06/01/21 10:45:16 ynFD+cbf
「ふぁ…あ…」
いつもより少しだけ遅く起きた朝。
今日は午後からあの人と動物園に行く予定。
よいしょ、ベッドから降りてカーテンを開ける。
「な、何これ…」
辺りは一面銀世界。
下を覗くとムクが庭を走り回っている。
「もしかして…!!」
慌ててリビングに駆け下りテレビをつけた。
「…鉄道は現在運転を見合わせております」
ああ、やっぱり…。
これじゃ今日は行けないじゃない…。
戸棚に映った自分の寝癖を見ながらため息を一つついた。
「…!」
携帯電話がポケットで震える。
彼からのメールだ。
『今日は動物園に行けないみたい。ごめんね。』
素っ気無い言葉が私に現実を突きつける。
なんだか無性に泣きたくなってきた。
コップに注いだオレンジジュースを一気に飲み干す。
「はぁ…」
みんなが出払ってしまった家に声が響く。
誰もいない家、無機質に響くテレビの音、しんしんと降る雪。
哀しくて、淋しくて、切なくて。
歯ブラシを咥えた私の目は赤みを帯びていた。
「そ、そうだ…!」
歯ブラシが洗面所でカランと音を立てる。
急いで携帯を取り出し、素早くメールを打つ。
『今日は家に来ませんか?』