09/05/24 20:12:52
3月、大阪刑務所(堺市堺区)を訪れたリサイクル業者が申し訳なさそうに言った。
「そちらに回す仕事が無くなりました」
担当の刑務官は「そんなこと言わず、うちの事情もわかってください。なんとかもう少し……」と懇願した。
だが、リサイクル業者は不況で負債を抱えて業務の縮小を迫られており、それ以上頼むことはできなかった。
懲役刑を受けた受刑者には刑法で定められた刑務作業が科され、法務省によると、刑務所内で着る
衣服の製造や農作業などを除き、作業の約9割を民間から受注している。
大阪刑務所の受刑者約2300人は、自動車部品の組み立てや鉄骨部材の加工、縫製などの作業をしている。
昨夏までは金属など原材料価格の高騰で、家電製品やパソコンの分解・仕分けなどの作業など断るほどの仕事があった。
今年に入って事態は一変。業者からの発注量が減り、3月には、金属加工の仕事を回してくれていた
建築資材会社が倒産。昨年4月に78社あった発注元は、3月末までに6社減った。4月には140人分の
仕事が足りず、発注業者に仕事を増やしてもらうよう頼み込んだ。
同刑務所によると、バブル景気崩壊後の93年ごろでも、業者に声をかければ仕事はあった。
いまは10社回っても仕事が取れないことが多い。作業内容も変わり、小物の袋詰めや、紙を折って作る
紙袋の生産など単純作業が増え、現在は作業全体の半分近くを占める。
「いまは無理して仕事をもらっている状態。これもいつまで続くのか……」(同刑務所)と、不安を隠せない。
約2800人が作業をする府中刑務所(東京都府中市)でも、3月末に40人分の作業が無くなり、単純作業で穴埋めしているという。
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