pry0
判決主文
被告は、本件原発の稼動が、
電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、
当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と、
電気代の高い低いの問題等とを、並べて論じるような議論に加わったり、
その議論の当否を判断すること自体、
法的には許されないことである、と考えている。
このコストの問題に関連して、国富の流出や喪失の議論があるが、
たとえ本件原発の運転停止によって、多額の貿易赤字が出るとしても、
これを国富の流出や喪失というべきではなく、
豊かな国土と、そこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、
これを取り戻すことができなくなることが、国富の喪失であると、
当裁判所は考えている。
また、被告は、原子力発電所の稼動が、
CO2排出削減に資するもので、環境面で優れている旨主張するが、
原子力発電所で、ひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染は、
すさまじいものであって、福島原発事故は、我が国始まって以来、
最大の公害、環境汚染であることに照らすと、
環境問題を、原子力発電所の運転継続の根拠とすることは、
甚だしい筋違いである。
以上の次第であり、原告らのうち、
大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者は、
本件原発の運転によって、直接的に、
その人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、
これらの原告らの請求を認容すべきである