05/03/15 01:36:42
535 名前:YRP常駐from群馬 投稿日:04/08/21 17:14
上等兵と同じ会社に所属する最後の夜、俺たちはホテルの部屋で酒を飲み交わした。
「こんなホテルに缶詰にされるのも、君は今夜限りだな。」
「軍曹殿を残して本当に申し訳ないと思っています。しかし、私にも家族がいますので…、」
「分かっている。気にするな。今まで十分に尽くしてくれたよ」
思えば、この上等兵と人間的な会話が出来たのはこれが最後だったような気がする。
上等兵は上位の上位会社へ転籍すると、家族寮と呼ばれるきれいなマンションに移った。
そして家族もそこに呼び寄せたのだった。やはり、家庭を持つには社会の階層というのも
大きなファクターになるのであろう。新居に引っ越して1週間後、俺は元上等兵に夕飯に
招待された。久々に温かい家庭の空気に触れた。奥さんはきれいだし、子供も無邪気で
かわいいし。彼が長らく群馬に残してきたものの大きさを見た思いだった。
こんなきれいなマンション生活で、家賃も会社が9割まで補助してくれて、所得も倍増
とは世の中は所詮階級社会なんだな、と身近にも感じてしまった。