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人類は約5000年前台湾経由で南太平洋へと渡った……ピロリ菌と言語の2つの研究で同時に判明[1/26]
朝日新聞
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【ワシントン=勝田敏彦】
人類は約5千年前、ユーラシア大陸から台湾を経て南太平洋の島々に移り住んだらしいことが、
人の胃に寄生し、胃がんなどの原因と考えられているピロリ菌の遺伝子の解析と、
南太平洋の400の言語の解析という異なる方法で判明した。
両方の論文が米科学誌サイエンス最新号に同時掲載された。
ピロリ菌の遺伝子の解析をしたのは独マックスプランク研究所などの国際グループ。
台湾やオーストラリア、ポリネシアなどの原住民の胃の粘膜や胃液からピロリ菌を分離、
培養して七つの遺伝子の変異を調べた。
地域的に離れている生物集団では長い間に遺伝的な違いが出てくる。
その生物の遺伝子の変異の程度や分布から、集団がいつごろどこで分かれたかを推定できる。
ピロリ菌遺伝子は人間の遺伝子より変異が速い。
人間の遺伝子の解析ではほとんど差が出ない比較的最近の集団の違いも、
胃に寄生したピロリ菌の変異で追うことができる。
その結果、約5千年前、台湾から大海原に出てフィリピンを経てニュージーランドやポリネシアなどに
渡った人たちがいたことがわかった。また、約3万7千~約3万1千年前にも、
氷河期の海面低下で陸続きになった島づたいにニューギニア、オーストラリアなどへと渡った
先行グループがあったこともわかった。
一方、ニュージーランド・オークランド大のグループは、南太平洋の言語の特徴の解析から、
やはり約5千年前、台湾ルートによる移住があったことを明らかにした。