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659 名前:YRP常駐from群馬 ◆a8bV4TV9Jg 投稿日:04/10/21 01:17:11
俺達の前任部隊は長期化するデスマーチによって全滅したらしい。
その最後に力尽きた記述が、前に述べた「書きかけのwhile文」だった。
俺達は10万行を越えるソースの機能を解析して、前任者が作りたかった
であろう設計ドキュメントを見事なチームワークで作成し、それを元に
して各種関数を本来あるべき姿に作り直した。
十分に設計を練ってコーディングされたプログラムは、上等兵Aが腕に
よりをかけてコーディングしたものであり、付き合い慣れた俺でも惚れ
ボレしてしまうソースであった。俺達のチームならどんなデスマも乗り
切れると実感していた。
しかし、そこへ旧スパゲッティ・ソースを全てコメント行として復元さ
せる作業の結果、元のものと同等かそれ以上に酷いソースに腐ってしまった。
上等兵Aも腐ってしまった。彼は数日間立ち直れず、勤務時間中の大半を
2ちゃんねるで過ごした。持ち込みノートPCでPHS繋いでアクセスしている
とは言え、ここは携帯開発拠点だ。そんなワイヤレスアクセス等は直ちに
上位会社のサーバに盗聴されて記録されるに違いない。俺達はかなり心配
したものだった。
「ランス!頼むから今ここで2ちゃんねるは止せ!ホテルに戻ってから存分
にやればいいじゃないか。」
「いいんですよ、俺なんか。ほっといて下さい。」
腐る上等兵Aを毎朝ホテルの部屋から引きずり出して出勤させ、1日彼の2ちゃん
アクセスを隠蔽するのは容易ではなかった。上位会社の担当者が来た時には、
上等兵以下と接触する事の無いように、俺が常に全ての対応をした。幸い、上位の
担当者がプログラミング現場の画面を意地でも見たくないという人間だったので、
上等兵Aの奇行は見つからずに済んだ。これには上等兵Bと3人の2等兵達の尽力
もあった。2等兵達はこれまでの上等兵Aの実力を知っていて、また指導を受けて
きた恩もあるので、たとえ腐っても決して彼を見捨てなかった。