08/04/23 11:35:14 w88Bp7Ej0
「夢中になれた、私は日本で夢中になれたわ」
マギは心の中でつぶやいた。
「なぜ、帰ってきたのよ!」
ルーシーの母譲りの太い声は鳴り止まない。
「夢中になれたのよ!私は日本で夢中になれたのよ!」
マギはルーシーの言葉を何回もさえぎり、声が枯れるまで叫んだ。
薄暗かった雨粒は一層、強くなり街灯の光が、まだ開いた玄関から差し込んできた。
シンディーが泣いている声が遠くから聞こえてきた。
マギは目をゆっくりと開いた。テレビのクリントンの演説はもう終わっていた。
シンディーがお土産のブレスをつかんで立ち尽くしていた。
どれくらいの時間叫んでいたのだろう。
父が優しくそして、重くつぶやいた。
「雨の日の太陽は早く沈むんだよ」
続く