09/09/23 19:16:02 SsF6q6OS0
真っ赤なタンクにそっと触れ、軽く叩く
『宜しく頼むぜ』といういつもの挨拶イグニッションにキーを差し込み右にひねり
そっとスターターボタンを押す朝の空気を震わせる低音の嘶きを上げ息を吹き返す鋼鉄の馬
ヘルメットを被り愛馬に跨る
アクセルを軽くふかしエンジンの嘶きを確かめる今日も調子は良さそうだな
『おはよう、今から迎えに行くから・・・』
『今から迎えに来るだって?!こんな朝っぱらからどうした?』
携帯の向こうに見える、お前の不機嫌そうな顔起こしてしまってすまないが
見てくれよ、この青空!まるでお前の瞳のようだ
こんなにいい天気なんだぜたまにはお前をタンデムシートに乗せ走りたい
お前の家の前に愛馬を止め、イグニッションを「OFF」にするヘルメットを取り、髪の乱れを直している俺に近づく足音
『まったく・・・どうしてお前はそんなに早起きなんだ?私が朝が苦手なのを知っているだろう?』
ぶつぶつ文句を言いながら俺を見つめるお前口調に反しその顔に浮かぶのは、柔らかな微笑
『仕方のない奴だ、お前は・・・』
駄々っ子をあやすように俺の髪を撫ぜる白い指先俺は薄紅色の柔らかな唇に、朝の挨拶をする
豊かな黄金の髪を無造作にヘルメットに詰め込みお前がタンデムシートに跨る
『オッケー!』
お前の合図と共に愛馬が軽く嘶きを上げる鳴り響く風の音後方に飛んでいく景色背中に感じるお前の温もりと柔らかさ
『どこへ行くんだ?!』
『あぁ?!何だって?聞こえない!』
『どこへ行くんだ?!』
『秘密!』