09/04/05 21:14:38 Pmy5nqK1
上京して1年。都会の雑踏にも少しづつだが慣れてきた。友達と呼べる人たちもできたが、何となく上辺だけの付き合い。
高校の時みたいに何でも分かり合える間柄じゃない。会話の間ひとつとってもしっくりこない。
標準語に慣れてないせいもあるのかもしれない。
週末だというのに一人部屋でごろごろしているのはそんなつまらない理由からなんだろうか…。
コトン
きた!そうじゃない。そうじゃないんだ。僕が花見の誘いを断って部屋にいる本当の理由。
毎月最後の週の土曜日に届く絵葉書。これをすぐに読みたくて…。僕は部屋にいる。
高校の時のクラスメイト。恋人でもないし、好きなんて言った事も言われた事も無い。
そもそも人を好きになったことがない。この手紙の子もただの仲のいいクラスメイト。
でも、卒業間際に何となく交わした
「東京に行くんだね。卒業しても連絡するね。」
「うん。俺も。」
という会話。それから毎月絵葉書が届く。
内容なんて他愛の無いものばかり。僕の返事も他愛の無い。
季節の事や学校の事…。ほんの2.3行の近況報告。
電話すればいいのにってたぶんお互いに思ってる。
でも、この絵葉書を読むと懐かしい故郷と君の笑顔が見えるんだ。
「彼氏できたよ…。バカ!」
今回は1行だけ。いつもの可愛らしい丸文字で1行だけ。
バカって言葉の意味が判った時、不意に涙がこぼれた。
僕は人を好きになったことがなかったんじゃない。
「好き」ってことの意味がわからなかっただけだったんだ。
最後になるだろうこの絵葉書の返信はきっと長文になる。
葉書の裏いっぱいに僕の気持ちを書く。
でも、投函はしない。
もう少しこの都会で頑張ろうと思う。