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528 名前:YRP常駐from群馬 投稿日:04/10/14 22:06:37
インパール提督(開発本部長)は「精神論」の無限の可能性を信じている。
その「精神論」を振りかざして赤字部門を黒字化しながら部門を渡り歩いて
いるのだ。本人はカルロス・ゴーンより優れた指導者であると自負している
から現場はたまったものではない。
俺達下っ端は接点が無いので救われているが、開発後半にスケジュールも
崩れ果てて人海戦術も疲弊し切って予算もとうに底を突いていた時期には、
毎日昼休みにはインパール提督の「精神論」演説が放送で流れたものだった。
俺達の派遣されていた事務所にはその手下の体育会社員達がその崇高な思想
を浸透させる尖兵となっていた。
壁には提督直筆(書道3段!)の「欲しがりません、勝つまでは」という額が
飾られていた。その圧力は、開発費が底を尽きてあらゆる予算申請が凍結され
た時から本格化していった。
残業代の交渉に来た下請け会社の部課長を研修室に呼び込み、そこでも精神論
を武器に「この製品は確実にヒット商品となるはずだ。その栄光に授かれると
いう名誉以外に何を求める気か!?」と、延々と3時間も語るのだ。すっかり洗脳
された下請け幹部は、大抵2度と交渉の再開を望まない。提督の提示した条件を
嫌が応にも飲むしかないのだ。
設備申請が凍結されたからといって、納期は決して緩めてくれない。自分が
現役の頃は3時間しか眠らなかったものだと、演説放送で何度も説く。睡眠不足
デスマーチ状態で毎日あの演説放送を1時間ずつ(テープだが)聞かされていると、
外注でもその内容を覚えてしまい、疲労困憊した頭の中には不思議な脳内麻薬が
生成されるのだ。そう、我々は1日1回インパール提督の「精神論」演説を聴かな
くてはキモチが安定できない依存症にかかっていたのだ。