09/09/13 13:46:25
>>2のつづき
【企業評価も下落】
情報漏洩の発覚は早かった。3月中旬には、情報を売られた顧客から同社への問い合わせが相次いだ
からだ。久保被告が盗み出した顧客情報は、名簿業者を通じて、不動産会社や先物取引業者に流れ、顧客
への強引な勧誘が始まっていた。
不動産会社や先物取引業者から顧客への勧誘は、執拗(しつよう)なものだった。顧客の携帯電話、勤務先、
自宅の電話が次々と鳴る。顧客が一度でも電話に出れば、業者は契約を取ろうと食い下がった。中には
1時間以上も一方的に話す業者や、「自宅や家族のことを知っている」と脅しをかけるケースもあったという。
日に日に増す苦情を処理する中、同社は社内調査を実施。4月に入ると、あっさりと久保被告の犯行が
露見、当初は否認した久保被告もまもなく犯行を認めて懲戒解雇となり、やがて逮捕されるに至った。
事件の余波は、同社に甚大な被害をもたらした。
3月末~6月までに、緊急電話窓口などで苦情処理にあたった同社員は延べ2千人。苦情は1万6千件
以上にも及んだ。同社は情報漏洩があった約5万人全員にわび状を送付し、1人当たり1万円の商品券も
送った。このほかにも、名簿を買い取った業者に対して勧誘をやめるよう交渉するなどの措置も講じ、多額
の弁護士費用も払った。
だが、流出先とされる98社のうち、情報を回収できたのはわずかに28社。残りの70社は情報返却に
応じていない。また、一度流出した情報がどこまで流れているのかを捕捉することは難しく、そのすべてを
回収することはほぼ不可能だ。努力もむなしく、中には同社との取引を中止する顧客もあった。また、業者
による詐欺被害の報告もあったという。
結果、同社は、判明分だけでも70億円以上の損害が出たと試算。また、社内の犯行による情報漏洩と、
ずさんな情報管理体制が明らかになった結果、企業としての評価は地に落ち、金額には現れない損害も
続いている。
(つづく・・・)