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585 名前:YRP常駐from群馬 投稿日:04/10/17 02:06:53
レビューの雰囲気が損なわれたので、体育会兵士が場を取り繕い、彼らの仲間の体育会大尉が
仕様書の続きを読み始めた。彼はマイクのスイッチを切り、地声で読み始めた。
末席に居る俺の耳にも響くような気合の入った大声で、彼は続きを力強く読み始めた。
近くの席の者たちの中には、余りの大声に耳を押さえる者まで出てきた。
そして、朗読が止まった。
「貴様ーーーーー!仕様書を読む声が耳障りだと言うのか?この無礼者め!」
大尉殿は激怒して立ち上がり腰のサーベルを抜くかに見えたが、出て来たのはただの竹刀だった。
「やめーーい!まだ始まったばかりではないか。続けるのだ!」と提督が一喝して収まった。
大尉殿は怒りを露に、ますます大きな声で仕様書を読み進めた。途中、図示が必要な時には
ホワイトボードに移動して、そこに図を書いて、それを竹刀で激しく打ちながら声に力をこめて
説明した。ホワイトボードは俺のすぐ脇にあったのだが、あまりの声の大きさに耳が痛くなった。
途中で別の大声が聞こえてきた。
「押忍!質問をさせて頂いてよろしいでしょうか?」「申せ!」
1時間ほど経ったあたりで、俺も自分の担当ブロックについてこれまで聞かされていた内容とあまり
にも変更されているので質問をしなければならなかった。
「すみません、質問があります。」
「もっと大きな声で発言するのだ!」「お、押忍!質問があります!」「何だ?」
一応、正面からの質問に対しては的確に、そして力強い説明が返ってきた。俺達が納得するまで
しっかりと説明してくれた。しかし、あの大声でこれだけ話し続けても声が一向に枯れる気配を
見せないのには敬服した。
一般的な技術者の質問は、「押忍!」と気合を入れて立ち上がって、両手の拳を胸前で一度交差
させてから力強く左右に払う姿勢が礼儀となっているようだった。顔色の悪そうないかにも日に
当たっていなそうなSE連中もこの時ばかりは、見かけによらず大声で立ち上がって、その姿勢を
取ってから気合を入れて質問するのだ。たとえ質問が的確であっても、気合が足りないと竹刀で
机を叩かれて、発言し直すように命じられるのだ。
レビューの進行を提督は満足そうに眺めている。