08/10/29 13:22:35 HVCDrx930
●新入社員、今昔
世のおじさんおばさんたちや会社のお偉いさんたちは、口々にこういいます。
「近頃の若者はろくにあいさつもできないし、社会人としてのマナーがまったく身についていない」。
新聞を開けば、若者のマナー意識の低下を指摘する投書が頻繁に掲載されています。
いやホント、私も同感です、社長。まったく近頃の若者たちの傍若無人ぶりときたらもう。
社長が新人だった頃といいますと、1960年くらいですか。あのころはまだ日本の若者もオトナでしたよねえ。
上司や先輩に敬意を払い、協調性に富み、仕事第一、遊びは二の次でしたね、そうでしょ? 社長。
「ビジネスマナー」や「テーブルマナー」は日本的ないい回しで、英語では必ず複数形になります。
「ビジネスマナーズ」「テーブルマナーズ」ですね。英語のテストでは”ズ”がないとバツになりますのでご注意を。
もっとも、英米では「ビジネスマナーズ」とはあまりいいません。「ビジネスエチケット」などのほうが自然なようです。
ビジネスマナーという言葉が日本で書名に使われたのは、1970年刊行の『新入社員のビジネスマナー』が最初です。
しかしこういった内容の本は1960年頃から出版されていました。
その中でも初期の一冊、1959年の『新入社員への覚え書』の一節です。
[朝の出勤時に]先輩に会ってもプイと横を向いて通ったらよい感じは与えないでしょうし……
こんな子供に教えるような話をして申しわけないのですが、こんなチョットしたことから、しつけは始まっているのです。
お茶を飲もうよ、映画を見ようよ、などと友人から誘われても一切行動をともにしない人が一部分にはいるものです。
[上司のぼやき]『なにしろいまの若い人たちは、映画だ、音楽だ、カメラだ、8ミリだ、ゴルフだ、
とまったくわれわれの独身時代には考えも及ばなかったものをぶらさげているからね。……結婚資金もできないのは当然だよ』
あれ? 社長、話が違いますが……。あいさつをしない、仲間との協調性がない、物欲に浪費グセ。
40年前の若者も、いまの若者とほとんど変わらずいいかげんでした。私が提唱した「人間いいかげん史観(第7回の講義参照)」が
さらに裏づけられる結果となりました。
もうひとつ興味深い事例があります。ご存じだとは思いますが、日本語の表記は戦後(昭和21年)、旧かなから新かな遣いへと改められました。
この社長さんの年代ですと、完全に新かなで教育を受けています。ところが、当時のお偉いさんは新かなで読み書きができません。
そこで新人に『新かなってのはどうもピッタリ来ないネ』などとイヤミをいいます。もっとひどいのになると、新かなで書かれたビジネスレターを読み、
『君の会社の社員はロクに文字も書けないのか』と怒り出す始末。
これって、どこかで聞いたような気がしませんか。ワープロが普及し始めた頃から、上司が苦虫を噛みつぶしたような表情でこういい出しました。
『どうもワープロってのは、手書きと違って誠意が伝わらないネ』。ここ数年、ビジネスでもeメールでのやりとりが盛んになると、
『eメールなんかで気持ちが伝わると思ったら大間違いだ。メラビアンの法則ってのを知ってるか。文字だけのeメールでは、いいたいことの7%しか相手に伝わらないんだぞ』。
時代が移っても、人間は変わりません。新かな・ワープロ・eメール。おじさんたちは、自分が使いこなせない新技術には、こころがない、と難癖をつけて否定するものなのです。
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