【社会】評論家・呉智英氏、世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず…絆とは「束縛」であり「しがらみ」。そもそも良い事なのか?at NEWSPLUS
【社会】評論家・呉智英氏、世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず…絆とは「束縛」であり「しがらみ」。そもそも良い事なのか? - 暇つぶし2ch1:Hi everyone! ★@転載禁止
14/05/13 01:57:12.86 0
 人との「つながり」に飢えているのは、携帯電話やインターネットに精通する若者たちだけではない。定年退職を迎えたシニア世代
こそ、地域デビューや趣味サークルなどに「つながり」を求め、もがいているように見える。だが、つながることは、果たして人間にとって
必要なものなのか。「つながらない」評論家・呉智英氏が、世に広がる「絆」至上主義に一石を投ず。

 * * *
 三年前の東日本大震災によって、日本の精神風土は、じわりと変化した。あれだけの大惨禍に遇って、逆に日本人は自信を深めた。
大震災の直後、絶望的な状況にもかかわらず、略奪騒ぎも暴動も起きず、日本全体が復興を支援した。むろん、大破した原発処理を
含め、今も未解決の課題はあるし、個別の不祥事はいくらでも指摘できるだろう。しかし、総じて文明の成熟度が明らかになった。
これは日本が世界に誇るべきことである。

 このことは、震災後十日の二〇一一年四月一日号の本誌で、私も既に一文を草している。だが、翌々週の本誌では、苦言のコメント
を出さないではいられなかった。ちょうど花見のシーズンだったが、これを自粛しようとする奇妙な同調圧力が日本中に広がっていた
からである。

 「つながろう、日本」の目に見えぬ強制であった。確かに、被災者たちは復興へ力強く歩み始め、ボランティアたちも尽力している。
しかし「よい人、よい事」の前に、何も言えなくなるのも不健全ではないか。人間の営みは、もっと複雑で多様であり、その上に文明の
成熟は築かれるのである。

 私が当時、そして今、ますます気になるのは、「絆」の横行である。なぜ誰もこれを批判しないのだろう。「絆」ってそもそも「よい事」
なんだろうか。本来これは「動物をつなぎ止める綱」のことである。語原は「首綱」が考えられている。当然、意味は「束縛」「執着」
「しがらみ」である。

 昨今ではあまり読まれなくなったイギリスの小説家にサマセット・モームがいる。代表作は『人間の絆』だ。この書名は、人と人が
手を取り合い、連帯してゆこう、という意味では全くない。家族との軋轢、愛人との感情のもつれ、その中でもがく作者自身の半自伝的
小説である。つまり「人間社会の束縛」という意味なのだ。
(中略)
 絆とは束縛であり、しがらみである。それを承知の上で、社会には束縛も必要であり、人間にはしがらみもある、という意味で「絆」が
叫ばれているのだろうか。どうもそうは思えない。そもそも言葉の意味さえ分かっていない浅薄で平板なスローガンが横行しているのだ。

※週刊ポスト2014年5月23日号

ソース(NEWSポストセブン) URLリンク(www.news-postseven.com)


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