09/05/22 22:55:35 qEZmEpjZ0
連投です.
>>307
④は線分の面積と直線の面積と定積分,さらにはリーマン積分
(区分求積法を一般化した積分の「定義」です)のある種の限界と
ルベーグ積分に関わるかなり繊細な話になります.
(半)直線の面積が 0 なので,たとえば関数が 1 点だけで発散していても
そのグラフの面積は有限になりえます.
(1/x みたいな関数は発散自体は 1 点のみですが,下端が 0 からの
広義積分が発散するので,有限になるとは言い切れません.
そもそも原点が定義域に入ってないのはどうする,という数学の方からの
突っ込みもあるとは思いますが.)
無限個の発散があってもまだ面積有限とみなせるケースもありますが,
これらの場合,区分求積法で求める面積は無限大になりえます.
(なります,といいきれないのは,区分求積法の定義も関係するからです.
リーマン積分で定積分を定義するなら,間違いなく発散します.
ということできちんと考えるとどんどんうるさくなっていきます.)
このギャップを埋めるのが測度論とルベーグ積分です.
ルベーグで万全とはいきませんが,現時点での(数学での)応用上は
これで間に合います.
最近,経済や金融で確率微分方程式を使う,というのを聞いたことのある方が
いるかもしれませんが,現代的な確率論の基礎がこのルベーグ積分論です.
高校の確率論からは想像を絶する話でしょうけれども.
あと,言っておきたいのが,確率微分方程式の創始者は日本人数学者,
伊藤清です.去年亡くなられました.
余裕があれば,第2段,3段でこの辺りにも触れるかもしれません.
分数のわり算についてでものんびり考えようと思っていたのですが.
まず第1段頑張って作ります.
あと,動画で「微分が割り算で,積分が足し算」と述べておられますが,
いわゆる微分積分学の基本定理は一般には「微分と積分は逆演算である」
ことを意味するということになっています.
これらから,「微積分法においては足し算の逆はわり算」という
ある意味,かなり不可解な結論に達する人がいるかもしれません.
ただ,動画では基本定理を「積分したものを微分すると元に戻る」定理と
慎重に説明してあるので,今後どう展開していくのかとても楽しみです.
こういう基本的なところを考えるのはつらく苦しいですし,
経験上,分かったところで実用にはほぼ関係ないのですけれども.