08/08/22 13:04:20 3HqjiKDe
結論から言うと、我が国のエレクトロニクス産業においてTRONプロジェクトが果たした役割はとてつもなく大きい。
とりわけ、ITRONから始まった組み込み分野での貢献は特筆に値する。
TRONを抜きにして携帯電話機などの組み込み型の国内電子産業がここまで発展したか否かについては
見方が分かれるだろうが、そうした議論に意味はない。
別のものがその役割を果たし得たかもしれないということを言い出せば、米Microsoft社のWindowsにしても同じである。
■ 多様な企業がTRONを支持した
トロン協会のWWWサイトを見ると,現在の活動の中心はリアルタイムOSや情報家電,ユビキタス・ネットワークであると紹介されている。
これは「The Real-time Operating system Nucleus」がTRONの由来であることを考えれば当然だろう。
しかし過去を振り返ってみると,TRONプロジェクトにはもっと大きな計画があった。
一部は形になったものの普及には至らなかった。また一部は構想のみで形にさえならなかった。
例えばTRONチップ。
国内半導体メーカー6社が,TRON仕様に基づく9種類のマイクロプロセサを1990年ごろに開発した。
莫大な投資が必要なマイクロプロセサの開発に,各社が取り組んだのはなぜか。
背景には米Intel社や米Motorola社によるセカンド・ソース・ライセンス拒否や,Intel社とNECの間で起きた著作権紛争など,
マイクロプロセサを巡る1980年代半ばの出来事がある。
当時の日本メーカーは優れた半導体技術を持ちながら,著作権の壁に阻まれてマイクロプロセサ事業への道を閉ざされていた。
自分たちのマイクロプロセサ・アーキテクチャさえあれば,米国メーカーを凌駕できるという思いが国内メーカーには強かった。
601:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/22 13:05:06 3HqjiKDe
図1 1988年に公開されたBTRONパソコンの試作機 本誌1988年1月25日号から。
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
結果的にTRONチップはコンピュータ市場で普及しなかった。
理由はいろいろあるが,アプリケーションとそれを動かすOSがないことが致命的だった。
圧倒的な市場を握ったIntelアーキテクチャ以外にも,米Sun Microsystems社の「SPARC」や,米IBM社と米Motorola社の「PowerPC」など
それなりに成功したコンピュータ用マイクロプロセサはある。「Solaris」や「MacOS」といったOS環境が整っていたことが理由である。
TRONでその役割を担うはずだったのはBTRONなのだろうが,あまりにも力不足だった(図1)。
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
TRONを支持したのはエレクトロニクス業界だけではない。
1990年ごろにTRONが有名になると,コンピュータの専門家ではない人々にも「来るべき電脳社会」への期待が広がった。
それ自体は良かったのだろうが,コンピュータに関心のない企業の中には
TRONの名前を利用して自分たちの事業のイメージアップを図ろうとするところも現れた。
図2 1993年の完成を予定していたTRON電脳ビル 本誌1990年5月14日号から。 (画像のクリックで拡大)
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
図3 2000年ごろの完成を予定していた千葉TRON電脳都市 本誌1990年5月14日号から。 (画像のクリックで拡大)
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
例えばインテリジェント・ビルがTRON電脳ビル(図2)に,ソフトウエア・パークがTRON電脳都市(図3)へと計画を変えた。
坂村氏はこれらを「応用プロジェクト」と位置付け,実験の場として利用しようと考えたが,建設会社や不動産開発会社の思惑は違った。
こうした思惑の違いやバブルの崩壊などが重なって,いずれも頓挫した。
602:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/22 13:05:53 3HqjiKDe
■ グローバル・スタンダードに挑む
TRONは良くも悪くも坂村氏のプロジェクトである。
坂村氏がすべてに深く関与していたわけではないにしろ,旗振り役としての坂村氏を抜きにして語ることはできない。
坂村氏のカリスマ性が多くの人々,企業,役所を引き付けたが,それに反発する人々も少なからずいた。
確かにTRONチップやBTRONは普及しなかった。応用プロジェクトは“絵に描いた餅”に終わった。
だからといって坂村氏が成し遂げた仕事の偉大さが揺らぐわけではない。
現在の活動の舞台であるT-EngineフォーラムやユビキタスIDセンターなどを通じて,
グローバル・スタンダードとなる技術が生まれることを期待している。
古沢 美行
603:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/22 13:07:24 3HqjiKDe
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
当時の日経エレクトロニクス
URLリンク(techon.nikkeibp.co.jp)
「いかに作るか」から「何を作るか」へ,技術者も企業も転換期に
バブル景気の真っただ中,街にはワンレン,ボディコンの女性が闊歩し,男性は「5時から男」と揶揄(やゆ)された。
リクルートの関連会社であるリクルート・コスモスの未公開株の譲渡をめぐって大物政治家などが次々と逮捕された,
いわゆる「リクルート事件」も世間を騒がせた。
読者の関心の高かった記事はTRON関連のほか,電子技術者に関するものだった。
理工系新卒者の製造業離れが叫ばれ始めるとともに,仕事の重点が「いかに作るか」から「何を作るか」へと移り,
それに対応した組織の構築や人材の確保が必要とした。研究トップは基礎重視,国際化をキーワードに,今後10年間の主な
研究テーマとしてAI(人工知能)やISDN(デジタル統合網),マイクロエレクトロニクス,超電導,光エレクトロニクス,高品位テレビ
などを挙げた。パソコンなどの外部記憶用やCD用の書き換え可能型光ディスクに関する記事も好評だった。
国際標準規格作業が始まり,1~2年後に市場が立ち上がるとした。
同時に光ディスクとLSIメモリの挟み撃ちに遭う磁気ディスクを「どこへ行くのか…,磁気ディスク」として早晩,冬の時代が来ると結んだ。
日経エレクトロニクス1988年に読まれた記事 BEST 3
1.TRON(1月25日号)
2.転換期の電子技術者(7月11日号)
3.限界が見えてきた,TTLの高速化(9月5日号)
1988年に評価が高かった記事 BEST 3
1.転換期の電子技術者(7月11日号)
2.研究トップに聞く(1月11日号)
3.書き換え可能型光ディスク(2月8日号)
「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による
604:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/24 07:53:38 piAa3Ux2
Japan Times 変態記事も擁護の准教授、講演に抗議殺到
毎日新聞「変態ニュース」を擁護し(8月17日の記事)、HPに「ちびきいろじゃっぷ」などと記す(19日の記事)人物の続報をお届けする。
北海道情報大学准教授の有道出人氏が擁護するのは、毎日新聞だけではない。7月29日の記事で扱った、The Japan Timesによる「変態ニュース」までも擁護している。
当該の発言が出てくるのは、HPの8月5日の更新だ。毎日新聞の騒動からの飛び火について報じた7月31日のJ-CASTの記事を全文転載し、現状に対する批判を展開している。
有道氏は、今回もネット上での匿名の抗議運動を非難し、そのようなものは無視すべきであると述べる。それらに屈するならばその強化を助長することになり、
彼らがふけっている報道の自由、言論の自由を、より偽善的なものにするという。そして、The Japan Timesは抗議運動に立ち向かう勇気を持ってほしいと呼びかけている。
一方、ネット上では有道氏への批判は強まるばかりであり、同氏の講演会への抗議運動も始まっている。有道氏は現在アメリカに滞在中で、カリフォルニア州の各所で講演が予定されている。
それらの主催者に対して、講演の中止を訴える抗議の電話やメールが殺到している模様だ。
8月27日には、カリフォルニア大学バークリー校にて有道氏の講演が企画されていた。「日本の多文化的、多民族的未来」を主題とした講演で、
同大学の東アジア研究の一環として行なわれることになっていたようだ。大学HPには講演の告知が掲載され、有道氏の経歴も詳細に記されていた。
有道氏はこの講演について、自身のHPでも「確定済み」であると記している。ところが、主催者側に抗議の電話やメールが寄せられた結果、22日の午前中には告知が大学HPから削除されていたことが確認された。
今後予定されているその他の講演に対しても、同様の抗議運動が展開されているようだ。
「変態ニュース」の擁護や「ちびきいろじゃっぷ」発言等、これまで提起されている諸問題について、北海道情報大学はどのように判断するのだろうか。探偵ファイルでは8月22日、同大学広報室に取材を申し込んだ。
だが、広報担当の責任者が出張中で不在のため、現時点では取材に応じられないとのことだった。
(続く)
605:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/24 07:54:24 piAa3Ux2
(続き)
多文化「共生」を積極的に主張する有道氏だが、自身の基準を「強制」していると受け取られている限り、その実現は難しいだろう。
URLリンク(www.tanteifile.com)
606:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/26 04:57:54 9hm0pMjy
毎日新聞「WaiWai」メガ炎上事件から学ぶこと
あなたの知らない裏社会の病巣を暴露
「GEISHA」や「FUJIYAMA」を押さえ、今や「HENTAI(変態)」が現代日本を象徴するキーワードである…。と言っても、それはアニメや漫画の世界だけであり、実際にHENTAI呼ばわりされて喜ぶ日本人はいない。
だが、大手新聞社が海外にHENTAI記事を発信していたという事実が明らかになり、ネット上では過去に例を見ないほどの大炎上になっている。 (2008/08/25)
佐橋慶信
「WaiWai」メガ炎上事件とは?
毎日新聞の英語版ニュースサイト「Mainichi Daily News」にあった「WaiWai」というコラムコーナーが大きな批判を浴びた事件をご存じだろうか。
もともとこのコラムは「日本の日常風俗を英語で世界に紹介する」ための企画だが、実際に掲載された記事はゴシップ週刊誌の真偽不明のネタを基にした、「誇張」どころか「デマ」レベルのものばかりだったのだ。
具体的に引用するのもはばかられるので、詳細は「まとめサイト」などを参照していただきたいが、例えば「日本人の母親は息子の勉強前に性処理をしてやる」だとか「日本の主婦は皆売春をしている」
「自衛隊はロリコン漫画を使ってオタクを勧誘している」といった低俗な記事を、およそ5年間にわたり海外に発信してきたのである。
2008年4月ごろからネットで強い批判の声が上がり始め、一部ネットメディアが報道したことから火の手が大きくなった。毎日新聞は6月にようやく当該記事の削除や担当者の更迭といった処分を実施、謝罪文を掲載したが、
この間の毎日新聞社側の対応があまりにまずかったために、「メガ炎上」と言ってもよいほどの騒ぎとなっている。
毎日新聞社への「攻撃」は、電子メールや電話によるクレームは当然のこと、毎日新聞のWebサイトにバナー広告を掲載している企業への執拗なクレーム、また直接的に毎日新聞社を「名誉毀損」で訴えるという動きすら起きている。
さらに草の根の運動として、問題をより多くの人に周知するために、問題の概要をまとめたチラシのPDFがあちこちにアップロードされ、それを印刷して会社や学校、マンション、病院などで配布する人が出始めている。
もちろん、こうした動きの中核には、事件の経緯や当該記事のアーカイブなど、さまざまな情報が集積されたWeb上の「まとめサイト」がある。
(続く)
607:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/26 05:00:07 9hm0pMjy
(続き)
これだけの攻撃を受けてしまうと、さすがに大手メディアといえども疲弊は隠せない。
複合的な原因による大炎上
ここでは、なぜ今回の事件が2か月以上ものロングランを続けるメガ炎上にまで進行し、一向に鎮火の気配を示さないのか、毎日新聞はどこで対処をまちがえたのか、このあたりについて分析してみよう。
●社会的責任の大きさ
インターネット上のこととはいえ、社会的信頼の大きな大手新聞社が、「デマ」に属する情報を長年にわたり公開し続けてきた責任は大きい。一部の記事は海外の掲示板やブログで引用され、
アニメや漫画などから連想される「日本人=HENTAI」のネガティブなイメージを、具体例をあげて“補強”“実証”してしまったのである。
●あいまいな責任の取り方
毎日新聞本紙やWeb版への「おわび」掲載のほか、問題のある記事の削除、同社の有識者委員会での討議など、幾つもの対応が採られたが、「謝罪というより言い訳だ」という批判をかわすことはできなかった。
さらに、Web版を担当するデジタルメディア局の責任者が、よりによって問題発覚直後に昇進していたことなどが明らかとなり、炎上に油を注ぐ結果となった。
●隠ぺいが疑われる行為
毎日新聞では謝罪と同時に、当該記事を削除してしまった。だが、すでにブログなどでは常識のとおり、記事の削除=隠ぺい工作と受け取られかねない。
また、謝罪文を掲載した同じページに、「ネットでの記者への誹謗(ひぼう)については法的措置を検討」などと書いてしまったために、謝罪の一方で“逆ギレ”しているかのような印象を与え、反感を買ってしまった。
●「誠意ある謝罪」の失敗
前述のとおり、毎日新聞は関係者の処分と、誌面・Webサイトでの謝罪および報告を行った。ただし、社内的には「誠意のある謝罪」という位置づけで発信したつもりが、ネット上では逆に「広告クライアントのほうを向いた謝罪だ」という反発を受けてしまった。
記事の削除という行為も、「逆ギレしてブログの記事を消したみたいだ」という低い評価にとどまる。
(続き)
608:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/26 05:02:39 9hm0pMjy
(続き)
最大の失敗は謝る相手をまちがえたこと
筆者は、WaiWai事件がこれほどまでにこじれてしまった最大の理由は、毎日新聞による謝罪の「方向」と「スピード」の見誤りだと考えている。
同社の首脳陣が対応さえまちがえなければ、こんな「メガ炎上」にまでは至らなかったはずだ。
一口に「謝罪する」と言っても、毎日新聞ほどの企業規模になると少し意味合いが違ってくる。例えば、記事内容にまちがいがあったので、紙面で読者向けに謝罪する。
これならば方向性はまちがっておらず、だれもが納得できるだろう。
同様に、記事によって名誉を傷つけられたと訴える人がいれば、その人に謝罪するのが自然な流れである。WaiWai事件の場合、ほんとうならば“HENTAI”呼ばわりした日本国民全体、
特に女性に対して真摯(しんし)に謝罪をしなければならなかったはずだ。ところが、毎日新聞は、広告主や既存の読者だけを謝罪の対象と勘違いしてしまった節がある。
責任者の「生のことば」もなく、誠意を疑われるのもしかたがないだろう。
毎日新聞をつぶしてはいけない
このメガ炎上で最も苦しんでいるのは毎日新聞社であることはまちがいない。そして、同時に日本のマスコミ全体が「明日はわが身」と感じていることだろう。
今回の一件によって、「ネットいなごは有象無象の飽きっぽいやから」という評価はほぼ覆された。さらに「ネットの人たちも、わりとまともなことを言うじゃないか」という評価も得られそうだ。
だが、この勢いに乗って毎日新聞をつぶしてしまえ…というのはよくないと思う。“ネット対マスコミ”のような敵対の構図ができてしまい、殺伐とした未来が予想されるからだ。
今回の問題は、毎日新聞という企業の対社会的な姿勢や社内構造、自浄作用といったシステマチックな要因が大きく影響していると言えよう。そもそもインターネットへの無関心な態度が、
WaiWaiのHENTAI記事を野放しにし、「炎上」対策を失敗させたのである。大手マスコミ全体が、インターネットについての理解をさらに深めるべきであろう。
ところで、今回の「メガ炎上」の収束は、謝罪というより、企業として「襟を正す」ことでしか解決しないように思われる。その方法は、毎日新聞社自身が模索しなければ見えてこない。
もちろん、現状維持が解決だとはだれも思っていないはずだ。
(続く)
609:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/26 05:03:24 9hm0pMjy
(続き)
その結果しだいでは、インターネットとマスコミの新しい関係が始まりそうな予感もする。そして、その「触媒」として、毎日新聞には期待したいところなのではあるのだが…。
はたしてそこまでの自覚はあるだろうか。
URLリンク(www.techworld.jp)