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【書評】『日本をここまで壊したのは誰か』西尾幹二著 (1/2ページ)
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■自国への痛憤、警告の書
昭和23年、中学1年生の時、授業で偉人と思う人間をあげよと言われ、西尾少年は豊臣秀吉をあげた。
先生は恐ろしい表情でニラみつけ、秀吉は何人もの女性をものにした独裁者、大嫌いだと全否定した。
その日の日記に西尾少年は先生を断乎(だんこ)許さないと誓ってこう書く。日記は毎日先生に
提出することになっていたから当然、先生が読むことを見越して書いたのである。
〈僕は先生がどうだろうとも、僕は僕の信じる道を押し通した。(中略)封建時代の人間は、封建主義が
正しいのだと思い込んでいるのだから、そのときの偉人なら偉人としておいても良いと思う。民主主義でも
現在は最上主義とされていても、あとにはどうなるか。それは誰にだって見当のつくものではない〉
今の言葉で言えば、現在の基準で過去は裁けないということだろう。
その同じ年、東京裁判の判決が下る。西尾少年は、新聞記事を切り抜いて貼(は)ったノートに被告の名前、
量刑を全(すべ)て書き写し、こう書いた。
〈日本が勝っていたらマッカーサーが絞首刑になるんだ〉
中学1年にしてこの言。栴檀(せんだん)ハ双葉ヨリ芳(かんば)シ、とはまさにこのことだろう。
それから60年たって、今、西尾さんは日本という国が心配でならない。
国家として自立自存とは逆の方向へ向かい、明確な国家像もなく、茫々(ぼうぼう)たる海洋をひたすら
漂流している幽霊船のような日本が、我慢ならない。
たとえばトヨタ・バッシング。
西尾さんは、これを「アメリカの日本に対する軍事力を使わない軍事行動」と見る。
たとえば外国人参政権。
〈在日韓国朝鮮人に地方参政権を認めることは、政治的破壊工作の手段を彼らの手に渡すことにもほぼ等しい〉
こんな簡単なことさえわからない日本の政治家、財界人。〈言論のむなしさと無力を痛切に実感〉しているが、
それでも〈自分と自分の国の歴史を見捨てる気にはなれない〉西尾さんの、これは日本に対する痛憤、警告の書である。(草思社・1680円)
評・花田紀凱(『WiLL』編集長)