10/05/23 06:15:11 fTExEXck0 BE:665169034-DIA(172112)
>>322
b)縊死の機序
縊死の場合、死因となるのは気道の閉鎖ではなく、頸部血管の圧迫による脳の血流障害である。
このことは、気管切開後の人が縊頸により死亡し た例があることからも明らかである。頸静脈は2kg、
総頸動脈は3.5kg、椎骨動脈は16.6kgの力で閉鎖されるという。脳への血流が途絶すれば、早 期に意識喪失が起こる。
もちろん、舌根部圧迫による鼻咽腔の閉鎖や気管の閉鎖(15kgの力で閉鎖)などの気道の閉鎖も多くの場合には伴うので、
通常狭義 の窒息(機械的窒息)とみなされているのは前述の通りである。
その他、上喉頭神経の刺激や頸動脈洞の圧迫により反射的に心停止を来し死亡することもあり得 る。
この場合には、急性心臓死の所見となる。
また、懸垂時の落差が大きい場合には、頸椎脱臼による頸髄損傷や、断頭などが死因となることもある。
C)死体所見
外表所見としては、索痕が最も重要である。
皮膚の陥凹が明瞭な索痕を索溝というが、縊死では索溝が残ることが多い。
定型的縊死では、索痕は 甲状軟骨と舌骨の中間を通り、左右対称に側頸部に向かい、
耳後部を経て後頭部に至る。ロープや皮バンドのように表面が硬い索条物の場合には索痕は皮革様化 するが(硬性索痕)、
軟らかく幅広い布片の類による場合は、単に陥凹を示すだけのことがある(軟性索痕)。硬性索痕では、
時に索条物表面の模様が印象され たり(図3.42)、表皮剥脱や皮下出血を伴う場合がある。
その他、頭部顔面のうっ血や、眼結膜の溢血点が非定型的縊死では顕著にみられる。
また、舌根部 圧迫による舌の挺出やけいれんによる尿、糞便、精液の漏出、
懸垂による上肢末端や下半身の死斑などがみられる。
内部所見では、急死の一般所見の他、索溝に対応した部の筋肉の挫滅や胸鎖乳突筋付着部の出血などが
みられることがある。また、舌骨大角や甲 状軟骨上角の骨折や頸動脈内膜の横走する裂創が時にみられる。