10/05/12 22:24:40 tB5RQDMF0
>>650
録音技術というものが出現したことで、音楽の表現手段そのものに変化が生じた歴史があるからね。
19世紀末にレコードが発明された時点ではまださほどじゃなかったろうが、影響は徐々に出てきた。
例えば1933年のフランス映画「舞踏会の手帖」で音楽担当したモーリス・ジョベールは、
自作のテーマ「灰色のワルツ」を、オーケストラに楽譜のお尻から逆さに演奏させて、それをレコードに録音し、
更にこのレコードを逆回転させてフィルムのサントラに録音するということをしている。
これで楽譜通りだが、生演奏ではあり得ない不思議な響きの音楽が、儚い追想を描いた映画のバックに流れることになった。
更にナチス・ドイツで実用化されたテープレコーダーは、戦後世界に広まって、
1960年代以降はジャンルを問わずシリアス・ミュージックの世界でオーバーダビングという技法を普遍化させている。
無論それを邪道と見る人々もいた。
電子楽器のジャンルでも、エレクトリック・ピアノが発明された初期には、その音色をオモチャ扱いして非常に嫌う向きもあった。
他人の声をパーソナルなツールとして活用できるボカロも、その革新性と利便性とをもって普遍化していくのだろうと思うが、
並行して20世紀に確立されていた従前の音楽ビジネスモデルが揺らぎつつあるので、相互にどんな影響が生じるのかも興味はある。