09/07/26 23:51:15 57ge734p
せっかく持ってきたスイカを赤井が一撃で仕留めてしまったため、なんだかスイカ割りはおざなりになってしまった。
包丁なんて用意していないものだから、四人はゴロゴロしたいくつかの塊から比較的綺麗な物をみつくろって口へ運ぶ。
もうちょっと早く言ってくれれば色々と用意できたのに、惜しい事をした。そのような事を彼が言ったものだから、赤井はまた不満を表してしまう。
「お前は、またそうやって細かい事を…」
「いいじゃない。私、楽しかった」
赤井が言い終わる前に、八重は海を見ながらそう呟いた。
振り返ると、驚きや戸惑い、そして若干一名のやたら誇らしげな態度が混ざりあっている。
妙な空気に耐えかねて、彼女は苦笑いしながら切り出した。
「じ、じゃあ、帰ろっか」
わけのわからない一日だった。
行き当たりばったりで、何も考えず、ただ友達と時を過ごした。そんな一日。
真新しいような体験に、八重は家についてなお心を奪われていた。
いや、忘れていただけなのかもしれない。
とにかく、彼女は何か抑えきれない思いのままに、受話器を手にとる。
「おう、どした?」
「ううん、なんとなく」
おしまい