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728 名前:YRP常駐from群馬 ◆a8bV4TV9Jg 投稿日:04/10/23 00:35:52
常駐先では2名の二等兵が体調不良で休むと上位会社に報告し、
その一方で仕事をしながら彼らの出勤を待った。そういう心境では
なかなか仕事もはかどらず、俺はホテルに電話をしてみた。
「デスマ様もヌルポ様も既にチェックアウトしておられますが」
ホテルのクラークは答えた。チェックアウト時刻から既に2時間が
経過しており、こちらへ向かってはいないと俺の中で直感が騒いだ。
携帯電話にかけても、二人とも出てこなかった。
「フランダース軍曹殿の元から何も言わずに去った部下は、これまでは
見た事がありません」
と上等兵Aが気休めの言葉をかけてくれたが、俺の心のどこかが空虚に
なっていた。上等兵A,Bが二等兵だった頃は今と同じくらいのデスマーチ
状態が当たり前だったのだが、当時上等兵だった俺はどんなに仕事が
忙しくても人材育成には手を抜かなかった。肉体的、精神的な苦労も
共に分かち合った。ドラム缶は俺の先輩である曹長が教えてくれた
コミュニケーションの術であった。曹長は前のプロジェクトで俺たちを
かばって過労死してしまったが、その返せなかった恩義を俺は若手に
向けてきた。
配下に上等兵が2名いる現在では、二等兵への指導は彼らに大半を任せて
しまっているのも事実であるが、俺が教えなければならない事もそれなり
にはあった。一人残っている二等兵も、魂の空洞化が僅かずつであるが
進行し始めている。この現象には、亡き曹長も常に気を付けていて、部下
の管理の最優先課題でもあった。俺は曹長には永遠に追い付けないのだ
ろうか?