09/05/25 22:00:40
■気が付けば日本空洞化という事態に
冒頭で東芝やシャープが日本から一部製品の生産撤退を決めたと記したが、これは
序の口だ。本当に残念でならないが、日本の大手製造業は日本という国そのものに
愛想を尽かし始めた。2000年代前半、多くの日本メーカーは国内工場を新たに立ち
上げ、相当の雇用創出を実現した。それは出口の見えない地方経済にとっても大きな
意味をもったはずだ。その前提が製造現場への派遣労働を認めたことだった。
たしかに派遣切りしたメーカーにも問題はあった。いかに法律の範囲内とはいえ、
契約期間満了前にいきなり派遣労働者のクビを切るという経営判断は社会的責任の
放棄に等しい。しかし、だからといって国をあげて企業叩きに明け暮れた日本という
国は、私たちの生活や雇用がグローバルな国際競争の上に成り立っているという
現実に対してあまりにも鈍感すぎた。
人件費は高く、法人税も高く、法律で定められたルールのなかで雇用調整を行えば
袋叩きにあう。たとえばトヨタ自動車を例にとると、国内の販売台数は世界全体の
もはや1割にすぎない。日本に本社を置き、日本で高い法人税を納めなければならない
理由はもはや存在しない。
日本を代表するエレクトロニクスメーカーの経営トップに、これからも国内生産を
続けるかと尋ねてみると、ポロリと本音が漏れた。
「あれだけ(派遣切り)批判されたら、もう好きにさせてもらいます、という気分に
なりますね」
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