09/07/26 21:24:52 57ge734p
結局海に着いたのは、もう少しで2時を回ろうかという時間。
「アタシ昼飯食ってねぇんだよな」
「えっ、じゅうぶん時間あっただろ?」
最低限の用意をしてきた三人と違い、赤井の準備は万端である。
もちろん水着とビーチサンダル、さらに浮き輪、ゴーグルにシュノーケル、自前のビニールシート、そしてスイカ。
それらを男衆に託すと、赤井は財布を握りしめて屋台へ向かっていってしまった。
「とりあえずシート敷こうか…」
水着に着替え、一通り落ち着いた頃にはさらに時間がたっていた。
「うし行くか!」
走り出す赤井。
少し間があいて、ちょっぴり恥ずかしそうに八重はそれを追う。
さて、シートに残るのはどちらか。ではなく、どちらもシートに落ち着いていた。
ここから見ると浮き輪の子供と遊ぶ姉といった感じだが、姉の方もよっぽどにはしゃいでいるように見えた。
水をかけてみたり、先を指して促してみたりしている。
「なんか八重さん、楽しそうだなぁ」
不思議そうに言う彼は、もう焼きそばなんて食べながら海を眺めている。
「純、お前も行ってきたら?」
「い、いや…いい」
海、という時点で純の行動は限られていた。
陸の方へ申し訳なさそうな視線を送る八重に気づいたのだろう。
「ほっとけほっとけ!」
赤井はそういって、あっちに行ってみようそっちに行ってみようと、どこも大差ないというのに泳ぎ回っていた。
八重はまたその通り従って、意味のない探索を心から楽しむことにした。