06/02/14 23:34:01 YZdFpIXa
「うー…」
やってしまった。
ああ、私はやってしまった。
なんだってこんな日に限って…。
「大丈夫?」
体温計を見ながら詩織が顔をゆがめる。
優しい言葉と自分に対する情けなさで泣きたくなった。
「…うん…大丈夫…だけど」
「分かってるわ。今日まで頑張ったもんね」
詩織がそっと愛の頭を抱きしめた。
幾つもの慰めの言葉をかけながら頭をなでる。
机に置いたままになっているチョコを見た途端、
涙が溢れ出し、止まらなくなった。
「さて。そろそろ…」
もう一度体温計を脇の下に入れると、
詩織が時計を見上げた。
「…じゃあ、頑張ってね」
爽やかな笑顔を残し部屋を出て行く。
後姿を見送りながらこれから訪れる孤独感を感じ始めていた。
(ピンポーン)
詩織が出てからすぐにベルが鳴った。
ふわふわした床を歩きながら玄関へ向かう。
「はーい…」
ドアノブに手をかけた瞬間。