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472 名前:YRP常駐from群馬 投稿日:04/10/13 02:08:04
一向に収束しないミドルウェアのバグ問題に、俺達は焦燥し切っていた。
上位会社の許可無く他の協力会社のメンバーと口を聞く事が許されていないため、
俺は時々部下に命じて他のチームの偵察に行かせた。
「軍曹殿!例の問題はシステムコール○×のセキュリティホールを突いて対処できる
ようです。そして、そのチームではセキュリティホールの事を仕様というコトバに置き
換えているようです。」
「何ということだ。ミドルウェアのライセンス料交渉が暗礁に乗り上げてサポートが
打ち切られているとは噂に聞いていたが、そんな対処方法が横行しているのか。」
「中にはミドルウェアのファンクションすら使わずに、OSのシステムコール、いや、
セキュリティホールを使った処理で実行速度を稼ごうというチームまで出ている始末です。」
「仕様書には何て書いてるんだ?連中は」
「要求仕様通りです。」
「我々の発見したセキュリティホールで利用可能なものはどのくらいある?」
「はっ、軍曹殿!今週調査した内容を報告いたします。」
情報を閉ざされていた俺達も、上等兵達の働きによって何とか他チームの手法を真似る事は
できた。
そして、カーネルとミドルウェアの一斉アップデートの日は突然やってきて、現場は火を吹く
ような修羅場と化した。上位会社に言えない事情で皆が皆、火達磨状態でソースの修正に
明け暮れた。修正内容はすべてコメント行にして残すようにという上位会社の徹底管理も、
ここへきて少しタガが緩んだ。CVS導入が検討されるという噂が流れ、ソースの非公開修正
があちこちで行われた。俺達も、一部のどうにもならないスパゲッティソースを一部作り直
してしまった。
しかし、セキュリティホール頼みのファンクションも予想以上に多くなっていて、その修正
作業には気が遠くなりそうだった。証拠隠滅に、他のチームでも人が倒れるくらいの忙しさに
なっていた。