08/07/14 06:42:17 +USvPx590
「僕とへたれちゃんとカレーライス」 ~エピローグ~
「お待たせしました」可愛いウェイトレスが僕の前にアイスコーヒーを置きながら言った。
僕は「ありがとう」と笑顔で応え、ストローも使わずにアイスコーヒーを喉に流し込んだ。
「あ~あ、なんでこうなっちゃうのかな~?」
僕は今朝から会社で起こったことを考えながらため息をついた。
新しい取引先へ提出していた見積書に間違いがあったとかで、僕が見積書を
再度持っていくはめになったのだ。 「元はと言えばあの課長が・・・」
僕はいつも仏頂面をぶら下げている、小言の多い課長の顔を思い出して頭を抱えた。
「まあ、今さら何言っても仕方ないし、客もそれほど怒ってはいなかったし」
とりあえず、この件はこれで終了! そう思うと少しだけほっとした。
僕は冷房の効いた喫茶店から真夏の太陽が降り注ぐビジネス街をぼんやりと眺めながら
「そう言えば、あの夏から今年は何回目の夏だろ?」と、ふと思った。
あの夏 そう へたれちゃんのいた あの夏の日々・・・
ある夜、僕は冗談交じりに言ったことがあった。
「へたれちゃんがメジャーデビューしたら、僕そのCDを速攻で買うよ」
「え~! 本当に買ってくれる?」へたれちゃんは、あやしいって言いながら
イタズラっぽく笑っていた。 「本当だよ、絶対買うから!」と僕。
「じゃ、約束ですよぬ」そう言うと、へたれちゃんは小指を僕の顔の前に立ててきた。
へたれちゃんの小指に僕の小指をからませながら僕は言った「絶対買うから!」
喫茶店に入る前に、僕はCDショップに立ち寄り、一枚のCDを買っていた。
本日発売になったばかりの真新しいCDだった。
僕は鞄の中からそのCDを取り出して、つくづくと眺めてみた。
そこには「Guitarist=HTR」とプリントされていた。
へたれちゃん約束守ったよ・・・僕は心の中でつぶやきながらCDをそっと撫でてみた。
空にはあの夏と同じ真夏の太陽が輝いていた。 僕はアイスコーヒーを一気に飲み干した。